「お前にさ、いいモンやるよ!」


と、メノウがジストの部屋へ運び込んだのは、全長約145cmの大人の玩具。
透明な柩型のケースで梱包されている、その中身は・・・
「じいちゃん・・・これ・・・ヒスイそっくり」と、ジスト。一目でドキッ、だ。
「もしかしてこれ・・・」
「そ、ラブドールってヤツ」
またの名を、ダッチワイフ。オナニー用アイテムだ。
「アンデット商会と共同開発したんだよ」
毎度行き場のない、孫の勃起を不憫に思ってのことだった。
いわば、ジストのための、特注品だ。
「声は出ないけど、アソコの具合はバッチリだからさ!ま、これで一発ヌイてみなよ」
「へっ!?じいちゃんっ!?」
驚くほど値の張る代物だが、気前よくジストに与え。
メノウは上機嫌で部屋を出ていった。



ジストは、柩型のケースからラブドールヒスイを抱き上げ、自身のベッドにそっと寝かせた。
ラブドールヒスイは、ヴァンパイア仕様になっていて、黒いマントに包まれていた。
首元に結び目があり、それを解けば、美しい裸体を拝める。


とりあえずシャワーを浴び、腰にタオルを巻いて。
(いいのかな、これ・・・)
照れて、ポリポリ頬を掻くジスト。
説明書の手順に沿って、ラブドールヒスイをうつ伏せに。すると背中側に蓋があった。
無論、目立たないよう配慮されているが、開くと中は空洞で。
何かセットするような作りになっていた。
ラブドールヒスイには付属品が多数あり、中でも特に重要なのは、愛液の代わりを果たすローション入りボトル。
それともうひとつ、嬉しいオプション。
搾乳プレイ用の特製ミルクだ。これもボトル詰めされている。
それぞれ所定の場所にセットし、蓋を閉め、仰向けに戻す。
「ん〜と・・・これでいいのかな???」
顔を覗き込むと、瞬きこそしないが、オリジナルのヒスイと寸分違わず。
メノウ曰く、体のサイズも穴のサイズも全く同じとのことだ。
(やっぱ小さいな、ヒスイ・・・めちゃくちゃかわいい・・・)
行為を前に、鼓動が高鳴る。
素肌もさらっとしていて、生身に近い質感だが、一番の驚きは、ラブドールヒスイの匂いだ。
オリジナルヒスイの“恋しい匂い”がそのまま再現されているのだ。
フェロモン、ともいうべき、ジストを誘惑する芳香が。
「ホントに・・・ヒスイみたいだ・・・」
唇もリアルで・・・キスを誘うものだが、唇を重ねることはしなかった。
オリジナルのヒスイとキスをしたままの唇でいたかったからだ。※WJ55話参照。
とはいえ、性欲は旺盛で。
タオルの下はすでに持ち上がり、染みまで作っていた。


ラブドールヒスイの上に跨り、もう一度上から下まで眺める・・・
腹部に『LOVE DOLL HISUI:001』と刻印が打ってあった。
説明書によると、お臍が起動スイッチになっているらしい。
緊張しつつ、お臍を押してみる。特に目立った変化はない、が。
最新技術で、極上の快感が約束されている。あとは、好きに抱くだけだ。


ラブドールヒスイの乳房に触れるジスト。
(うわ・・・マシュマロみたい・・・)
淡い膨らみを軽く摘むと、乳頭からじわぁ・・・白いものが浮き出てきた。
息子の性か、目にした途端、迷わず口を付けた。
(ヒスイの・・・味・・・する・・・)
舌に滲み込む母乳・・・久しく忘れていた味の記憶が甦る・・・
ジストは、ラブドールヒスイの乳首を唇で挟み、舌先でてっぺんをほじくるようにして母乳を求めた。
それから。揉んで、吸って。揉んで、吸って。
強く握れば、それだけ多く出ることに気付くと、男の力でぎゅうぎゅうと、ラブドールヒスイの乳房を絞った。
口に含んだ乳首の先端から、びゅうッ!びゅうッ!勢い良く母乳が噴出し、喉の奥にあたる。
「ん・・・ヒス・・・」
もっと、もっと、と。ラブドールヒスイの乳首を、ちぎれるほどに噛んで。
右も左も、涸れるまで吸い上げた。


「は・・・はぁ・・・はぁ・・・」


母乳が育てたのは・・・ジストのペニス。
赤ん坊ではないので、飲んで終わり、という訳にはいかない。膣が必要となってくる。
腰に巻いていたタオルは自然に外れ、勃起が剥き出しになっていた。
ラブドールヒスイの腹部に、カウパー腺液をぽたぽたと垂らしている。
「っ・・・」
(やば・・・も・・・すっげー挿れたい・・・)
そこでジストはラブドールヒスイの両脚を開いた。
その中心部には、シリコン製の膣穴が用意されていた。
新品=処女であるため、挿入口は少々きつめに作られている・・・
エロティックでロマンティックな、心憎い演出だ。
「ちゃんと入るかな・・・」
ジストは爽やか系美少年だが、顔に似合わずペニスは漢らしい。はっきり言って、巨根だ。
一方、ラブドールヒスイの膣は小振りで。付き方から、形、色、奥行きまでオリジナルを完全コピー。
市販のものとはクオリティが全然違う。
初心者のジストは、まず正常位で。ラブドールヒスイの膝と足首を直角に曲げた。
両手でその太股に掴まるようにして、快楽の穴へ、ペニスを押し出す・・・


「ん・・・っ」


ペニスを根元まで詰め込んでも、ラブドールヒスイはピクリともせず、天井を見ているだけ・・・だが。
(すげ・・・なか・・・濡れてきた・・・)
ローションが膣襞から染み出す仕組みになっていて、擦れば擦るほど膣内がねっとりしてくる。こうなるともう、腰を振るしかない。
「はっ・・・はっ・・・」
ジストのペニスはローションで濡れ光っていた。ぬらぬらと・・・かなり淫猥だ。
(ヒスイのって・・・ホントにこんな感じ・・・なのかな・・・)
ラブドールヒスイに体温と呼べるものはないが、膣にはヒーター機能が搭載されている。
適温に調節された粘膜で、ペニスを包んでくれるのだ。
そんなことをされたら、膣内でますます育ってしまう。

ズクッ!ズクッ!

奥を突けば突くほど、ご褒美とばかりに締め付けられ。
夢中になって、ペニスを奥へ奥へと伸ばしていくうちに。
「あ・・・ここ・・・」
ラブドールヒスイには子宮口まであり、ジストを驚かせた。
(ヒスイ・・・ここ弄られんの好きなんだよな)
コハクのペニスで擦られて、あんあんと悦んでいる姿を思い出す・・・と。
「う・・・」(なんか・・・)
異様に興奮し、袋の中の精子がざわつく。
ジストは、ひとまわり太くしたペニスを子宮口へ突き立て。
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
腰を捻って、種付け行為に没頭した。


あ、あぁぁぁッ!!ひッ・・・いんッ!!!


脳内のヒスイは喘ぎまくっているが・・・室内は、静かだ。
くちゃくちゃくちゃくちゃ・・・
(アソコはすげー音すんのに・・・)
嬌声などは全くなく、自分の息遣いだけ。
耳を寄せても、ラブドールヒスイの心音は聞こえない。
「っ〜・・・」
ジストは沈黙に耐え兼ね。
ヒスイモデルの膣に、ギンギンになったペニスを思いっきり突っ込んだ。
抜いて、また突っ込んで。突っ込んで。突っ込んで。静寂を、紛らわす。
ラブドールヒスイの膣はカパカパ開き、そこから大量のローションが溢れ出た。
「んく・・・」
ジストは低い声で呻くと、上体を倒し。ラブドールヒスイと胸を重ね。
両手でシーツを掴んで、ガクガクガクガク、激しく腰を上下に振った。
睾丸が揺れて、射精感が最高潮に達する・・・制御不能を早々に自覚し。


「っ!!ヒスイ・・・っ!!」


ラブドールヒスイの耳たぶを甘噛みして、射精した。
「んっ・・・!!!!」
びゅくッ!!びゅくッ!!
黙ったままのラブドールヒスイに、精液の発射音を聞かせ。
ドクドクドク・・・と、続く。
「っ・・・まだ・・・動いてる・・・」
(そうだよな・・・スイッチ・・・切ってないもん)
達してもなお、膣肉で揉みくちゃにされるペニス。
じんと腰が熱くなる。
ジストはゆっくりとピストンをしながら、ラブドールヒスイの手を握り。
「・・・ね、ヒスイ。オレのこと、好き?」と、尋ねた。
当然、返答がないことはわかっているが。
「ねぇ・・・」



「好きって・・・言ってよ」



自慰の果ての独り言が、切なく響く。
どうしても、その言葉を望んでしまうのだ。
「・・・・・・」
本物のヒスイだったら。
(こういう時、好きって・・・言ってくれんのかな)
それすらも確かめようがない。片想いの辛いところだ。
起動スイッチをOFFにして、ペニスを引き上げるジスト・・・
「イカしてくれて、ありがとな」
ラブドールヒスイに礼を述べ。
「ごめん・・・ヒスイ」
オリジナルのヒスイに謝罪した。



翌日。

ラブドールヒスイは柩に戻されていた。
「何?良くなかった?」と、メノウ。
「ううんっ!すっげー気持ち良かった!!」
ジストは感謝の意を伝え。
「でもさっ!どんなにヒスイそっくりでも、やっぱりヒスイじゃないから・・・なんか、浮気してるみたいな気分になっちゃって」
「ラブドールで・・・浮気、なワケ?」
「うん」ジストが頷く。
「人形に慣れちゃうと、本物の扱い方わかんなくなりそうだし」
(昨日は、オレ、どうかしてた)
思い返すと、死ぬほど恥ずかしい。反省点ばかりだ。
(おっぱい、あんな吸い方したら絶対ヒスイに怒られるって・・・)
ジストは、真っ赤になった顔を手で半分隠し、しばらくきまりが悪そうにしていたが。
「オレ・・・」


「本物のヒスイには・・・優しく触れたいから」


と、メノウに告げた。
「へ〜・・・」(そうは言ってもさ)
本物のヒスイが、ジストを受け入れることはない。
叶わぬ恋から、逃げたくなることだってあるはずだ。
そんな日々の中。
(ちょっとくらい、ラブドールに溺れたって、誰も責めたりしないだろ、って俺は思うけど)
メノウの予想に反して、ジストは拒んだ。それはつまり・・・


叶わぬ恋でも、逃げない。


逃げる気が、ないのだ。


(常に本物と向き合っていく覚悟がある、ってコトなんだろうな)
なんともまっすぐで・・・強い心だ。
(これじゃもう、子供扱いできないよなぁ、童貞でもさ)
笑いを堪えるメノウ。と、その時。
「ね、じいちゃん」
「んっ?」
「オレ、ヒスイの抱き枕くらいで丁度いいかも」
などとジストが言うので。一気に吹き出してしまった。
「あははは!!!ったく、ラブドールより抱き枕って・・・お前――」



どんだけ純情なんだよ。






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