「おっし!届いたぜ!じいちゃん、サンキュー!!」


祖父メノウの協力により、“あるモノ”を手に入れたアイボリー。
ダンボールの小箱を抱え、裏口から走り込むと、リビングで休憩中のヒスイに声をかけた。
「ヒスイ!ちょっと来い!」
「うん?あーくん?どうしたの?」
眠そうに目を擦るヒスイを連れ、自室へ――




「ヒスイ、コレ何だかわかるか?」
早速開封し、アイボリーは“あるモノ”をヒスイに見せた。
それは・・・自慰用のアダルトグッズ、オナホール。※通販で購入。ちなみにメノウ名義。
「え?何これ?」
ヒスイにしてみれば、初めて見るものだった。
手に取り、まじまじと眺める。
「う〜ん・・・」
伸縮性のあるゴムに近い、シリコン製。
肌色で、そこそこ厚みはある。
筒状をしており、中心に穴が開いているが、貫通はしていない。
「ヒント!」と、言って、アイボリーが付属のローションを見せた。
「ん?」(あれ?これって・・・)
ヒスイもよく知るメーカー・・・
「・・・もしかして、大人のおもちゃ?」
「そ!ひとりえっち用のな!」
アイボリーが使い方を説明するも。
「うん、それで?」と、ヒスイ。相変わらず、察しが悪い。
「手伝って、って言ってんの!コレ使ってさ!手コキよかいいだろ?」
「あー・・・うん」
ヒスイも理解したらしく。
「そういうことなら、お兄ちゃんに聞いて――」
「待て!待て!」と、そこでアイボリーが止める。
できることなら、ヒスイと二人きりで成し遂げたい。
そのためのシナリオも当然用意していた。
「ヒスイならできる!」
コハクにお伺いを立てられてしまう前に。


「大人の女のテクニックで、俺を悦ばせてくれ!」


「!!大人の・・・女?」
言われ慣れない言葉に、ヒスイの目が輝く。
「そうよね・・・」露骨に嬉しそうだ。そして。


「いいよ!私に任せて!」


俄然やる気になるヒスイ。
「おう!頼む!」
(じいちゃんに、ヒスイのおだて方聞いといて正解だったぜ)




こうして、至福の時間が訪れた――

ヒスイが手にした新品のオナホール。
まださほど開いていない穴に、ローションを流し込み。
「じゃあ、いくわよ」
目の前で興奮を露わにしているアイボリーのペニスに被せ。
じゅぷぷ・・・ッ!!と、そのまま一気に根元まで滑らせた。
「っ!!すげ・・・」
目を閉じ、悦びに浸るアイボリー。それから。
「はー・・・」(ヒスイ・・・)
愛と欲望の息を吐き、目を開けた――ところで事件は起きた。
「!!!!」
視界に入ったのは、ヒスイではなく、コハク。
つまり、入れ替わっていたのだ。どうやら見つかってしまったらしい。
コハクは爽やかな笑顔で。
「やあ、あーくん。気持ち良さそうなことしてるね」
「ヒスイはどうしたんだよっ!!」
「避難させたよ。安全なところへね」
ヒスイを返せ!とのアイボリーの抗議も虚しく・・・
「さて、続きをしようか」



「なんでコハクにチ○コ預けなきゃなんねぇんだよ・・・マジ泣きてぇ・・・」
しかし皮肉にも、コハクはオナホールの扱いが上手く。
アイボリーのペニスが萎えることはなかった。
初めて使うという割には、力の加減や動かし方が絶妙で。
室内にヒスイの匂いが残っていることもあり、尚更、感じる。
「同じ男だからね、ある程度は心得てるよ」と、コハクは言うが。
「コハクはひとりでやんねぇじゃんか」
「まあ、そうだけど。ヒスイに見せることはあるよ」
「あー・・・そういうプレイな・・・んッ・・・」
ビクッ!ビクッ!コハクのテクニックに翻弄された若いペニスが、オナホールの中、震えながら大量の蜜を吐いている。
呼吸が官能に乱れているのを悟られたくなくて、アイボリーは歯を食いしばった。
するとコハクが・・・
「やっぱり、ヒスイの方が良かった?」
「ったりめーじゃんか」
余裕がないながらも、アイボリーが言い返す。
「仕方ないなぁ」と、伏せ目で笑うコハク。
一旦アイボリーのペニスからオナホールを外し、穴の中へローションをたっぷりと追加した。
「そのままじっとしてて。“ヒスイ”を教えてあげる」
アイボリーは、床の上、そこそこの角度で両脚を拡げ、ペニスを勃たせていた。
そこへ改めてコハクがオナホールを被せる。
「どう?あーくん」
「は・・・えっろ・・・」
亀頭が入っただけで、中のローションがトロトロとサオを伝ってくる。
「ローション入れすぎじゃね?」
「くすっ、ヒスイはこれくらい濡れるよ」
コハクはそう言いながら、オナホールを強めに握り、アイボリーのペニスを圧迫した。
「で、中は狭い。こんな感じかな」
「っー・・・信じらんねぇ・・・これでよくコハクの入るよな」
「まあ、僕のカタチになってるからね」
指先で器用にオナホールを弄り、内側を波打たせ、コハクが続けて言った。
「気持ち良くなってくると、こうやってうねってくるんだ」
「はぁはぁ・・・」(これ・・・たまんねぇ・・・)
ヒスイを彷彿とさせるコハクの言葉に導かれ。
幻ではあるが、オナホールを元にヒスイの姿が形成されてゆく・・・
粘着感や締め付け感までもが妙にリアルで。
いよいよヒスイとセックスをしている気分になってきた。
「はっ・・・はっ・・・ヒスイ・・・」(やべ・・・腰持ってかれる・・・)





一方――こちら、ヒスイ。

「・・・・・・」(な・・・何がどうなってるの!?)
“あの時”、丁度コハクが現れ。言われるがままに交代した。
アイボリーの部屋の扉はいつも少し開いていて。
コハクが来た時もそうだった。
その後入れ替わり、ヒスイはそこから室内の様子を見ていたのだ。
アイボリーは、コハクの肩を借り、疑似ヒスイ=オナホールに向けて腰を振っている。
(何あれ!!お兄ちゃんとあーくんが変な雰囲気になってる・・・っ!!)
いやらしく戯れる・・・許し難い展開に。
「ちょっと!!男同士で何やってるのよぉっ!!」
大声で、ヒスイが割り込んだ。
「「何って・・・」」
コハクとアイボリーが声を揃える。
「貸してっ!お兄ちゃんにやらせるくらいなら、私がやるからっ!!」
そう叫び、オナホールに手を伸ばすヒスイ。
「いや、ここは僕が――」
しかしコハクも譲らない。
愛妻ヒスイに息子の自慰の手伝いをさせたくなかったから、自分がここにいるのだ。※その辺りは常に厳戒態勢。
「私が!!」「僕が!!」「私がっ!」「僕がっ!」
結果、オナホール・・・アイボリーのペニスの取り合いになり。
「ちょ・・・おっ・・・やめろって・・・出るっ・・・!!」
オナホール越し、両親の手で揉みくちゃにされ。


「――ッ!!!!」


アイボリー、盛大に射精。
何の因果か、そのタイミングでオナホールが抜け。
争っていたコハクとヒスイにアイボリーの精液が降り注いだ。

「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」

茫然とする三人。そして・・・
「ぷっ・・・はは!ごめんね、あーくん」
コハクが笑う。
ヒスイもつられて笑いながら。
「私も悪かったわ。ごめんね、あーくん」



「ヒスイ、ここ、ついてる」と、頬に付着したアイボリーの精液をコハクが指で拭い。
「お兄ちゃんだって・・・べとべとだよ?」
ヒスイはヒスイで、その手を握りしめる。
ちゅっ。コハクはヒスイの目元にキスをして。耳元で囁いた。
「ね、ヒスイ。ちょっと早いけど、お風呂にしようか」
「ん!行こ!お兄ちゃん!」


「「じゃあ、あとはひとりで頑張って」」


そう言い残し、コハクとヒスイは甘々ムードで去っていった・・・
残されたアイボリーは。
「息子のチ○コ、何だと思ってんだよ!!」
ひとり虚しく、吠えた。するとそこに・・・
「あはは!」
祖父メノウの笑い声。
「ホント、お前等、何やってんの?」
「俺が聞きてぇわ・・・」
脱力気味にそう口にして、ボックスティッシュを手繰り寄せるアイボリー。
その姿を苦笑いで見守りつつ、メノウが言った。
「まあ何よりさ、両親――コハクとヒスイの仲がいいのが、お前的には一番悦ばしい、だろ?」
それを聞いたアイボリーもまた苦笑いで答えた。



「ま、そうかもな」







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