『面白そうだから、デートのついでに寄ってみれば?』
情報通であるメノウに勧められ、グロッシュラーのSMホテルにやってきたコハクとヒスイ。
「へぇ・・・これがSMホテルか」
興味深げに室内を見渡すコハク。
磔台や、人間サイズの檻、吊り緊縛のための丈夫な梁など・・・
目を惹くものばかりだ。持ち前の“S”気質が疼いてしまう。
一方、ヒスイは。
「・・・・・・」(何これ・・・)
三角木馬をはじめ、バラ鞭や蝋燭・・・見慣れない道具が沢山並んでいる。
「へんなの・・・やだよ?」そう口にするも。
「ん?」コハクが笑顔で振り返る。
これは・・・聞こえているのに、聞こえていないパターンだ。
「っ〜!!」
悟ったヒスイの表情が、早くも羞恥の色に染まる。
(ぜったいあやしいもん!!ここ!!)
このままでは、すごくエッチなことになりそうな予感がする。
「それじゃあ、早速だけど」
にこやかに迫ってくるコハク。
「な・・・なに・・・???」
後ずさりしたところで、逃げ切れる訳もなく。
いつものごとく掴まってしまうのだ。
「わ・・・ちょっ・・・」
まずは、目隠し。真っ黒なアイマスクのようなもので目元を覆われたかと思うと。
「お、おにいちゃ!?」
たちまち服を脱がされ。それから、磔台へと連れていかれる。
X型の磔台には、手枷足枷が付いていて。
「!?」
そこに繋がれてはじめて、自分が裸で拘束されたことに気付く。
「んッ・・・んんッ・・・!!」
体がX型に固定され。
手の自由も利かなければ、脚を閉じることもできないのだ。
「おにいちゃんっ!!」
最初は怒っていたヒスイも。
しばらくコハクが黙っていると。徐々に不安が募り。
「おにいちゃん・・・そこに・・・いるよね?」
「うん、いるよ」
声を聞いて安心する。
「なに・・・してるの?」
「何も。ただ、見てるだけだよ。綺麗なヒスイを」
そう言われて、どきり、とする。
目隠しされた状態では、視線の在処がわからないのだ。
「はぁっ・・・はぁ・・・」
淫らな緊張で、ヒスイの呼吸が乱れる。
どうしても、想像してしまう。視線の行方・・・
(どこ・・・みてるの・・・?おっぱい???それとも・・・)
「・・・あッ・・・ふぁんッ!!」
意識した途端、充血した乳首とクリトリスが体から飛び出る。
同時に、ヒスイの股間からねっとりとした愛液の糸が垂れ。
「んぅ・・・ッ・・・あ・・・」
重力のまま、長く伸びるそれに、膣肉が引っ張られるみたいで。
ある種の快感を覚えるが。
「だめ・・・ぜんぜん・・・きれいじゃ・・・な・・・」
腰を振って、糸を断ち切ろうとする。ところが。
「綺麗だよ。濡れてるヒスイも」
コハクに耳元で囁かれた瞬間に、ぴたりと動きが止まる。
「はぁはぁ・・・お・・・にぃちゃ・・・」
(こんなの・・・えっちすぎるよ・・・)
恥かしくてしょうがないのに。
コハクの褒め言葉に、悦びが湧き上がる。
ヒスイは“M”として、この倒錯的な状況を受け入れつつあった。
・・・するとそこで。
ヒスイの腹部に何かが触れ。
「!?ひぁっ・・・な、なに?おにいちゃ・・・・」
コハクが手に持っているのは、マジックペンだった。
体にラクガキなどをして辱めるSMプレイ用のものだ。
無論、ヒスイは知る由もない。
コハクはそれでヒスイの臍を囲むようにハートマークを描いた。
何のためかというと・・・
「今、ヒスイのカラダに魔法をかけたよ」
「ま・・・ほう?」
「そう ――」
「どんなに気持ち良くても、イケない魔法」
「!!そ・・・んな・・・や・・・」
・・・プレイ上の嘘である。
言い方を変えれば、暗示や催眠の類で。
(かかっちゃうんだよね、ヒスイって、こういうの)
「ヒスイ」
「ん・・・おにいちゃ・・・」
視界を奪われていても、キスに応えることはできる。
舌と舌を絡ませながら、互いの唇を寄せ合うコハクとヒスイ。
「はぁはぁ・・・はふ・・・」
口づけが深まる一方で。
コハクの手がヒスイの股ぐらへと入れられ。そこの愛撫が始まった。
「あッ・・・はぁ・・・」
絶頂を禁じられているヒスイは、怯えるような腰つきで、コハクの指を膣に迎えた。
ツプッ・・・ツプツプツプ・・・
「あうッ!!は・・・!!」
両腕を繋がれたまま、ビクンッ!ヒスイが顎を上向かせる。
膣いっぱいに快感が広がっているのだ。
白く儚げな喉元に、キスを交えながら、コハクが舌を這わせ。
(さて、どこまで我慢できるかな?)
出したり、入れたり、それによって量を増す愛液を眺めたり。
2本の指をペニス代わりに動かす。
「あッあッ・・・」
慣れてはいても、小柄なヒスイにとっては、結構な太さだ。
爪先立ちになるほどの、重厚な指ピストンを受けて。
当然、子宮口にも触られる。
「あッ・・・あぁぁんッ!!」
嬌声をあげながら、ヒスイが腰をくねらせると、ヌチョヌチョ、濡れた音が立つ。
しばらくその音を聞いたあと、コハクは膣深くから指を抜き。
そこに付着したヒスイの愛液を、いつものように舐めようとした・・・が。
途中で思い止まり。その手で、ヒスイの乳房を包んだ。
「あ・・・おにいちゃ・・・」
愛液でヌルつき。乳房を揉む手が、程良く滑る。
「あ・・・はぁ・・・」
ささやかながらも、カタチを変えながら、コハクの手に溶け込んでゆく。
(こんなにきもちいいのに・・・イケないなんて・・・どうしよう・・・)
「好きだよ」
ヒスイの内腿にキスをして、コハクが足枷を外す・・・
どのみちもう閉じることなどできなかった。
X型の磔台に背中を預け、そのまま両脚を抱え上げられ、ペニス挿入 ――
「ひッ・・・あ!!」
“イケない”と、思うと、余計に感じる。
ヒスイの股間に向け、コハクが腰を迫り出すと。
「あぁぁ・・・ッ!!」
肉襞が一気に奥へ寄り、膣全体が上の方へ動いた気がした。
「あうッ・・・うぁッ・・・」
内臓を圧迫されているからか、ヒスイの口から押し出された舌がだらんと垂れ、その先端から官能の涎を滴らせる。
ビクビク、拡げた両脚を震わせ。快感に溺れているのが見て取れる。
今にも達しそうな雰囲気だが・・・達しない。
“達することができない”と、思い込んでいるのだ。
コハクの両手がお尻を掴み、ペニスの抽送が始まった。
ズチャッ!ズチャッ!肉の中に肉を突き込む卑猥な音色。
「あッ・・・あんッ・・・あッ・・・」
気持ち良さに任せて、とめどなく濡れてゆく膣を、グチュグチュと掻き混ぜられる。
「んぐ・・・ふ・・・あぁ・・・」
(おなかのなか・・・なんか・・・どろどろ・・・して)
男の熱に弱いそこは、粘膜や襞までもとろけて流れ出ているのではないかと思うほど。
ペニスと、それがもたらす快感以外の感覚がない。
「あ・・・あ・・・おにいちゃ・・・」
(あそこ・・・どうなってるの?)という心の声はコハクに届き。
くすっ、優しい笑い声のあと。
「大丈夫だよ、ヒスイ。全部僕が見てるから」
「や・・・!!」
その言葉が、僅かに残ったヒスイの羞恥心を煽り。そして・・・
(あ、締まった)
しかし、ペニスにかかる圧力は絶頂時のものより若干弱い。
(そろそろイッてもおかしくない頃なのに)
“イケない”暗示がまだ効いているのだ。
(可愛いなぁ・・・)
「!!ひッ・・・あ!!おにいちゃ!!」
コハクがピストンのスピードを速め。
目隠しの下、ヒスイが両目を見開く。
「あッ!あッ!ふぁッ・・・あ!!!」
突き込みに合わせて、翡翠色の瞳が上へ上へと弾かれる。
「んぁッ・・・んぁぁッ!!あッ!!はぁッ!!」
優雅に腰を叩き込むコハクとは対照的に、ヒスイの腰は忙しなくガクガク揺れて。
(だめ・・・も・・・イキそうなのに・・・)
イケない魔法がかけられている。
「あッ・・・あぅぅんッ・・・!!」
ヒスイは、ペニスを挿入される度、潮を吹くようになっていた。
無意識に、快感を拡散させているのだ。
「ああ、ここから気持ちいいのが漏れてきちゃったね」と、コハク。
そこでヒスイが我慢の限界を迎え。
「おねが・・・も・・・イカせて・・・っ!!」
膣にペニスを入れられたまま、叫んだ。
「おにいちゃんのお○ん○んでイキたい・・・イキたいよぉっ!!」
錯乱気味に、恥ずかしい言葉を口にする。
「は〜い、よく言えました」と、満面Sの微笑みを浮かべるコハク。
ご褒美に魔法を解いてあげる――ヒスイに囁きかけてから。
呪文を唱え、“イケない”魔法を解く素振り。
すると、ヒスイの目隠しが外れ。※実はそのための呪文。
「おにぃちゃ・・・まほう・・・とけた?」
「解けたよ」
そう答えたあと、間髪入れず、キスで唇を塞ぎ。
コハクは、そのままヒスイの子宮を押し上げた。
「んむ・・・ッ!!んんんー!!!!」
両脚を跳ね上げ、悶絶するヒスイ。
子宮口から絶頂液が溢れ出す。
コハクが唇を離した途端・・・
「あぁぁぁぁぁ!!!!!」
ヒスイのイキ声が、甘い悲鳴となって、SM部屋に響いた。
続けて、亀頭で子宮口を擦り上げ、「よく我慢したね」と、ヒスイの体を揺するコハク。
「あ・・・あぁん・・・」
激しい絶頂の直後で、力が入らないのか、ヒスイの両脚はぶらんとして。
けれども時折、爪先がピクンと動く。子宮口の愛撫で、イッているのだ。
「もっと奥に欲しい?」と、コハク。
「ん・・・ほし・・・」甘えた表情でヒスイが答え。
コハクは、子宮口にそっと亀頭を挿し込んだ・・・が。
ヒスイにとっては、電流が走り抜けるほどの快感だったらしく。
「〜!〜!!!!」
声にならない声をあげて達した。
「それじゃあ、僕も――」
コハクの射精が始まる。
「んひッ!!あ!!!」
子宮のカタチを内側から変える、精液の大量放出。
その精液が通過しているサオを締め付けている膣も気持ちがよくて。
「あぁ・・・おにぃ・・・」
戻れない領域に到達するまで、イカされ続けるヒスイ。
「あ・・・ひ・・・ぃん・・・」
ペニスが抜かれた瞬間にもイッて。
逆流が始まると、今度はその快感で。
膣口から、精液をコプコプと漏らしながら、イッていた。
「短時間でずいぶんイッたね」
いやらしく躾けたヒスイの頬を愛しげに撫でるコハクだったが・・・絶頂以外の反応はない。
膣奥に刺激を加えれば、何度でも達するが。視線はおぼろげ。
ヒスイの意識は遙か高みへ飛んでいた。
手枷を外し、ヒスイの体を磔台から解放する。
と、いっても、コハクの腕の中へ落ちるだけだ。
「綺麗だよ。イッてるヒスイも、ね」
失神ついでにベッドでひと眠りして。ヒスイが目を覚ます・・・と。
コハクが何やら熱心に室内を見て回っていた。
「お兄ちゃん?何してるの?」
「家の地下を改装しようと思って」
「・・・ここみたいに?」
「うん、ここみたいに。ヒスイも気に入ったみたいだからね」
「っ〜!!」
痴態を思い出し、ヒスイの頬に再び赤味が差す。
気持ち良かったのは確かだが、こればかりは素直に認められない。
ヒスイは袖机にあったアナルパールを手に取り、コハクに投げつけた。
「お兄ちゃんのえっちっ!!」
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