※『世界に咲く花』完結後のお話です。
それは、赤い屋根の下。
平凡に、幸せな、日常の一幕。
「おっきくなんないなぁ。ヒスイの胸」
可愛い一人娘のヒスイ。
もう随分一緒にいるけど、胸の成長だけはイマイチ感じられない。
「失礼な。充分でしょ」
憤慨気味に言葉を返してきたのは当然コハクだ。
「手の平ですっぽり包めるのがいいんです。可愛いですよぉ〜」
「そんなもんかなぁ〜・・・」
負けじとサンゴの胸を思い出す。
それはいつでも鮮明に甦る記憶だ。
「あ・・・メ・・・ノウさま・・・」
サンゴの背中にキスをして、揺れる乳房を捉えて捏ねる。
掴んでも、掴んでも、掴みきれない幸せ。
優しく撫でてみたり。きつく絞ってみたり。
こぼれ落ちそうなサンゴの乳房はカタチをどんどん変えていく。
その度に反応も違ってて。
喘ぐ声や仕草でこっちが興奮してくんだよな〜・・・
「・・・ま、巨乳と貧乳じゃ楽しみ方が違うかな」
俺がそう洩らすと、コハクはあまり興味がなさそうに「そんなもんですかねぇ〜・・・」と、答えた。
こいつは、ヒスイのペッタンコな胸しか眼中にない。
「んっ?やったばっかなの?」
リビングの床にちょこんと座っているヒスイはコハクのシャツ一枚で。
時々目を擦ったりして、まだ少し眠そうにしていた。
「ええ。朝勃ちして、襲っちゃいました」
爽やかな笑顔で、やっぱりエロい。
つくづく能天気でおめでたい奴だとは思うけど・・・
ヒスイの隣でトパーズが本のページを捲っている。
「結婚記念日にケーキを焼いて祝って!」と、ヒスイが半ば強引にお菓子の本を見せているのだ。
「あいつ煙草やめたの?」
トパーズの口元。銜えていても、火は付いていない。
「ヒスイと子供達の前だけですけどね」
「へ〜・・・進歩したじゃん」
ヒスイがトパーズに犯られたって聞いた時、「やっぱりな」って、思ったんだ。
俺も昔は愛の欲しいガキで。
“母親”と呼べる相手がいなかったから。
ヒスイを求めるトパーズの気持ちはわかる。
“自分の存在をとことん思い知らせてやりたい”とか。
“自分を産んだことを思い出して欲しい”とか。
動機は単純で純粋。
何を考えているのかわからない奴ほど、そうなんだ。
ヒスイはヒスイでオニキスのことを想ってやったコトだし。
何が正しくて何が間違っていたかなんて結局誰にもわからない。
俺は、ヒスイが傷物になったとは思わないけど。
コハクにしてみればたまったもんじゃなかっただろうなぁ。
・・・妊娠しちゃったし。
ちょっと変わった家系図になっちゃって。
それでも、以前と全く変わらない生活を続けてる。
「お前って・・・案外、懐深かったんだな」
「何を今更・・・ってソコっ!!」
突然コハクが声を張り上げた。
トパーズがヒスイを押し倒して、シャツの上から胸を鷲掴み。
目くじらをたてたコハクがダッシュ。
そしていつもの親子喧嘩が始まった。
「ホント、面白い奴等だなぁ〜・・・」
ヒスイの胸はお世辞でも大きいとは言えないけど、トパーズにとっては特別な柔らかさを持つものなんだろう。
たぶん俺も。
サンゴに対する愛の何%かは、母親を求める気持ちに似てて。
“理想の母親”を重ねて、甘えた。
まさぐって。舐めて。吸って。噛んで。
時には挟まれたりしながら、ふとそんなことを考えたりして。
だからかなぁ・・・
どうしてもトパーズの肩を持っちゃうんだよね。
「お兄ちゃんっ!?トパーズ!?なんでケンカしてるのっ!?」
コハクとトパーズが同時にヒスイの胸を見る。
「・・・たまには揉ませろ」
「ダメっ!絶対ダメ!見るのも禁止!!」
「何だ、そんなこと」
ヒスイが胸を張って仲裁に入った。
「1個ずつ分ければいいじゃない。2個あるんだから」
ヒスイの発言に男連中がぎょっ。
(おい、おい、それじゃ3Pになっちゃうだろ〜・・・)
目に入れても痛くないほど可愛い孫(ひ孫)がたくさんいる。
けど。
まだまだ娘にも・・・手がかかる。
お題:七尾都子様
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