「おにいちゃ・・・てばぁ、くすぐった・・・」


ちゅっ。ちゅっ。リビングのソファーで浴びせられるキス。
額、頬、耳の後ろから胸元まで、あらゆる場所にコハクの唇が触れる。
えっちの前の、イチャイチャタイム・・・
「ベッド、行こうか」
「うん・・・あ!!」
そこでヒスイが大声を出した。
「お兄ちゃん、喉乾いてない!?私、飲み物持ってくるっ!!」
コハクの返事も聞かず、ソファーを立つ。明らかに不自然な行動だ。
「ヒスイ???」



こちら、キッチンのヒスイ。
タンブラーに特濃牛乳を注ぎ、取り出したるは、5cmに満たない小瓶。
ラベルには“キモチヨクナール”と表記されている・・・つまり、媚薬だ。※アクアに貰いました。
「これでお兄ちゃん、すごく気持ちよくなるはずって、アクアも言ってたし」
セックスで、乱れるコハクを見てみたい。ヒスイにもそれくらいの野望(?)はあるのだ。
「強い薬だから、一滴垂らせば・・・」
蓋を開け、慎重に瓶を傾けた―その時。
「ヒスイ?飲み物の用意なら僕が・・・」
「!!!!」
背後から声をかけられたヒスイは驚き、手を滑らせ。
ぼちゃんっ!瓶ごとタンブラーの中に落としてしまった。
「あっ!!」(どうしよう・・・やっちゃった・・・)
瓶の中の液体がすべて溶けたのだろう。
ぶくぶく泡立ち、怪しい煙が立ち上る。
「お・・・おにぃちゃ・・・これはその・・・あの・・・」
「・・・・・・」(ヒスイに一服盛られるとはね)
何を、どれくらい、盛られたかは知らないが。
(うん。うん。可愛い。可愛い)
ヒスイの慌て振りに、萌える。
「おいしそうだね」
どこまでもヒスイに付き合うつもりで、タンブラーを手にするコハク。
「!!おにいちゃ、それっ・・・!!」


飲んじゃダメ!止める間もなく、一気飲み。


「・・・ん?」(これは・・・)
タンブラーの底に瓶が沈んでいるのを見て、状況を理解する。
「おにいちゃ・・・ごめ・・・薬全部つかっちゃ・・・」
ヒスイはかなり動揺している様子だが、そのくらいの失敗はいつものことだ。
「ははは、大丈夫、大丈夫」コハクは軽く笑い飛ばした。
・・・が、しかし。
(・・・あれ?)
下半身に、無視できない異変。
(大丈夫・・・じゃ、ないかもしれない)
ヒスイには、先に夫婦の部屋へ行っているよう伝え、トイレへ寄る。そして。
「う〜ん・・・これはまずいなぁ・・・」
コハクは個室でひとり、呟いた。



夫婦の部屋にて。

「お兄ちゃんっ!ごめんね!体、何ともない?」
心配顔で見上げるヒスイにキスをして、質問をはぐらかし。
「えっち、しようか」と、言ってはみたものの。
(さて、どうするか・・・)
ヒスイの服を脱がせ、カーテンを閉めるコハク。
月の光が遮られ、室内は薄暗くなった。一カ所、ベッドサイドのスタンドライトに淡い明かりが灯るのみ、だ。
「あ・・・おにいちゃ・・・」
仰向けで、ベッドイン。
ヒスイは、膝が肩につきそうな大胆ポーズでコハクを迎えた。
「ヒスイ」
今夜の前戯はクンニから。コハクはヒスイの股間に顔を寄せ。
まだ皮に隠れているクリトリスを見て、ホウセンカを思い浮かべた。
(確か、花言葉は・・・)


“私に触れないで”


(触っちゃうけどね)
こっそり、コハクが笑う。
それから、包皮を剥き。ヒスイの赤い実を舐めて濡らした。
「ひゃふッ・・・!!」
血が通い、脈打つ快感。
たちまち膨れ上がり、先端が弾け飛びそうになる。
「んんッ・・・!!」
察したコハクが、ちゅるるッ!それを吸い込んだ。
「あッ!ふぁッ!!そこ・・・い・・・んッ!!」
クリトリスを引っ張り出されると、いやらしく感情が昂って。
受動的だったものが、能動的に変化する。
「んッ・・・ああ・・・おにい・・・はぁはぁ」
ヒスイは自ら腰を浮かせ、コハクの口の中へ、尖りを入れるようになっていた。
「あ・・・んッ・・・はぁ・・・ぁん」
コハクの口粘膜が、気持ち良いのだ。
そのまま恥骨にかぶりつかれて、うっとりしてしまう。
「は・・・ふぅ・・・」
一方で、膣内が蒸れて疼き。入口から生温かい愛液とともに熱気が漏れる。すると。
コハクの舌がそこに移り、ぐちゅぐちゅと押し込まれた。
「あ・・・ああぁッ!!」
膣内で舌が動き出すと、愛液と唾液がせめぎ合いになり。襞の間で、度々激しく飛沫いた。
「あッ!あッ!おにい・・・ちゃ・・・ん、ふッ!!」
ヒスイも歓喜の涙を浮かべていた、が。
(そろそろ攻め方変えた方がいいな)コハク、心の声。
舌を入れた時の腰の揺れ具合から、膣が刺激に飢えているのがわかるのだ。



舌と中指を入れ替え、まっすぐGスポットへ。
「!!お、おにいちゃ・・・やッ!!!」
ヒスイが体を強張らせる。
潮吹きを強要されるのは、今に始まったことではないが、随分な至近距離だ。
コハクの顔を汚してしまうのが嫌で、必死に抗う。
「んッ!!ん〜!!!!!」
唇を噛み、自身の両手を握り締め。我慢して我慢して・・・堪えている気でいたが。
そもそもコントロールできるものではない。
ぶるッ!!潮吹きの予兆で体が震え。次の瞬間。


「んはぁ・・・ッ!!」


満ちた潮が内側から尿道口を突き破った。
「あ・・・あ・・・だめ・・・ぇッ!!」
一回目の発射は顔で受けて。湿った前髪を掻き上げるコハク。
額を出して、にっこり笑う。そして。
ちょろちょろ、勢いが弱まったところに口をつけ。ごくごく、飲み出した。
「や・・・そこ・・・おしっこするとこだも・・・おにいちゃ・・・んうッ!!」
やだやだ、と。コハクの髪を引っ張るヒスイだったが。
「!!あ!!あぁッ!!」
そこで再びクリトリス愛撫。唇で挟んで絞られ。
「!!!!!」
声も出せないほど感じてしまう。
そんなヒスイの膣に、人差し指を追加するコハク。
「ひッ・・・あ!!」
大きく跳ね上がった体をそっと抱き起こす、と。
ヒスイは息を切らしながら、コハクの首元に両腕を回し。
「あ・・・あ・・・おにぃ・・・」
ぎこちない腰使いで、コハクの指に欲情を擦り付けた。
ぷちゅぅ。気泡を作りながら、濡れた襞を揺らめかせる・・・


「イキたい?」


ゆっくり中を掻いて、コハクが尋ねる。
「ん・・・」
全身を紅潮させ、ヒスイが小さく頷いた。
「僕の肩につかまって・・・そう、上手だね」
コハクの手に跨り、立てられた指に沿って、膣を滑らせるヒスイ。
「あ・・・あ〜・・・!!!」
ぬるりとした感触の中に、出っ張った指の節を見つけては、腰を振りたくる。
「あんッ!あッあッ!!あッ・・・あぁんッ!!!!あッあッ!!あ・・・あぁ・・・」
絶頂の震えは膣内に留まらず、背筋を駆け上がってゆく様が見て取れた。
「よしよし、いい子だね、ヒスイ」

何度か達した後、正常位に戻り。3本に増やしての指戯が行われた。
「あ・・・ひッ・・・んんッ!!」
膣を弄られると、イクにはイクが、徐々に浅いものになり。またすぐイキたがる。
刺激を求めて止まない、その姿はどこか物足りなげで。
「ふ・・・う・・・うぅん・・・あ・・・おにぃ・・・」
ヒスイはコハクの胸に縋り、切ない声を上げるようになった。
「ヒスイ・・・」
ヒスイの髪を撫で、生え際にキスを落とすコハク。
(ごめんね、こんなに焦らして)心の声でそう告げる。
応えたくても、応えられない。
媚薬の大量服用により、男の部分がとんでもないことになってしまったのだ。
コハクは少々困った顔をして言った。


「指はもう飽きちゃったかな?」


「よっ・・・と」
ヒスイをあぐらの上に座らせ、顎を持ち上げ、キスをする。
「・・・・・・」(薬の効果が切れるまで、時間を稼ぐしかないんだけど・・・)
そんな中、体良く枕元に電動マッサージ器。
「・・・・・・」(そういえばアクアが置いていったんだっけ)
読書の合間に、ヒスイは正しい用途で使用していたが。
「・・・・・・」(仕方ないか)
コハクは電動マッサージ器を手に取った。
「おにぃちゃ・・・?」
スイッチON。手のひらで震度を確かめ、ヒスイの股間に近付ける。
完熟して垂れ下がっているクリトリスを、逃さぬように指で囲んで。
設定は最弱。そして、微かな接触。
「あッ・・・いやッ・・・あ〜!!!」
ぴちちちち!!濡れていた尖りを弾かれる。
「あう・・・うぅぅんッ・・・」
唾液の薄膜が剥がされ、直に振動を感じるようになると、脚の付け根から、ぞわぞわ、肌の裏側に張り付くような快感が広がっていった。
それから、震える球体を膣口に押し当てられ。
「あ、あ、んッ!!!!」
振動だけが膣の中に入ってくる。
それは奥まで届かぬまま、罪な熱を生んで。ヒスイを悩ませた。
「はぁはぁ・・・あッ・・・!!」(なにこれ・・・あつ・・・)
入口に灯った官能の炎に、膣壁が溶かされる・・・まるで蝋のように。
どろどろとした粘液が出口に向かって流れてゆくのがわかる。
「あッ・・・おにいちゃ・・・もうやめ・・・ああッ!!」
コハクの操る電動マッサージ器に、どこもかしこも発情させられ。
アナルまで淫らに湿り始めていた。
「いや・・・あぁんッ・・・」


快感と、混乱。


こんな風に、コハクに道具を使われることはなかったと思う。
「おにいちゃ・・・な・・・んで・・・あッんんッ!!」
尋ねても、笑顔とキスで誤魔化すばかりで。道具責めが続く。
「っ!!や・・・も・・・!!」
ヒスイは渾身の力で電動マッサージ器を払い除け、ベッドを下りた。
「ヒスイ?」
よろよろと歩いて部屋を出る・・・追いかけて連れ戻すのは簡単だが、あえてそれをせず、後に続くコハク。
キッチンへ辿り着くと、ヒスイは、床下貯蔵庫の前で座り込んだ。
「も・・・野菜でいいもん!!」
コハクに向けてそう言い放ち、「んんっ!」力いっぱい扉を引き上げる。
野菜でいい――本気でそう思っている訳ではなかった。
甘えっ子が、駄々をこねているだけだ。
「ニンジンでもキュウリでも・・・」と、ヒスイは貯蔵庫を覗き込んだ、が。
そこには、トウモロコシとゴーヤしかなく。口を噤む。
「・・・・・・」
「さて、どっちがいいかな?」
コハクは笑ってヒスイの肩を抱き、股間に手を差し入れた。
「あッ――」
熱を帯びた陰唇を撫でられると、たちまち腰が砕ける・・・
コハクに体を預けたヒスイは、今にも泣き出しそうな顔を上げ、言った。
「もしかして・・・薬のせい、なの?」
テーブルの上に置きっ放しになっていたタンブラーを見て、己の失敗を思い出したのだろう。
「うん、まあ。薬を全部飲んだ僕が悪い・・・」
「違う!!私のせいでしょっ!!」
こんなに優しくしてくれなくてもいい、というヒスイの言葉を聞いたコハクは苦笑いで。
「くすっ、そんなこと言って――」


「いじめて欲しいの?」


「ち・・・ちが・・・」慌てて赤くなるヒスイ。
「じゃあ期待に応えて、ちょっとだけ」
コハクは戸棚からあるものを出して見せた。
「ヒスイの大好きなバナナだよ。お腹、空いてるでしょ?」
そう言って、バナナの先を剥き、ヒスイの膣に食ませる――
「部屋まで、これで我慢してね」
「あ・・・ああッ!!!!」
羞恥に喘ぎながらも、ヒスイは無意識に腰を揺らしていた。
収まりの良いところを探しているのだ。
ぐにゅぐにゅ、膣肉が形を変え、余分な愛液を吐き出す。
「ああ、すごい蜜だね」
バナナを咥えた膣口を眺め、目を細めるコハク。
「後で僕も食べるから、ヒスイの中で美味しくしてね?」
「んふぁ・・・あ・・・おにい・・・ちゃ・・・」
(あたま・・・おかしくなりそ・・・)



コハクはヒスイを抱き上げ、夫婦の部屋へと引き返した。
小さな体をベッドにそっと寝かせると。約束通り、膣からバナナを取り除き。
「あのね・・・」ヒスイの耳元で、真実を明かす。
薬を飲み干した直後からペニスが3本に増え・・・勃起した姿は、異形としかいいようがない、と。
それから、スタンドライトを消し、室内を真っ暗にした。
「元に戻るまで待つのは止めにするから」


「見ないで――感じるだけにしてね」


「あぁ・・・おにぃ・・・」
膣口がぶちゅりと鳴って。
ぐちゅちゅちゅちゅちゅ・・・亀頭と共に、音が奥へ奥へと伸びてゆく。
「んぅ・・・んんんッ・・・あッあぁッ・・・」
ヒスイは、両脚を拡げられるだけ拡げて悦んだ。
こうしてペニスを得たものの。
「あうッ・・・うッ、あッあッ、ああ・・・ッ!!イッちゃ・・・あああ!!!」
絶頂までヒスイを突き上げて、すぐ交代。
新しいペニスが、再び絶頂へ向けて、激しく動き出す。
「あッんッ!!おにいちゃ・・・おにいちゃぁっ!!はっはっ・・・」
入れ代わり立ち代わり訪れるペニスを、平等に愛そうと、ヒスイも懸命に腰を使った。すると。
「あ、あぁ〜・・・ひ・・・ふぁ・・・」
絶頂に絶頂が重なり、抜け出せなくなって。
「あッ!ひッ・・・!!!ひぃんッ・・・」
絶頂したままピストンを受け続け・・・力なく揺れる体。徐々に焦点が合わなくなってくる。
透き通っていた瞳は濁り、けれど逆に深みを増して、それはそれで美しかった。

ぐちゅぽッ!ぐちゅぽッ!

「あ・・・あんッ・・・あんッ・・・ああぁんッ・・・」
弛みきって、ぽっかり開いた穴に、順繰りペニスが挿入される。
もう、どれが何回入れられたか、わからない。
射精をしないペニスはずっと硬いまま。
ただただ、気持ちが良くて。
「あ・・・ふぁ・・・」
なぜ“射精しない”のか、気付くのに、時間がかかってしまった。
「お・・・にぃちゃ・・・」
コハクは何も言わないが、恐らく、単体では射精できないのだ。
そうなると、必然的にこの考えに至る。
「ぜんぶ・・・いれて・・・ちゃんと・・・さいごまで・・・」
「うん、そうだね」
瞳を伏せ、返事をするコハク。
「でも――」
無理はしなくていいからね、と、念を押し。
ペニスを束にして、挿入に臨んだ。

みち・・・みちみちみち・・・

「ひッ、う!!あ、ああぁ!!!!!」
乳首とクリトリスと舌が同時に飛び出るほどの、強烈な快感。
尋常ではない拡がり方をしているが、痛みはなかった。怖いとも思わない。
「はぁはぁ・・・おにぃ・・・ちゃ・・・ん・・・んんッ!!」
コハクは、いつになくゆっくりと腰を動かした。
「ふッく・・・ッ!!ああッ!!」
(おっきいの・・・うごい・・・て・・・)
ひと掻きで、気が遠くなりそうだった。
膣が捻じれ。汗にまみれたお尻がシーツを巻き上げる。
「ふぁ・・・あぁぁんッ!!!」
ペニスの束と一緒に、じゅるじゅる、蕩けた膣肉が流動し。
擦り切れそうな結合部から、一本、また一本と、泡粒を含んだ愛液が垂れ落ちる――



「ん・・・」
互いに頬を包んで、交わす口づけ。
誓いのキス。欲望のキス。慈しみのキス。安心のキス。
あらゆる意味を織りまぜて。ふたりは何度も唇を重ねた。
「・・・きつい?」コハクの問いかけに。
「へ・・・き・・・」ヒスイが答える。
セックスに慣れてしまってからは、きつい、という感覚を忘れていた。
今、それを思い出したことで、予期せぬ興奮を覚え、膣が過敏に反応する。
「!!あ・・・おにいちゃ・・・!!!」
落ち着かない様子で、コハクのシャツを引っ張るヒスイ。
「そう、わかる?ヒスイのなかで・・・」
くっきりと筋を浮かべたペニスの束が、所狭しと迫り上がっていた。
「もうじきだよ」
コハクが予告して間もなく・・・3本のペニスが子宮口へ向け、一斉射精。
「ひぃッ!!あ!!!!!」
そこはもう開いていた。精液が、物凄い勢いで入り込む。至上の快感だ。
「あ・・・はぁ・・・」
頭の中までじんわりと熱いものが染み広がって。
意識を失う寸前に「好きだよ、ヒスイ」と、コハクの声。
ヒスイはうっすら微笑んで目を閉じた。
「間に合った、かな」
愛の告白が、今日は随分遅れてしまった。
暗闇の中、失神しているヒスイにもう一度。


「好きだよ」




「・・・ん?」
チカチカ、暗闇で携帯の光が点滅した。アクアからの着信だ。
「あ、パパぁ〜?ど〜だった?」
開口一番、これである。
「“アレ”は、君が?」※アレ=キモチヨクナール
「そだよ〜」と、アクア。
「パパってぇ、思ってること顔に出ないから、わかりにくいんだよ〜。えっちしてる時ぐらい、キモチイイ顔した方がい〜よ」
長年覗きをしてきた立場から、堂々と物申す。
「う〜ん・・・そう言われてもね・・・」
(僕だってちゃんと気持ちいいんだけどな)
電話を切って、ふと思う。
「まさか・・・ヒスイに伝わってない???」
だとしたら、由々しき問題だ。
「気持ちいい顔、ねぇ・・・」と、改めて呟くコハク。

その後――

鏡に向かって、練習したとか、しないとか。




‖目次へ‖