大安吉日。
モルダバイトで、各国の国王夫婦を招いてのパーティが執り行われた。
名目上は“親交を深める”だが、実情は“王妃自慢”。
各国の王が、自分の妻をここぞとばかりに飾り立て、連れてくるのだ。
開催地は毎年変わり、ついにモルダバイトに順番が回ってきたという訳だ。
オニキスとしては、正直ヒスイを見せ物にしたくはなかったが、こればかりは避けて通れない。
モルダバイトの王妃が絶世の美女という噂は各国に広まっていたので、今回はいつにもまして参加国が多く・・・
オニキスが危惧していた通りの展開になった。
若干幼くはあるものの、異彩を放つヒスイの美しさに、ダンスの申し込みが殺到。
ヒスイはヒスイで、重要なパーティと聞いていたので、これもオニキスのためとぎこちない笑顔ながらも丁寧に対応していた。
「・・・・・・」
その一方で。
オニキスは、国王としてあるまじき感情に悩まされていた。
それは・・・嫉妬。
ダンス中は他の男がヒスイの手を握り、腰を抱き、視線を交わらせる。
そしてダンスが終われば、手の甲にキス。
無論手袋はしているが、次から次へと相手が変わり、延々その繰り返しだ。
「・・・・・・」
どんなに嫌だと思っても、外交の場に私情は挟めない。
早くパーティが終わればいい・・・そればかり考える。
「オニキス様、近寄りがたい雰囲気になってます」と、そこに側近のローズ。
オニキス狙いの王妃が数多くいる中、誰一人声をかけられないほど気難しい顔をしていたようだ。
「ヒスイ様を参加させたこと、後悔してるんじゃないですか?」
これまでは病欠※仮病が多かったヒスイだが、自分からこのパーティに参加すると言ったのだ。
「オニキス様を想ってのことです」
「・・・そうだろうな」
「もういっそ、隠してしまったらどうですか」と、ローズ。
「ああ、本当にそうしてしまいたいな」
自分のもとに繋いでおきたい。
「あの女は・・・どうもそういう気にさせる」
「閉じ込めて、繋いでしまったらどうですか」
更にローズが発破を掛けた。
「できるものならな」と、苦笑するオニキス。
「では、そのように」
「ローズ?おい・・・」
冗談と思っていたのだが、間もなく会場からヒスイの姿が消え。
オニキスは、ローズから任務完了の報告を受けた。
城内のとある一室。
受け取った鍵で扉を開けると。
「オニキス〜・・・」弱々しいヒスイの声。
「・・・・・・」(誰がここまでやれと言った・・・)
ヒスイは完全に監禁拘束されていた。性的な意味も含めて、だ。
なにしろ裸で。手も足も縄で縛りあげられ、柱に繋がれているのだ。
日頃の鬱憤を晴らすが如く・・・
モルダバイトの王妃にこんな真似ができるのは、メイド長のローズくらいだ。
とはいえ・・・
「・・・・・・」
他に誰もいない部屋で。
自分の瞳にだけ映る、その姿の・・・何と美しいことか。
先程まで感じていた嫉妬心がそう見せるのか、この時にはもう定かではなく。
「オニキス、早くほどい・・・あッ・・・」
柱に繋がれたヒスイを後ろから抱き込み、両手で乳房に触れるオニキス。
縄で結ばれ、いつもより強調された膨らみを、手のひらで包み込んで、ゆっくりと揉む。
いつもと変わらぬ優しい愛撫・・・だが。
「オニ・・・キス・・・?」
(このままえっちするの???)
初めての拘束に、ヒスイはかなり困惑していた。しかし。
「ねぇ・・・ちょっ・・・んッ、あッ!!」
乳首を左右同時にまさぐられ、否応なく感じてしまう。
「あッ・・・や・・・!」
ヒスイの乳頭はすぐに硬く尖って、オニキスの愛撫に応えた。
「あ・・・ッ」
オニキスの指に乳首をつままれ、くいと軽く引っ張られただけでもう股間がムズ痒くなり。
性器にあてがわれた縄に刺激を求めるヒスイ。
「んッ、んッ・・・」
腰を揺すると縄がザラザラと擦れ、疼きを発散させる手助けとなるのだ。
「あ・・・ん」
首筋にオニキスの口づけを受けながら、ヒスイはしきりに腰をくねらせ、縄と交接し、そこに愛液を滲み込ませた。
その様子を見てか。
「えっ・・・オニ・・・?」
オニキスの手が乳房から離れ、股間の縄を掴んだ。
「・・・縄では届かんだろう」
そう言って、縄をずらし、ヒスイの膣口に指を入れる・・・
「んう・・・ッ!!」
ヌルッ、膣内にオニキスの人差し指が入り込んだ。
その性能は縄の比ではなく、ヒスイの中をこれでもかと刺激する。
膣内でぐにぐにと動くオニキスの指・・・
「あッ・・・あッ・・・んッ!!」
そこで、小休止を挟み。
「は・・・あぁ・・・」
オニキスは指先でヒスイの膣奥を少し撫でてから、再び拡張作業に取り掛かった。
「あ・・・オニ・・・キス・・・」(指・・・ヌルヌルしてる・・・)
それだけ膣内が濡れているということだ。
「あッ・・・」(やだ・・・くっついちゃ・・・)
ぷちゅぅ。濡れた膣肉がオニキスの指に吸い付き、恥ずかしい音をたてた。
抜き差しされる度、ぷちゅぷちゅと幸せそうに鳴って。
「んッ・・・あッ・・・」
(なんで・・・こんな・・・)
いつもの指。しかもまだ一本なのに。
ペニス同様の快感を覚える。
手も足も縛られ。
何をされても抵抗できない状態で。
どんなに恥ずかしくても隠せない。
自分からは何もできず、だだこうして性器を弄られるだけ。
それゆえに、興奮しているのだ。
「あッ!はッ・・・オニ・・・ッ!!」
「・・・・・・」
ヒスイの膣内にある快感スポット。
ヒスイが嫌がるので、滅多に触れないが、今日はとても触りたい気分になって。
「や・・・ッ!!そこ・・・さわらな・・・あぁッ!!」
拘束されたヒスイに拒否権はなく、オニキスの指が膣壁の1点をぐっと押した。
「あは・・・んッ!!」
次の瞬間、膣口とは別の場所から、透明の液体が大量に流れ出し、オニキスの手をびっしょりと濡らした。
俗に“潮吹き”と呼ばれる現象だ。
「はぁ・・・はぁ・・・」ヒスイは羞恥の涙を浮かべ。
「やだって・・・いってるのにぃ・・・これ、おもらししたみたいだも・・・」
「・・・何であろうと構うものか」
ヒスイのものなら何もかも愛おしく思うのだ。
オニキスはヒスイの上体を前に倒し、四つん這いに近い状態でお尻を高く持ち上げた。
尻肉の間に顔を埋め、濡れた場所に舌を這わせる・・・続けてヒスイの膣口に深く舌を入れた。
「あッ・・・あ!」
膣肉をさらにほぐすためでもあるが、オニキス自身が好む行為でもあった。
ヒスイの粘膜・・・これほど舌触りの良いものを他には知らない。
舌が届く範囲には限界があるが、舐められるところはすべて舐め、愛を示した。
「ふ・・・あ・・・」
愛する男に性器を舐められる悦びというのも相当なもので、興奮が隠しきれないヒスイ。
オニキスは舌をしまい、ペニスを出した。
「・・・・・・」
後ろからだと、ヒスイの性器は丸見えで。
普段は閉じている大陰唇が左右に開いていた。ペニスを受け入れるためだ。
「ヒスイ・・・」
そんなヒスイを心底愛おしく思いながら、ペニス挿入・・・
「んはぁ・・・ッ!!」
ぶちゅっ、ぶちゅちゅ、ぐちゅ。
ヒスイの濡れた膣肉は容易く開き。
かなり大きめのペニスでも難なく受け入れた。
「・・・・・・」
ペニスを咥えた膣口が大きく拡がって。
(ヒスイは今、どんな顔をしているだろうか)
きつくはないか気がかりでも、後背位なのでヒスイの顔を見ることができない。
仕方なく、結合部を目視しながら腰を振るオニキス。
「あッ・・・はんッ!んッ!あッ・・・あぁんッ!!」
ヒスイの声と愛液を頼りに突き続け。
ヒスイの膣内が収縮するのを待つ・・・が。
「あ・・・はぁ・・・ッ!あッ!あッ!あんッ!!」
「・・・・・・」
後背位での性交は、どこか動物的で。
拘束状態のヒスイに、繰り返しペニスを突き込んでいるうちに、段々と強姦でもしているような気持ちになってくる。それなのに。
ペニスは全く萎えず。むしろ硬く尖って、ヒスイを喘がせているのだ。
(・・・こうしたいと思う気持ちが、オレの中に少なからずあったということか・・・)
「オ・・・オニキス・・・っ・・・あッ!!あ・・・!!」
ヒスイは絶頂間近・・・突かれて溢れた愛液がオニキスの陰のうまでビショビショに濡らして。
「あッ・・・くぅぅ・・・んッ・・・!!」
よほど気持ちが良かったのか、何とも甘い声でよがり、達した。
「っ・・・ヒスイ・・・」
ホッとしたオニキスもすぐ射精し。
「・・・・・・」何という後味の悪さ。
「・・・すまん」慌てて拘束を解くが、ヒスイの体には赤く縄の跡が残って。
衝動的に、嫉妬心に身を任せてしまったことを後悔する。
「?」気持ちのいいセックスの後、沈痛な面持ちで謝罪される意味がヒスイにはわからず。
「会場、戻らなくていいの?」
「その体では・・・無理だ」
「あ、そっか。ちょっと目立つ?」
ヒスイは暢気な調子だが、オニキスにとっては痛ましく。
「オニキス?」
オニキスはヒスイを強く抱きしめた。
「今日はもういい・・・」
ヒスイをベッドに寝かせ、オニキスは部屋を出た。
「どうでした?」
見張り役として部屋の外で待機していたローズが、待ってましたとばかりに尋ねる。
ずいぶんとヒスイの喘ぎ声が聞こえたので、高評価が得られると思ったのだ、が。
オニキスは苦々しい笑いを浮かべ、「何とも言えんな」と答えた。
愛する者の自由を奪って得る快楽とは何だ。
性器だけ愛してどうする。
そう、思うのに。
身動きが取れないヒスイを好き勝手に抱いて。
この女は自分のものだと酔い痴れた。
(愛は・・・時にひどく歪んだ感情を生むものだな)
「・・・もう二度とすまい」
ところが後日。夫婦の寝室にて。
「じゃ〜ん。見て」ベッドの上を指して、得意気なヒスイ。
「・・・何だこれは」
「えっと、縄でしょ、手錠でしょ、あと首輪と鎖と・・・」
ありとあらゆる拘束グッズが並ぶ。
先日の件が、妙な誤解を生んでいた。
「こういうの好きなら言ってくれればいいのに」
「いや、そういう訳では・・・」
「私、繋がれたりするの嫌じゃないよ?」と、ヒスイ。
「どこにもいかないで、傍にいろってことでしょ?」
『そういうのって、ぜんぶ愛じゃない』
「・・・・・・」
(本当に、この女にはまいる・・・)
監禁も拘束も許すと言うのだ。“ぜんぶ愛”。その一言で片付けてしまった。
「これも愛・・・か」
嫉妬心も。独占欲も。
ひどく歪んでいるように思えても、確かに愛だ。
(目を背ける必要はないということか)
「ね?またしてくれる?」縄を手にヒスイが見上げる。
「そうだな・・・」オニキスはヒスイの額にキスをして。
「・・・たまになら、な」
お題:frow様
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