「“成仏”はお前等退魔士の仕事だろう」
トパーズがヒスイを咎める。
「そんな事言われても・・・“春夏秋冬”の任務じゃないし・・・」
新米エクソシストのコンビがしくじったのだ。
失敗任務代行役のトパーズの元へ必然的に舞い込んできた、任務。
トパーズに難癖を付けられ、ヒスイは仮パートナーとして同行した。
モルダバイト東の森の中。
とある洋館の、いわゆる地縛霊。
「願いが叶うまで成仏しないって言うけど・・・」
う〜ん・・・両腕を組んでヒスイが唸る。
生前、潜在的魔力を持っていたらしく、悪ではないが、扱いにくい霊である。
「その為にお前を連れてきた」
「え・・・?」
洋館前。
かつてはここに裕福な一家が住んでいた。
しかし、次々に流行病や事故に見舞われ、一家全員が命を落とし・・・今は空き屋となっている。
そこに最後まで仕えていた執事。
彼もまた病に倒れ・・・今は地縛霊となっている。
「ホラ、連れてきたぞ」
玄関ホールでトパーズが宙を見た。
「オオォォォ〜・・・」
ただならぬ冷気と共に低い声が響く。
「な、なに?これ・・・」
エクソシストという職業に就いている割には心霊現象が苦手なヒスイ。
トパーズの腕にしがみつき、恐る恐る同じ方向を見上げた。
「お嬢様ぁぁぁ〜・・・」
執事の霊。享年48歳。ダンディ紳士。
「約束通り、女を連れてきた。願いを言ってみろ」
トパーズは以前にも足を運んだことがあった。
交渉の結果、そういう事になったのだ。
「コォォォ〜!!」
パシッ!ピシッ!と、ラップ音。
「一度でいいから“お嬢様”にお仕えしたかったのです」
執事が言うには、この館には5人の子供が産まれたが、いずれも男。“お坊ちゃま”だった。
「“お嬢様”にお仕えするのが今生の夢・・・」
切々と訴えてくる、執事。
「・・・もしかして」
「その通りだ、お前が“お嬢様”になってやれ」
「・・・・・・」
「オレはこいつに体を貸す。後はお前が・・・」
「エクソシスト様・・・恩にきります。今こそ思いを遂げる時・・・!!」
カッ!!!
玄関ホールに光が溢れた。
まさしく“憑依”の瞬間だった。
“お嬢様”体験開始。
お相手は執事が憑依したトパーズだ。
「あなた、名前は?」
「セバスチャンと申します。お嬢様」
(セバスチャン?いかにも執事っぽい名前ね)
執事の部屋には、いるはずのない“お嬢様”の洋服が用意してあり、執念の程が窺えた。
(この執事・・・微妙に変態っぽい・・・)
日頃からチヤホヤされる“お姫様”生活をしているヒスイ・・・“お嬢様”も地でいけた。
執事と森のお散歩。
「お嬢様、お手を」
段差があるとすかざす手を貸す執事魂。
「う、うん・・・」
中味はセバスチャンでも、見た目は執事服を着たトパーズだ。
キリリと爽やかトパーズ。
こんなに優しく触れられたのは初めてかもしれなかった。
年中頭を叩かれ、昼寝をすれば踏みつけにされ。
(セバスチャントパーズ・・・いいかも)
「お嬢様、そろそろお昼寝のお時間です」
散歩から戻り、ヒスイが欠伸をひとつしたところでセバスチャンが言った。
「うん〜・・・」
お嬢様パジャマに着替え、寝室へ。
「ね、セバスチャン」
ヒスイはノリノリ。お嬢様になりきっていた。
「何でしょう、お嬢様」
「子守歌、歌って」
「・・・・・・」
「セバスチャン?」
「・・・はい。只今」
(あ・・・いい声)
トパーズの歌声を聴いたのは初めてだった。
(間違える程じゃないけど、お兄ちゃんにちょっと似てる・・・)
きっちり2時間の昼寝をし、ヒスイは清々しく目覚めた。
「お紅茶はいかがですか?お嬢様」
「うん〜・・・苺ジャム入れて」
「はい」
(あれ?なんかいつもと変わらないかも・・・)
日頃いかに自分がお嬢様的生活をしているか、改めて気付く。
ベッドまで運ばれた目覚めの一杯はほんの少し温め。
“お嬢様”が飲み易いようにと、ここでも執事魂を見せていた。
(さすがセバスチャン)
ヒスイがそれを一気に飲み干した・・・途端。
夢が醒める。
「セ・・・バスチャン?」
紅茶に一服盛られ、全身から力が抜ける。
カップを床に落とし、ヒスイは再びベッドへ倒れ込んだ。
「誰がセバスチャンだ?」
ニヤリと邪悪に微笑んで。タイを解くトパーズ。
(トパーズがセバスチャンじゃなくなってる!?)
調子に乗っていただけにショックだ。
「あのオヤジはとっくに成仏した」
「え・・・えっ!?そんな・・・ぁ」
この後何をされるか、それはもう決まっていた。
「あぁっ!」
ドクンッ!
盛られたのは強力な催淫剤。
体の奥から淫汁が噴出する。
服はもう全部脱がされていて。
ぱたぱたと淫らな雫がシーツに落ちた。
「っ・・・いつ・・・から・・・あんっ!」
ギシッ・・・
ヒスイを仰向けに転がし、トパーズが上に乗る。
すでに充血したヒスイの肉粒を指で剥き出し、引っ張り出して、カリッ・・・
いつもより強く齧った。
「んひぁ・・・っ!!トパ・・・やめ・・・」
噛みやすいように両脚を大きく開かせ、ヒスイの淫猥な部分に顔を埋める。
「ん、んっ!!」
ぐちゃぐちゃに濡れた女芯を唇で撫でてから、花ビラを思わせる陰唇をガジガジ・・・
愛しいものをひたすら齧る。
いつもの愛情行為だ。
「っう・・・は・・・ぁん」
ヒスイの愛液のヌメった感触を愉しむように。
ビショ濡れの割れ目にペニスを当て、ニュルニュルと擦り上げる。
「う・・・っ・・・そんなの・・・ずる・・・」
挿入はせず、入口の薄肉をペニスで擽り、責め立てるトパーズ。
「お前にはこれをくれてやる」
「!?」
(嘘でしょっ!!?)
「館の主人がこういう趣味らしくてな、道具はいくらでもあるぞ?」
クククク・・・
トパーズは手に細い縄を持っていた。
紅茶に盛った催淫剤も館にあったものだと言う。
「や・・・痛っ!!」
貧乳を無理矢理十字縛り。
緊縛指南書片手に・・・
「成程。ここをこうして・・・」
初心者とは思えない器用さでヒスイを縛り上げてゆく。
「これが亀甲縛りで、これが・・・」
「やっ・・・ちょっ!?あ!あぁんっ!!」
股間に縄が食い込むよう、きつく縛られ。
「う・・・・」
妙な快感に溺れたヒスイは、縄までグッショリと濡らした。
「こっちのほうがいいか?ん?」
はぁ。あ。はぁっ。
結局最後は両手を両腿に縛り付けられ、犯してくださいと言わんばかりにお尻を突き出した格好で。
自由を奪われ、弄ばれ、バックから貫かれる。
「あぅっ!!」
「ホラ、アソコ締めろ」
「で、できな・・・」
普通の状態ならまだしも、あらゆる場所が薬剤でユルユルになっているのだ。
痺れて、下腹に力が入らない。
「やれ」
セックス慣れしているヒスイにできない筈がない、とトパーズは容赦なく。
「上手くやらないと、バイブ突っ込んでローソク垂らすぞ」
(それはいやぁぁぁ!!)
「んっ・・・んっ!」
渾身の力を振り絞り、従うヒスイ。
「・・・まぁ、こんなもんか」
「あっ!!」
支配欲が満たされたトパーズは、激しく腰を揺らしはじめた。
パン!パン!パンッ!
「あっ!あ!あぁんっ!」
ペニスを前後させる度、先程愛でたヒスイの陰唇がいやらしく蠢めいて。
更なる興奮。
トパーズはいっそう激しく突き入れた。
「あんっ!あん!あっ・・・うぅっ!!」
自由の効かない体で、ヒスイは精一杯喘いだ。
乱暴なセックス。優しいキス。
これが済んだらきっと、甘いキスをしてくれる。
「ああっ!あぁ!はぁん・・・っ!!」
早くキスが欲しいから。
「んっ!はぁっ!早く・・・っ!早くぅぅっ!イッてぇっ!!」
ぼへ〜・・・
燃え尽きたヒスイ。
溜まっていたトパーズに散々中出しされた後、やっと縄を解いてもらえた。
「・・・・・・」
(霊を成仏させに来たのに、自分が昇天させられてどうすんのよっ!!)
これでいいのか!?エクソシスト!!と。
思わず自分に問いかける。
(それにしてもいつから・・・)
「ひょとしてあの子守歌・・・トパーズ?」
だとしたら。
息子に子守歌をねだった自分が猛烈に恥ずかしい。
セックスをするよりも、なぜか照れ臭く。
(本当は私が歌ってあげなきゃいけなかったのに)
「・・・今からでも遅くないかな・・・」
トパーズは窓辺で煙草を吸っている。
そこに流れ出す、子守歌。
「・・・何だ、いきなり」
ヒスイの歌声に包まれながら、ベッドまで
引き返すトパーズ。
口の煙草を指に移して。
ヒスイと長いキスをした。
「・・・眠くなってきた」
「うん。眠って」
灰皿で煙草の火を消し、ベッドへ潜り込んで。
「・・・続き、歌え」
「うん」
Come to the forest of the sleep.
Come to anyone secretly.
The child to love.
The pitiable child.
You were caught by the witch on the forest.
Already, it is never possible to return to
the original world.
Therefore, sleep.
By this forest.
眠りの森へいらっしゃい。
誰にも内緒でいらっしゃい。
愛しい子。可哀想な子。
あなたは森の魔女に捕まった。
もう二度と元の世界には戻れない。
だから眠りなさい。
この森で。
お題:那智様
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