12月。クリスマス直前のある日のこと。


「え?サンタクロース?」


息子にその存在を問われたヒスイの目が泳ぐ。
「い・・・いるよ」
「ホント?プレゼントくれるの?」
絵本で読んだ、と、スピネルが言って。
「うん!何が欲しい?私がサンタクロースに頼んであげるっ!」と、ヒスイ。
「ママ、サンタクロースと知り合いなの?」
「え?ま・・・まあ・・・ね」
純粋で聡明な我が子の質問に若干後ろめたくなりながらも。
「何でもいいの?」
「うん!何でも!」
私に任せて!と、胸を叩くヒスイ。
サンタクロースの話題にスピネルが食い付いてきたのが嬉しかったのだ。
ところがこのあと・・・


「だったらボク、兄弟が欲しいな」


「ええっ!?兄弟!?」
予想外のおねだりに、ヒスイは動揺。
「ボクね、サンタクロースにお願いしようと思って・・・」
プレゼントを入れて貰うための、巨大な靴下を見せられ、ヒスイは何も言えなくなってしまった。
「そ・・・それじゃ、私からサンタクロースに話しておくから・・・」
「うん!」



その夜、夫婦の寝室にて。

「ど・・・どうしよう、オニキス」
「・・・安請け合いするからだ」

「今夜して、明日ポコッと産まれないかな」
「・・・無理に決まっているだろう」

「そうよね・・・」
はぁ〜っ・・・珍しくヒスイが溜息。
サンタクロースの件で真剣に頭を悩ませている。
何故そんなにこだわるのか、オニキスが尋ねると。
「夢はひとつでも多い方がいいじゃない」と、ヒスイ。


サンタクロースなんて、今しか信じられないものでしょ?


「・・・夢を信じさせてやりたい、と?」
「うん。でも・・・」
ヒスイとて、わかっているのだ。
今日明日でどうにかできるものではないと。
「とりあえず、はい」
「・・・何だ、これは」
オニキスはヒスイから得体の知れない錠剤を受け取った。
「一応、できることはやっておこうと思って。催淫強壮剤」
子作りのため、いつもより頑張って貰わないといけないから、と、ヒスイ。
「飲んで。私も飲んだから」
「・・・知らんぞ。どうなっても」
ヒスイの無茶に付き合うのもまた・・・愛。
オニキスはそれを口の中に放り込んだ。



「ちゃんと飲んだ?」「ああ」
それから二人、キスを交わし。
裸で向き合えば・・・明らかな勃起と濡れ具合。
「ヒスイ・・・」
早く触れたい、男の気持ち。
「オニキス・・・」
早く触れて欲しい、女の気持ち。
ふたつの想いが重なり、ベッドへ。
ヒスイが下、オニキスが上で、今夜の性交が始まった。


「んぅ・・・っ・・・」
息を吸うのも忘れるほどの、濃厚甘美なキス。
続けて、オニキスの右手がヒスイの小振りな乳房へと伸びた。
5本の指で乳首を摘み、根元から先端まで、軽く引っ張るようにして愛撫する。
「あッ・・・んッ!!んッ・・・!!んんッ!!」
先端の先端が、くすぐったく、気持ち良く。
膨れて、尖って、過敏になって。快感が、急激に増してゆく。
催淫剤を使っているため、そのまま一気に火がついて。
「あッ!あぁぁぁ・・・ッ!!」
たった1点の刺激でもう頂が見える。更に。
「ひぁッ・・・あぁぁ・・・んッ!!」
もう片方の尖りが、乳輪ごとオニキスの口の中へ入り。
温かな粘膜に包まれる。
「ふぁ・・・ッ・・・あぁぁんッ!!」
オニキスの舌の動きに合わせて、乳首が上を向いたり、横を向いたり。
「あぁんッ!!あぁ・・・ッ!!」
その度に、ヒスイはオニキスの腰を両脚で挟みつけ、喘いで。
グチョグチョと、際限なく股を濡らした。


「ふぁ・・・あぁ・・・ッ!!あッあ・・・あッ・・・」
「・・・・・・」
頭上でヒスイの甘いよがり声がする。
オニキスのペニスにも催淫効果が現れ、太く硬くそそり勃ち。
その先が、自分でも信じられないくらい濡れていた。
ヒスイを求め、滴り落ちる男の汁。
いつものように、堪えがきかない。
力加減も思うようにいかず、ヒスイに触れる指も舌も、段々と強く乱暴になっていく。
摘んでいたものをねじって。舐めていたものを噛んで。
「あぁ・・・んッ!!オニ・・・っ!!」
乳房への愛撫を続けながらも、意識は徐々に下半身へと引っ張られ。
ペニスがヒスイの膣口を探る・・・無論それは射精をするためで。
なまじヒスイの膣の心地良さを知っているだけに、早く挿れたくて堪らない。
「は・・・」
オニキスの呼吸が深く荒くなる。
「あッ!!んん・・・ッ!!」
ヌルヌルとしたヒスイの溝にペニスを擦り付けるオニキス。

くちゃくちゃくちゃくちゃ・・・

自身の幹でヒスイの陰唇を引き潰す、が。
「あぁぁッ!!オニ・・・キスっ・・・」
ヒスイに名を呼ばれ、我に返る。
(だめだ・・・まだ・・・)
ヒスイの入口も中もほぐしていない。
催淫作用に流されて、膣への愛撫を疎かにしたくないのだ。
こんな時だからこそ、妥協すまいと、オニキスは腰を引き、ヒスイの膣口に顔を寄せた。
「あ・・・ッ!!」
ビクンッ!!触れた方が驚くほどの反応を見せるヒスイ。
オニキスが舌先で膣口を開くと、愛汁がブワッと溢れ出し、窄めた舌を伝って、口の中へと入ってきた。
それを飲み込み、膣内へと舌を進める・・・
「んは・・・ッ!!ああッ!!」
舌挿入の快感に、ヒスイは顔を歪ませ、身悶えた。
ヒスイはヒスイで、膣への刺激が欲しくて堪らなかったのだ。
とはいえ・・・今夜は素直に悦べない。
「だ・・・だめッ・・・いっちゃ・・・う・・・ッ!!」
舌で開かれることをヒスイが拒むと、オニキスは一旦口を離し。
「構わん。何度でもいけ」
「だ・・・って・・・それじゃ・・・」
子作りセックスなのだ。中出しして貰わないと困る。
「焦るな。大丈夫だ。ちゃんと中に出す」
オニキスはヒスイの頬を撫でながら、そう言い聞かせた。
「今は・・・オレに集中しろ」


「ん・・・ッ・・・」
オニキスを信じ、“今”に集中するヒスイ。
絶頂を恐れず、与えられた快感に身を委ねる・・・と。
「あ・・・・・・ッ・・・」
オニキスの舌に膣内を舐め回されている。
丁寧なその動きから、どれだけ愛されているかわかった。
「あぅぅ・・・ッ・・・オニ・・・キスぅ〜・・・」
熱く蕩けるその舌に、膣壁を溶かされてしまいそうだ。
「あッ・・・うぅぅッ!!」「い・・・ッ!!」
「あ・・・ッ!は・・・ッ!!」「んぅッ!!」
「あッ!あッ!あッ・・・あッ、あ・・・あぁッ!!」
ビクビク、ビクン・・・ッ!!
オニキスの舌にされるがまま、ヒスイの膣は痙攣と収縮を何度も繰り返した。
そしてついに・・・
「・・・れて・・・いれて・・・も・・・いれて・・・」
オニキスの髪を掴んで、ヒスイは泣きながらペニス挿入を訴えた。
そこでやっとオニキスが応じ。
「ん・・・はぁ・・・」
挿入前の熱い口づけ。絡める舌まで愛欲に溺れて。

ぐちゅぅ・・・

「ひぅッ・・・あぁぁぁんッ!!!」「く・・・」
挿入と同時に膣が締まる。どちらも堪らず。
「あ・・・あ・・・」「・・・・・・」
目を閉じて、繋がり合った悦びに浸った。
それから・・・
「あ・・・ッ!!はぁ・・・ッ!!」
先に腰を動かしたのはヒスイだった。
「はぁ・・・ッ・・・はぁ・・・んんッ・・・」
オニキスの肩を掴み、結合部を揺らして。
ぐちゅぐちゅと鳴る音に耳を傾けながら、快感を貪る。
「は・・・あぁ・・・んッ・・・」
体が小さい分、催淫剤の回りも早かったのだ。
人一倍強い羞恥心も、麻痺してしまっていた。
「あとはオレが・・・」
これ以上、ヒスイに恥ずかしい真似はさせられない。
オニキスはヒスイの両脚を開き、限界までペニスを押し込んだ。
「んぅ・・・・・・ッ!!!」
腰を振り、ヒスイの首筋にキスを落とし、肌を吸って、舐めて。
「あッあッ、あッ、あぁぁッ!!あんッ!!あッ!あッ!ああッ!!」
膣奥を突かれる度、躍り上がる腰。
下半身が、快感に狂っていく。
「ひッ・・・あッあッ・・・あぁッ!!」
激しく擦られることで、愛液は異常なまでに量を増し。
このまま、体中の水分がすべて愛液となって出てしまうのではないかと思うほどに、ビチャビチャと結合部から漏れて。

「んぁぁぁぁッ・・・!!あッ・・・」

ヒスイは可愛らしい声で絶叫し、待望のペニスで達した。
「は・・・・・・ぁ・・・」
ぐったりと全身から力が抜ける・・・その時。
「あっ・・・」
ピクン。ピクン。ヒスイの体が震え出した。
オニキスに精液を注ぎ込まれているのだ。
「ん・・・オニ・・・キス・・・」
「っ・・・ヒスイ・・・」
オニキスは、ありったけの愛を、ありったけの精に変え、ヒスイの子宮へと捧げた。



「うッ・・・うぅん・・・」
催淫剤の効果で、イッてもまたすぐ疼きだす、ヒスイの体。
それはオニキスも同じで。二人は休みなく交尾し続けた。
射精の度にヒスイの膣内はオニキスの精液でいっぱいになったが、こぼして・・・また欲しがって。
せがまれるまま、夜明けまで。
オニキスはヒスイの膣内で射精を繰り返した。



翌日。

「う〜ん・・・」
一晩中、脚を開いていたせいで、ヒスイの歩き方はどこかぎこちない。
(なんかまだオニキスのが挟まってるみたい・・・)
催淫強壮剤の効果は思った以上に持続し、それこそ朝まで性器を交わらせたが、新しい命が宿ったかどうか定かではない。
「大丈夫か?」
ヨロヨロと歩くヒスイに手を貸すオニキス。
薬を使おうが使うまいが、ヒスイへの愛は変わらない。
オニキスはヒスイを労い、その唇にキスをした。
「・・・子供に“何が欲しい?”って聞くのは、10カ月以上前じゃなきゃだめね」
キスを終えたヒスイが真顔で言うと。
ぷっ。オニキスは吹き出し。
「ああ、そうだな」



そして・・・12月25日。母と息子の会話。

「ママ・・・これなに?」と、スピネル。
不可解なものが靴下に突っ込まれている。
「なにって・・・サンタクロースのプレゼントだよ?」
ヒスイは目を泳がせながら。スピネルの“兄弟”と言い張った。
それは・・・手縫いの人形で。
なにせ不器用なヒスイが作ったもの・・・ゴミ捨て場から拾ってきたようなボロ具合である。
縫い目から綿が飛び出し、早くも腕がちぎれそうだ。
ボタンの目も、片方が取れかかっている、が・・・


「そのうちこれが人間になるのよ!」


と、ヒスイはまたとんでもないことを言って。
「えっと・・・人間になるまで1年くらいかかるかもしれないけど・・・待っててね?」
「うんっ!ありがと、ママ」



同じく・・・12月25日。父と息子の会話。

「あまりヒスイをからかうな」と、オニキス。
「サンタクロースは空想上の人物であると、先日教えたと思うが?」
「くすくす・・・だってママ、面白いんだもん」
スピネルは、綿と布でできた“兄弟”を抱きしめて笑った。
「今度はね、この人形が人間になるんだって。くすくす」
「・・・・・・」
(下手な嘘を・・・)
ヒスイは一体どれだけ子供に夢を与えたいのか・・・
「でもボク、ママ大好きだよ?パパもでしょ?」
「ああ」
スピネルの言葉に、笑みがこぼれる。
空回りしていても、ヒスイの愛はちゃんと伝わっているのだ。
オニキスはひとつの想いを胸に、「勿論だ」と、頷いた。
(来年のクリスマスには・・・)


ヒスイの嘘が、誠となるように。


(頑張ってみるか)




お題:紅葉様

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