激しい雨音。

匂い立つ緑の香りに包まれて。

熱い息。

触れる肌。

そして訪れる穏やかな静寂。



「え?昔の僕?」
「うん。今日は雨だし、このままゆっくりしようよ。私、お兄ちゃんの若い頃の話聞きたいなぁ〜・・・」
ベッドに横たわるヒスイが昔話をねだる。
「あ、でも待って!お兄ちゃんに昔好きな人とかいたら嫌だからやっぱりいい!」
「くすっ。いないよ。ヒスイが僕の初恋」
コハクの微笑みに赤らむヒスイ。
二人は見つめ合ってキスをした。
「“お兄ちゃんのバカーっ!”ってヒスイに殴られるまで、天使も悪魔も人間もみんな同じ顔に見えたんだ」
「同じ・・・顔?」
「うん。ナスとかカボチャとか・・・そんな感じに」
「・・・今は?」
「今は平気。それぞれの顔がちゃんと見える」
外は止みそうもない大雨。
今日は洗濯も庭の手入れもお休みして、昔話をするのもいいかもしれない。
「先に言っておくけど、面白い話じゃないよ?」
「いいよ。面白い話が聞きたいんじゃなくて、お兄ちゃんのこと、もっと知りたいだけだから」
先払い、と言ってヒスイからキス。
コハクは笑って、ゆっくりと瞳を閉じた。





気が付くと剣を手に握っていた。

何も考えずに人間の首を落とした。
屍の山。その上に立って神の正義を説く・・・それが熾天使の役目だ。



喜び?痛み?悲しみ?

何だ、それ。

愛?憎しみ?

そんなのどうだっていい。

僕は天界が嫌いだ。ついでに神も嫌いだ。

つまらないことはたくさんあるけど、楽しいことは何もない。



「セラフィム!また学校をサボって・・・」
「ケルビム・・・うるさいなぁ・・・僕のことは放っておいてよ・・・眠いんだ」
郊外の緑地公園で転がるコハクを迎えにきたのはラリマーだ。
「“裁き”で忙しいのはわかりますが・・・いくら特待生でも単位が足りなければ卒業できませんよ?」
「別にいいよ。いっそ中退でもしたいぐらいだ」
「勿体ないことを言わないでください。あなたは私達の中で一番勉強ができるんですから・・・」
「だから何?そんなの人間を斬るのに関係ないし」
コハクは欠伸をして気怠そうに立ち上がった。
「でも授業のノートは取っておいて。テストだけはイイ点採っとかないとマズイから」
そう言い残して羽根を広げる。
「あ、これ今日の分?もらっていくよ、ありがとう」
ラリマーの手からノートを奪い飛び立つ。
「待ってください!セラフィム!少し話を・・・」
コハクは振り向きもしなかった。ラリマーは小さく溜息をついた。
「まったく・・・人の話を聞かないんだから・・・」



次の日。

「セラフィム・・・学校・・・もどる」
「戻らないよ」
半日だけ授業に出て、午後からトンズラしたコハクを迎えに来たのはイズだった。
「・・・なら・・・自分も・・・戻らない」
イズがコハクの隣に座り込む。
昼寝の邪魔をするわけではなかったが、どうも落ち着かない。
「・・・はぁ〜っ。後でちゃんとケルビムにノート借りるんだよ?」
こくり。
「サボったついでにどっか行く?」
こくり。
神直属の上級天使・・・熾天使セラフィム、智天使ケルビム、座天使トロウンズ。
それぞれに神殿が与えられ、他の天使とは一線を画した生活をしている。
刻を同じくして神に創り出された天使・・・3人はいわば兄弟のような間柄だった。
イズはどこへ行くにもコハクの後を付いてくる。
「魔法樹の近くはトロウンズの好きな鳥がたくさんいるから・・・行ってみる?」
こくり。



ピィピィ!

魔法樹の下で雛鳥が鳴いている。
「魔法樹に巣を作るなんて珍しいね・・・不死鳥の雛かな?」
巨大な樹を見上げるコハクの隣でイズが雛を拾い上げた。

ピィピィ!

手の平で雛鳥が小さな羽根をパタパタさせている。
「・・・かわいい・・・」
「天界の動物は鳥だけだからね、トロウンズは犬や猫を見たことがある?」
ぷるぷる。
「じゃあ、今度こっそり地上から連れてきてあげるよ」
(猫が鳥食べちゃうかもしれないけど・・・ね)
こくり。
イズが嬉しそうに頷いた。
「ケルビムには秘密だよ。バレたらまたうるさいから。あいつは頭が固すぎる。もっとユルく生きればいいのに」
「ケルビム・・・生徒会長。先生から・・・セラフィムのこと・・・いつも庇ってる」
「うん。わかってる」
「ケルビムすること・・・みんなセラフィムのため・・・」
「うん。それもわかってる」
苦笑い。コハクは肩を竦めて答えた。



「ぴーすけ・・・」

「だめです」
イズは雛鳥を連れ帰った。名前は“ぴーすけ”。
イズにとてもよく懐いている。
しかし“ぴーすけ”を発見したラリマーは自然に還すようにと厳しくイズに言った。
「まぁ、いいじゃないか。飼ったって」
コハクがイズの肩を持つ。
「不死鳥ですよ?大きくなったらどうするんですか・・・」
「まぁ、その時はその時で」
「母鳥は・・・」
「見つからなかった。たぶんその子がいないのに気付かないまま、移動してしまったんだと思う」
口数の少ないイズの代わりに奮起するコハク。
「しかし“飼う”行為は神が禁止している」
「“使い魔”ということにすればいい。神には話しておくから」
「これから神のところへ?」
ラリマーの表情が曇る。神と熾天使・・・それは“裁き”の始まりを意味していた。
「うん。ちょっと行ってくる」



神の使徒、熾天使セラフィムはこの世で最も美しく・・・残酷な悪魔だ。
セラフィムを知る人間は口々にそう囁き恐怖した。

人間界。

神は“より良い世界にするために増えすぎた人間を選別する”と言った。

それが世界を救うことになるのだと。

そもそもの発端は神の所有する『運命の書』。

“爆発的な人口増加、世界的な飢饉、人類の滅亡、破滅する世界”

『運命の書』が記すロクでもない未来。

一番最初に殺した人間ことなどもう覚えていない。
神が定めた“悪しき人間”。額に“烙印”が現れた者を裁けと言われて片っ端から斬った。
世界中を飛び回り“裁き”を下す日々。
(光あるところには必ず影ができる。世界中の悪人を一人残らず裁いたところで、今度は善人が悪人になるだけだ)
「“裁きの天使”が来たぞ!!」
「逃げろ!隠れろ!」
コハクの姿を一目見るなり逃げまどう人々。
コハクは街の中心部に降り立った。
「静粛に・・・。神の裁きが下るのは額に“印”が現れた者だけです。“印”を持つ者は自らその身を捧げなさい。神の恩恵があるよう取り計らいましょう」
(嘘だけど。いちいち探すの面倒くさいし、こう言えば大抵の人間は出てくる・・・所詮はその程度の“悪”だ)
家族の命を救う為、やむなく盗みを働いた亭主とか。
自分が代わりに裁かれるから“印”の現れた息子の命は助けてやって欲しいと哀願する母親もいた。
自分の為ではなく誰かの為に罪を犯した者まで裁いた。
(理由じゃない。罪は罪だ。ひとり見逃せばそれは公正な裁きではなくなる。常に平等な裁きを下すには情など不要)

この夜も、コハクは“印”を持つ者を一人残らず裁いた。



大量の返り血を浴びて神殿に戻る。

そこでラリマーとイズが待っていた。
「お疲れ様です・・・あの・・・これ・・・」
「・・・あげる」
ラリマーはノートを、そしてイズは一輪の花をコハクに差し出した。
「・・・ありがとう。でも、僕に近寄らないほうがいい。血で穢れてるから、瘴気当たりを起こすよ?」
「そんなことありません!あなたは世界のために正義の剣を・・・」
ラリマーが必死に訴える。
(世界のため?違う。神のため?そうじゃない)
「・・・別に誰のためでもないよ。やれと言われたからやっただけで、正義だろうが悪だろうか僕には関係ない」
「セラフィム・・・」
ラリマーもイズも心配で堪らないという表情でコハクを見ている。
「さぁ、もう今日は帰って。僕は大丈夫だから」
コハクはいつもと変わらない微笑みで二人に手を振った。



(セラフィム・・・)

ラリマーは素直に帰る気になれず、何度も足を止めてはコハクの神殿を振り返った。
(何でも一人で抱え込む癖は昔から少しも変わらない・・・私にはセラフィムが何を考えているのか理解できない・・・私は・・・一体どうすれば・・・)
「・・・セラフィム?」
ラリマーが胸を押さえた時だった。
血に染まった服のまま、コハクが神殿を飛び立った。
(こんな時間から何処へ?)
ラリマーは気配を消してコハクの後に続いた。
天界の門をくぐる。
神直属の天使だけが通行可能な人間界への扉だ。

ケホッ・・・

人間界の空気で咽せる。
(地上の瘴気・・・今夜は特に濃い・・・“裁き”があったから・・・?)
死んだ夜。生命の息吹が感じられない。恐ろしい程の静寂。
ラリマーは月明かりを頼りにコハクの後を追った。
コハクが向かった先は草木が枯れ果てた高山だった。
遙か上空の頂を目指して飛ぶ。
だんだんと空気が薄くなっていった。
やっとのことで辿り着いた頂上は霧のせいで視界が悪かった。
目を凝らして先を見据える・・・
「・・・これは・・・墓・・・標・・・?」
無造作に盛られた土の上に木で作った十字架が立てられている。
それが無数に広がっていた。数え切れない程の十字架。
ラリマーの声にコハクが振り向いた。長い金の髪が夜風に泳いだ。
「ケルビム?」
「セラフィム!これは・・・」
「・・・違うよ。単なる目印だ。1000人殺したらひとつ十字架。そうやって殺した人間の数を数えているだけだよ」
「・・・何のために?」
「・・・・・・」
コハクは何も答えなかった。
(私には・・・死者を弔う墓にしか見えない・・・)
立てられた十字架の数を見て戦慄・・・身震いした。
(セラフィム・・・あなたは・・・ひとりでこれほどの痛みを抱えて・・・それでもなお剣を振るおうというのか・・・?)
ラリマーの頬を涙が伝う。
「・・・私にも剣を。あなたひとりに・・・背負わせは・・・しない」
「やめておいたほうがいい。君には向かない」
ラリマーの涙を無視してコハクが素っ気なく言った。
「別に君が思うほど深刻な事態じゃないし」



翌日。

(私も・・・セラフィムと同じ“裁きの天使”になる)

そう心に決めたところでコハクには相手にもされない。
「神と直接話をするしかありませんね・・・」
(セラフィムを・・・このままにしてはおけない・・・)
ラリマーは早足で神の神殿を目指した。
「・・・え?間に合わない?“裁き”が」
先客に出鼻をくじかれた。コハクが神と会話している。
「・・・ケルビムとトロウンズは“裁き”に向かない。彼等の優しさはかえって地上を混乱させるだけだ。僕が3人分の裁きをすればいいだけの話ですよね?」
「!!」
(セラフィム・・・あなたは・・・私達を守る為にひとり進んで“裁き”を・・・ああ・・・なんということ・・・気が付かなかった・・・そうだ・・・もともと私達3人は“裁き”をするために生み出された天使・・・)
唇を噛んで引き返す。
(神と話をするまでもない。私も“裁きの天使”なのだから)
その夜、ラリマーは剣を片手に人間界へ降りた。



(額に“烙印”のある人間の命を・・・奪う・・・それが“裁き”)
剣を握る手に汗。心のどこかで出会わないことを祈りながらの飛行。
「おお・・・神の使い・・・」
老人の声がしてラリマーは視線を下に落とした。
額に“印”がある。
(“裁き”の対象者・・・)

どくん・・・

緊張で口の中が乾く。
「儂は若い頃、戦争で多くの人間を殺した・・・裁きを受けます・・・」
自ら裁きを受けると言う、無抵抗の老人。

どくん・・・

(この人間の罪は・・・真か?しかし神の定めた罪人ならば・・・裁くのが務め・・・)
ラリマーは剣を振り上げた。そこで動きが止まる。命を奪うことへの恐怖で体が硬直する・・・
(裁かなければ・・・私がここで迷ったら・・・セラフィムを救えない)

どくん・・・どくん・・・

ラリマーは目をつぶって剣を振り下ろした。

バシィン!!

「・・・やめとけって言ってるでしょ」
どこからともなく現れたコハクがラリマーの剣を弾いた。
「そんな青い顔して」
「セ・・・ラフィム?」
驚きと安堵で体から力が抜ける・・・
ラリマーは剣を落として、その場に座り込んだ。
はぁ〜っ・・・溜息を洩らし、コハクが前髪を掻き上げる。
「二人して仕事を増やさないでくれ・・・」
「・・・え?まさかイズも・・・」
コハクの背後で俯いているイズ。力なく剣を携えて。
「そう。今イズを止めてきたとこ。虫一匹殺せないくせに僕を手伝うなんて言って暴れるから手を焼いたよ・・・」
「・・・すみません・・・役に立てなくて・・・」
イズと同じようにラリマーも深く俯いた。
「・・・“天使”は殺しに向かない種族だ。気にすることはない」
大剣を軽々と肩に担いでコハクが苦笑する。
「ケルビムは授業のノートをちゃんと取っててくれればいいから」
「トロウンズも。たまに花をくれるだけでいい。あれは結構心が和む」
うん、うん、と頷いてコハクが話を続ける。
「大丈夫だよ。君達が役立たずなんてことはない。少なくとも僕の役には立ってるんだから、それでいいんじゃない?何もそこまで思い詰めなくても」
コハクは二人に背を向け羽根を広げた。
「じゃあ、僕、行くから。もう邪魔しないでね」
そこにラリマーとイズが飛び付く。
「わ・・・ちょっと?何?」
「セラフィムっ!」
「セラフィム〜・・・」
ラリマーとイズが口々に呼ぶ。
「ああ・・・もう。君達は昔からすぐ泣く」
コハクがやれやれと肩を竦めた。
「あなたが泣かせるようなことばかりするからでしょう!ね?トロウンズ」
こくり、とイズが頷く。
「あ、トロウンズ・・・鼻水出てますよ」

ズズ〜ッ・・・

イズの鼻水は何度啜っても垂れてきた。コハクが逃げる。
「うわ・・・ちょっとやめて・・・鼻水はつけないでくれ〜・・・」





「おにいちゃぁ〜ん・・・」
「ヒスイ!?なんで泣いてるの?」
「もうっ!おにいちゃんはぁ〜・・・好きっ!」
「へ・・・?」
ヒスイがコハクの上に乗り唇を塞いだ。
「・・・これが・・・おにいちゃんの“今”だよ」
「ヒスイ・・・」
ヒスイの手が下に伸びる。指が触れるとコハクはすぐに応えた。
「ん・・・」
コハクの上に跨った割れ目が心地よい粘り気で挟み込む。
ヒスイは自分から深く腰を落として奥へと誘った。
「あ・・・ぁあ・・・」
仰け反って、それからゆっくり腰を動かす。
「ん・・・っ・・・ヒスイ・・・」
「はぁっ・・・はぁ・・・」
繋がったその場所を更に激しく擦りつけ、体を密着させて、喘ぐ。
「ふ・・・ぅぅん・・・おにい・・・ちゃん・・・気持ちいい?」
「うん・・・最高・・・先イッちゃいそう・・・」
「いいよ・・・たまには・・・あ・・・はぁ・・・っ」
雨音を遮ってギシギシとベッドが軋む。
「私の・・・知らないおにいちゃん・・・ちょっと・・・遠くに感じた・・・の・・・おにいちゃんはちゃんとここにいるって・・・確かめたいから・・・先に・・・あ・・・はあっ・・・はぁ・・・」
乱れた息でヒスイが囁く。
「ヒスイ・・・ん・・・はぁ・・・っ・・・」
ヒスイが自分からここまですることは滅多にない・・・甘過ぎる快感に思わず息が洩れた。
「お・・・にいちゃん・・・早く・・・私これ以上我慢できないよぅ・・・」
「ヒスイ・・・」
「おにい・・・ちゃんっ・・・!!」



サァァア・・・

優しい霧雨。

雨はまだ止まない。

小さなランプに火を灯し、二人で一枚のシーツにくるまる。
「なんか熱くなっちゃって・・・恥ずかしい・・・」
後になってヒスイが照れる。
コハクの体にはヒスイのキスの跡がいくつも残されていた。
「お兄ちゃんは私の知らない世界で生きてきたんだもんね、私と過ごした時間よりもずっと長い間・・・そんなこと考えてたらつい・・・これってやきもちなのかなぁ・・・」
「そうだったら嬉しい」
コハクも照れて笑った。
「・・・僕はヒスイと過ごす時間が一番幸せだよ。昔の比じゃない」
「うん。そうだったら・・・私も嬉しい」
笑い合って交わすキス。
「ね、その十字架いっぱいの場所って今も残ってるの?」
「どうかなぁ・・・500年以上前の話だし、たぶんもう残ってないと思うけど・・・」
「私・・・行ってみたいな。明日、晴れたら連れて行って」
「・・・うん」



朝方には雨が上がった。

朝日が昇りたての早朝。
雨上がりの新鮮な空気を胸一杯に吸い込んで二人は出かけた。
「ええと・・・確かこの辺だったかな・・・」
過去の記憶を辿ってコハクが案内する。
「・・・わぁ・・・すごいねぇ・・・とても500年前とは思えないよ」
十字架は思い出と寸分違わぬ形で二人の目前に現れた。
「その十字架は魔法樹の枝で作ったものだから・・・」
(しかしまさか500年も保つとは・・・犯した罪はそう簡単に消えるものじゃないか)
「数えないほうがいいよ・・・っていうか数えないで欲しい・・・」
少しバツが悪そうにコハクがそう口にした。
「・・・お兄ちゃんと私は二人でひとつでしょ。だからこの十字架はもうお兄ちゃんひとりのものじゃないよ」
ヒスイが強く手を握る。
「ヒスイ・・・」
(・・・もう十字架が増えることはない。世界は・・・生きている者達が自らの手で創り上げていくものだ。神が創るものじゃない)
コハクは遙か遠くの十字架を見つめてヒスイの手を強く握り返した。
「ね!お兄ちゃん!ここに花の種を植えようよ!でね、ここが花でいっぱいになったらラリマーにも見せてあげるの!」
「そうだね・・・って、あ・・・」
「あれれ?そういえば・・・」
二人、顔を見合わせる。
「魔石にしたままだった・・・よね・・・。お兄ちゃん忘れてない?」
「うん・・・忘れてた。あれどこ置いたっけ・・・」
う〜ん・・・思い出せない・・・コハクが腕を組んで唸る。



「もうっ!お兄ちゃんってば!感動台無しっ!!」




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