※『世界に愛がある限り』完結直後のお話です。
(精霊の森かぁ・・・。初めて来たけど綺麗な所だ)
大天使ダイヤ。地上で暮らすこと一年弱。
エクソシストの任務で近くの村まで出張してきたのだが、途中でパートナーのイズとはぐれてしまった。
そういう時は大抵、緑の多い場所で昼寝をしているイズ。
「だけど、この先は“資格を持つ者”じゃないと入れないらしいし」
この森を教えてくれた村人がそんな事を言っていた。
「森の番人が守ってるって、ホントかよ」
“世界”は、まだまだ不思議なことだらけだ。
「大丈夫なのはこの泉までか」
泉の向こう側に巨大な切り株がある。
(あの先に足を踏み入れるとヤバイとか・・・)
「ん〜と、イズは・・・ん?」
蒼い髪の青年を探していた筈が・・・
目に映るのは牡丹色の髪をした少女。
くるくる。ふわふわ。
(うわっ!?なんだアレ。髪の毛オバケ!?)
てっぺんから爪先まである長い髪を引きずって。
ゆっくりと歩く、小さな、小さな、少女。
(こんなに髪が長い女の子なんて初めて見た)
興味を惹かれ、こっそり後をついていく。
(あの子、精霊なのかな)
のろのろのろ・・・
(うわっ!?歩くの遅ぇ〜・・・)
少女の一挙一動がスローモーション。
時間の流れが遅く感じる。
(花の匂いがする・・・)
最初はちょっとした好奇心で追っていた。
しかし、いつしか夢中になって。
どんどん森の奥へと・・・
ツンッ。ドサッ。
「!?」
突然少女が転んだ。自分の髪に躓いて。
何かと放っておけない性分のダイヤは隠れていたことも忘れ飛び出した。
「大丈夫か!?」
少女を抱き起こして・・・ドキッ。
「大丈夫ですぅ。いつもなのでぇ」
大きな金色の瞳でダイヤを見上げる少女。
口調ものんびりと。間延びしている。
「君、精霊?」
「はいぃ。エリスといいますぅ」
「ふぅ〜ん。それが出会い?」と、ヒスイ。
エクソシストの寮にある食堂。
凄腕のエクソシストだったコハクがヒスイを連れて復職した為、寮内で顔を合わせる機会がちょくちょくあった。
「何度助けてもすぐ転ぶんだよ。なんか放っとけなくて」
そのままずっと、後について歩いた。
転ぶ度に助け起こして、気が付けば、エリスの家。
そこでお茶をご馳走になった。
「それからなんだ」
「へぇ〜っ・・・じゃあ、デート中なのね」
「バイキングで食べたことないって言うからさ」
不規則なエクソシストの生活に対応して、食堂は24時間バイキング方式。
勿論、デザートや飲み物もあり、そこらの喫茶店よりも断然味がいい。
エリスとコハクはそれぞれ物色中。
テーブルに残っているのはダイヤとヒスイ。
「デートっていうか・・・」と、しきりに照れるダイヤ。
「付き合ってるんでしょ?」
「付き合うとか、そんなんじゃ・・・オレそういうのよくわかんねぇし」
頭をカキカキ。汗をカキカキ。
「だけどさ、別れてもまたすぐ会いたくなるから」
時間をみつけては会いにいっているという。
くすくす・・・
「それを“恋”と呼ぶのよ」
「そ、そうなのかな」
「そうなんじゃない?」
「そういや、赤ん坊元気?」
「うん。たぶん」
この春双子を産んだヒスイ。
少し前までパンパンに膨れていたお腹が、すっかり元通り・・・
それがまた不思議でしょうがない。
産まれたての双子を見に行ったのは、ほんの一ヶ月前の話だ。
「な、ヒスイ」
「何?」
「赤ん坊って・・・どうやって作るんだ?」
ブホォッ!!
優雅にハーブティを啜っていたヒスイが吹き出す。
「しっ・・・知らないの!?」
「うん」
「キスは?するでしょ?」
「すっ・・・するわけないだろっ!エリスはその・・・と、友達だよ・・・」
「・・・・・・」
(ダイヤって・・・もしかしてすっごい奥手!?)
「で、どうやって?」
話がまた戻ってきて。
キラキラと輝く瞳。
あまりにも純粋なダイヤの眼差しに耐えられず・・・
『コ、コウノトリが運んでくるのよ』
「・・・って言っちゃったの?」
はははは!
コハクの爽快な笑い声。
食堂を後にし、寮にある夫婦の部屋でひと休み。
「うん。言っちゃった・・・」
我ながらとんでもないことを口走ったと思う。
「ダイヤ、すっかり信じちゃって」
「まぁ、天使は元々アッチの方は強くないからね。しなくても支障はないけど・・・」
「あ!見て!お兄ちゃん!」
窓から身を乗り出して、ヒスイが指差す。
その先にはダイヤとエリス。
どうやら寮内を案内しているようだ。
「へぇ。相手は精霊かぁ。しかも結構トシいってる・・・」
「えっ!?そうなの!?」
「うん。800歳くらいかな」
「800歳!?あんなに小さいのに!?」
「精霊は外見で判断できないよ」
「あ、そっか」
シンジュのことを思い出す。
散々な目に合わせてしまったな、と。
「年上の彼女っていうのもイイよね。あの二人、まだキスもしてないんだって」
「初々しいねぇ・・・」
ヒスイを後ろから抱きしめて、制服のファスナーを下ろす。
「あ・・・ん」
背中にコハクの唇が触れる。
真っ昼間。窓の外は快晴。
せっせとヒスイの制服を脱がせながら、撫で回し、舐め回し。
ぺちゃ・・・っ。ぐにゅ。ぐにゅ。
「んぁ・・・っ」
窓枠に両手をつかせ、ヒスイの性器を貪るコハク。
割れ目を指で開き、硬く窄めた舌先を押し込んで。
「あっ・・・ひぁ・・・んっ!」
「は〜い。コウノトリエキス注入しま〜す」
そんな冗談を言いながら、立ちバックで先端を嵌め込み、突き入れる。
「んっ・・・も・・・変な言い方しないで・・・あうっ!」
深く埋められたペニスをしっかりと挟み込んで。
「コウノトリだもん・・・コレじゃないもん・・・トリだもんっ!」
「おにいちゃ・・・ん・・・おねがい」
「ん?」
「このこと・・・ダイヤにはだまってて・・・」
「このこと?ああ・・・」
ニヤリとコハクが笑う。
「コウノトリの正体?」
かぁぁぁ〜っ
耳まで一気に赤くなったヒスイが小さく頷いた。
「・・・うん」
「なんとなく・・・ふたりはあのままがいいかな・・・って」
股の間をぐっしょりと濡らして、視線は窓の外。
失ったものを懐かしむような瞳をしている。
「くす・・・想像できない?あの二人がこんなことするの」
「あんっ!」
挿入したまま、前方の肉粒を摘む。
コハクの指先にヒスイの蜜が粘りつき、糸を引く。
「だけどダイヤだって男だから、いつか絶対、やるよ?」
「そうかもしれないけど・・・でも・・・あっ!ああっ!」
ダイヤとエリス。
「セラフィムがめちゃ格好良くて!ヒスイのことすっごく大事にしててさ!」
天界の思い出を交えて、熱く語るダイヤ。
「オレ等もあんな風になれたらいいな、なんて」
(あんな風に?どんな風にだ?)
自分で言っておいて『?』
「知っていますよぅ。熾天使さんとぉ、ヒスイさんのご夫婦は、森でも有名ですからぁ」
「えっ?そうなの?」
「はいぃ」
にっこりと、エリス。
その笑顔に見とれて。
時々息が止まりそうになるのはどうしてなんだろう。
(後でまたヒスイに聞いてみよう!)
コハクとヒスイ。
「あっ・・・おにいちゃぁんっ!!」
「よぅし・・・いいこだ」
ヒスイの内側がヒクヒクとイイ感じに締め上げてきた。
ご褒美に喉を撫でて、褒めてやる。
「僕等もコッチは程々にして、デートしようか」
「うんっ!!」
(あんなに羨ましそうな顔で、外見られたんじゃなぁ)
こっそりと苦笑い。
自分で子供を産んだばかりのヒスイが“コウノトリが運んでくる”なんて言ったのが可笑しくて・・・可愛くて。
「大丈夫だよ。ヒスイは昔と少しも変わってない」
「ホント?」
「うん」
腕の中で嬉しそうに笑うヒスイ。
その笑顔に、僕は何度だって恋をするから。
いつまでも色褪せないこの気持ちは、新しい恋人達にだってきっと負けない。
お題:KN様
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