ラリマーとの出会いを描いたショートストーリーです。
 



 地上に落ちた魔石ラリマーは、めぐりめぐって弱小国の王女の誕生祝いに守石として
 献上されます。

 その弱小国が何故弱小国かと云うと、領土の小ささもあったのだけれど、数年前に
 隣国がグロッシュラーに攻め滅ぼされて、結果グロッシュラーの脅威に晒されなければ
 ならなくなったから。


 王女が3歳になるかならないかの頃、ついに国はグロッシュラーに攻め滅ぼされます。
 もう助からないと確信した人々は、王女だけでもと、守石を持たせて逃がします。
 途中で一緒に逃げた護衛兵や乳母も、王女を守るために命を落として王女は一人で、
 どうしてこんなことになったのかわからないまま走ります。
 幼い足がもつれて転んで、半泣きになりながら傷だらけの手で守石を取り出し、両手で
 握り締めて祈ります。



 ―だれかたすけて、と。



 それで契約が成立し、ラリマーが呼び出されます。
 石にされ眠っていたラリマーは、その現状を見、石にされた中でうっすら覚えている
 記憶を辿り、目の前の泥だらけ、傷だらけの少女がこの滅ぼされた国の王女であると
 悟ります。
 一旦安全な場所へ、ということで、グロッシュラーを抜けて一番近いマーキーズへと
 向かいます。
 とりあえずこの少女を休ませる場所を確保しなくては、と考えたラリマーは、金色の羽根
 を引き抜きお金に換えて宿をとります。


 とりあえず傷を治すため、汚れを落とすために浴室へ連れて行き、薄汚れた髪を洗い
 流すと、コハクを思わせる見事な金髪が現れます。



 ―世界を滅ぼしてもなお、堕ちることのなかった彼。



 それが神の意思だというのなら。

 ふと、されるがままになっていた少女が、不安げにちらちらこちらを伺っていることに
 気が付き、安心させるよう優しく微笑み返し、こう言います。


 「もう、大丈夫ですよ」



 ―私にも、この少女を守ることができるでしょうか、セラフィム…。



                                        文:hiroko様

 
本編でもこちらの設定がベースとなっております。hiroko様に重ねてお礼申し上げます。