カーネリアンが“土産”を持ってくる。
その度に、弔いの墓が増える――。



「やあ」
コハクと・・・トパーズ。墓の前で二人は出会った。
「・・・・・・」
目の前に現れた、金髪菫瞳の男は、妹シトリンを思わせる風貌で。
“誰”なのかは、すぐにわかったが、トパーズは黙っていた。
そして今日も、幼い両腕に死んだうさぎを抱えている。
いつものように、埋めにきたところだった。


「・・・・・・」
一方で、動物の墓を一瞥するコハク。
(こうやって、命の大切さを教えてるのか・・・オニキスの教育は間違ってない。けど――)
「貸して」と。
コハクはトパーズから死んだうさぎを取り上げ。
「!!」
トパーズの目の前で、その肉を食いちぎった。
ごくりと飲み込み、こう続ける。



「これで、君と僕は同じだ」



「今日の糧に、僕もこのうさぎの恩恵を受けた」
「恩恵?」
怪訝そうな顔で、トパーズが聞き返す。
「そうだよ。これは“与えらえた命”。都合のいい考えかもしれないけど、人間はみんなそうしてる」
「・・・人間じゃないくせに」
「まぁまぁ、それは置いといて」と、コハク。
「君も、与えられた命に感謝して生きるといい」
そう言って、軽やかに笑った。


「・・・かえせ」
コハクからうさぎを奪い取るトパーズ。
ひとりで黙々と墓を掘り、埋葬する様子を、コハクは黙って見ていた。


オニキスの教えどおり、墓の前で手を合わせようとした、その時。
「ごちそう様でした」コハクが言って。
十字を切って祈る。
「amen――」
「・・・・・・」


「それじゃあ」
コハクはトパーズの前から姿を消した。



森の中にて。

「・・・ホントは肉食べちゃまずいんだけど」
軽く口を押さえ、コハクが呟く。
愛妻ヒスイはベジタリアンなのだ。
ヒスイの食生活に合わせて、コハクも肉を食べていなかった。
(キスしたら、絶対バレる・・・)
「肉臭い!って言われちゃうかも・・・それは結構ショックだ」
(でもまぁ・・・)


幼い君が――


ひとりで、命の重さを背負わずに済むように。


奪ってしまった命にも、感謝することを覚えて欲しい。


(あんなにお墓が並んでちゃ、必要以上に気も滅入るだろうし)
「・・・僕にできることは、これくらいかな」





後日。

森の中には、うさぎを抱えたトパーズがひとり。
うさぎは、今日もやっぱり、死んでいて。
「・・・・・・」
いつもと同じように墓を作り、いつもと同じように手を合わせる。

「・・・・・・」

(ごめんなさい)

「・・・・・・」

(ありがとう)





「・・・ごちそう様でした」






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以前公開していた私のコメントも載ってます^^;


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