「え?チョコ?ないよ」
ヒスイは嘘をつくと目が泳ぐ。
今、まさにその状態だった。
「・・・・・・」
今日は2月15日。
つまり、昨日はバレンタインデー。ところが。
一日待っても、なぜか自分にはヒスイのチョコレートが届かない。
「トパーズは学校でいっぱい貰ったんだからいいでしょ」
「・・・・・・」
全部断った。
家に持ち帰ったのは、知らないうちに職員室の机に積まれていた差出人不明のチョコだけだ。
「良くない。よこせ」
本命から貰えなければ何の意味もない。
トパーズなりにヒスイのチョコレート獲得に必死だったりする。
「だから、ないってば!!」
「・・・・・・」
大人しくチョコレートを出したら、今日は勘弁してやろうと思っていたが。
「・・・やったのか?アイツと」
「?今日はまだだよ」きょとんとした顔でヒスイが答えた。
「・・・なら、先にやらせろ」
中出ししない約束で1回目。
ヒスイの上に乗り、両足首を掴んでM字に折り畳む。
立場的に避妊を余議なくされてもゴムは使わない主義だ。
「はっ・・・あっ・・・んっ!!」
「・・・っ」
限界間近のペニスを仕方なく膣外へ。
ヒスイの愛液がそれなりに付着してはいるが、まだ全然足りない。
「ホラ、アレ出せ」
「う・・・ん」
ヒスイ自身に剥き出させたクリトリスにペニスの裏側を密着させ、擦り上げる。
「んっ!あっ・・・あぁんっ!」
約束を守るのは最初の1回だけ。いつもそうだ。
さっさと1回済ませ、次はたっぷりと中に出してやるつもりだった。
「んっ!んっ!あっ・・・トパ・・・」
間もなく、ヒスイの下腹にトパーズの精液が撒き散らされた。
「あったかぁい・・・」
ヒスイは暢気にそんなコメントをして笑った。
「・・・・・・」
この女は、オレに抱かれる意味がわかってるのか?
どうせ「息子だから」とか、甘っちょろい事考えてるに決まってる。
「・・・・・・」
ベッドの上、ティッシュで下腹を拭いているヒスイに詰め寄る。
「トパーズ?なにを・・・あっ!!んんっ!!」
ヒスイの背中が壁に当たった。
トパーズは、ヒスイの片脚を持ち上げ、ひと仕事終えた膣内にぐりぐりと指を捩じ込んだ。
ギリギリまでペニスが入退を繰り返していた場所は、潤滑液が溢れ返っていて、ぐちゃぐちゃとよく鳴る。
「ヴっ・・・ん・・・」
追い詰められた細い腰を震わせ、ヒスイは悩ましげな声を漏らした。
「あっ・・・や・・・やめ・・・そこ、さわらな・・・んあっ!」
膣内でトパーズの長い指が故郷を求めて動く。
「だ・・・だめ・・・やっ・・・」
ヒスイは嫌がり、ぶんぶんと頭を振ったが、言葉とは裏腹に愛液はトパーズの手の平にまで流れ落ちていた。
「あうんっ!!」
「・・・・・・」
指は簡単に奥まで届き、子宮に触れる事さえ容易い。けれど。
ヒスイの心はいつも見当違いなところにあって、どんなに手を伸ばしても届かない。
所有権が自分にはないとわかっていても・・・抱きたくて。
そしてまた、虐めたくなるのだ。
「・・・縛らせろ」
「ト・・・トパ・・・ちょ・・・まっ・・・あんっ!!」
手首を足首へと縛り付けられ、鮮やかに御開帳。
ぱっくりと開かれた場所に、いきなり極太のバイブが入ってきた。
「んぐっ!!」
その衝撃に大きく背を反らせ、耐えるヒスイ。
「あっ!あっ!あ、あ、あんっ!っあ!」
バイブを使われるのは無論初めてではなく、慣れている刺激ではあるが・・・
(あ・・・あれ?いつもより・・・なんか・・・)
「うっ・・・ん・・・え?やぁんっ!!」
自覚のない愛液が僅かな隙間からドバッと溢れ出した。
「はっ!!はっ・・・あ!!」
振動はいつもと同じ。しかし体はいつも以上に感じている。
びくん!びくん!容赦なく巡る快感にヒスイは縛られたまま悶えて。
「あっ!あっ!あぁぁぁっ!!」
ニヤリと笑うトパーズ。
「効いてきたか?ソレには媚薬が塗ってある」
「な・・・あんっ!!はぁ、はぁ」
単調な刺激である筈なのに、媚薬が細胞に染み込んで。
過敏になった膣壁・・・感覚がすべてそこに集中する。
高まる性感・・・心ない振動が重く響いて、切なく喘ぐ。
「えうっ・・・あ・・・あぅ・・・んっ!!」
コハクのペニスではなく、ただの太棒に喘がされるヒスイ。
いい気味だ、と思う。
「一本吸い終わるまで咥えてろ」
煙草に火をつけ、ヒスイの股間を傍観。
「途中でイッたら、初めからやり直しだ」
「っ・・・!!いじわる・・・っ!!」
「何とでも言え」
ヒスイの小さな穴が人工物に蹂躙される様を楽しむ、ちょっとした羞恥プレイ。
コハクもそうだが、トパーズも好む。
照れ屋なヒスイが泣きながら応じるところに勃つのだ。
幼い泣き顔・・・とはいえ下半身はしっかり女。
トパーズは、無垢で淫乱な生き物を鑑賞し、じっくりと一本吸った。
「は・・・はぁ、はぁっ!!ト・・・トパーズぅ・・・」
「・・・・・・」
ヒスイの泣き顔に興奮するトパーズ。
今イカれても困るので、ヒスイの膣口から人工ペニスを勢い良く引っこ抜いた。
ズポッ・・・
「ふっ・・・うぅんっ!!」
「こっちはどうだ?」
左手の親指で股間の上部の皮を押し上げ、クリトリスを完全露出させる。
そこを、パチン!人差し指の爪で弾いた。
「ひゃぁうっ!」
数回、痛みを伴う快感をヒスイに味あわせた後、突き出している真っ赤な肉粒を今度は優しく舐めた。
口に含み、唾液を絡め、熱心に介抱する。
「あ・・・ん」
手先が器用な男は舌先も然りで。
続く、舌での愛撫。
「褒美をくれてやる」と。
トパーズはバイブで荒れたヒスイの膣口を丁寧に舐め、質の良い愛液が満ちるのを待った。
「は・・・あんっ・・・トパ・・・」
トパーズは、ロープで強制開脚させたヒスイの割れ目にペニスの先を当てた。
ぬちゃりとペニスが浸かる音がして。
「あ・・・・・・ん」
完全勃起していても亀頭は特有の柔らかさを持っている。
「んっ・・・トパ・・・」
入口でそれを感じる・・・言葉にできない気持ち良さ。
すぐさま膣肉が圧着し、トパーズを奥へと誘った。
「く・・・」
ヒスイに包まれるのはトパーズにとって何にも代え難い快感であり、繋がった悦びに思わず声が出る。
膣内に蔓延した媚薬がトパーズのペニスにも浸透し、若い性欲を更に煽った。
結合を楽しむ余裕もなく、ただヒスイの中に出したくて。出したくて。堪らなくなって。
激しく擦り出す。
「あっ!あっ!あくっ!んっ!!」
柔らかくぬかるんだヒスイの穴に、繰り返し硬直ペニスを押し込んで。
「んく・・・っ!」
ヒスイが咽る程、力いっぱい奥を突く。
「あ・・・あっ・・・トパーズっ・・・いっ、うっ!!」
「・・・・・・」
この場所が自分だけのものなら、もう少し優しくできたかもしれないのに。
(・・・壊れてしまえ。他の誰も触れないくらいに)
「あっ!!っう!!」
トパーズは乱暴に腰を叩きつけ、子宮を突く度喘ぐヒスイの声を聞いた。
憎くて。愛しくて。
愛しくて。憎くて。
やっぱり・・・愛しい。
「あっ・・・」
膣奥に留まるペニス。
先端から切ない愛情が噴き出した。
「んっ・・・トパーズ・・・」
「っ・・・バカ」
最後の一滴までヒスイの中に落とし、トパーズはヒスイの縄を解いた。
ヒスイはすぐに眠ってしまった。
トパーズも・・・眠い。
今日は久々の休日だというのに、朝からこれだ。
セックス直後の一服は格別なのだが、それさえも放棄して、トパーズはヒスイの隣に倒れ込んだ。
死んだ様に眠ること2時間。
「・・・・・・」
トパーズが起き上った。
寝起きでも、裸のヒスイに即欲情。
早くもヒスイの股間を突き上げたい、が。
Zzzz・・・ヒスイはうつ伏せで爆睡中。
手足に縄の痕が残っていても、あどけない寝顔だ。
ぺちっ!
お尻を叩いても起きない。
「・・・・・・」
それならばと尻を抱えあげ、割れ目を開いて、内部を覗く。
陰裂からは、媚薬の匂いがした。
尻肉を更に左右に広げ、突っ張った後ろの穴・・・菊の筋に沿って舌先で擽ると。
「ん〜・・・ぅ」
これまで無反応だったヒスイが眉をしかめた。
アナルセックスが苦手というのは本当らしい。
面白くなり、舌先に力を込める。次の瞬間。
「うひゃぁ!」
ヒスイが飛び起きた。
寝惚けた顔でキョロキョロ・・・
「あれ?トパー・・・ズ?」
「早く入れさせろ」
トパーズは両手でヒスイの腰を掴み、力強く引き寄せた。
「・・・あっ!!んっ!?」
後背位で合体・・・のつもりだった。が。
脱ぎ捨てられたヒスイの服の下に何かがある事に気付き。
ほんの数センチ、先を埋めたところで引き返す。
「え?あれ?トパーズ?」
ヒスイから離れ、拾い上げたのは銀色の小箱。
縦横15cmほどの小箱には朱色のリボンが結んであった。
それを勝手に解く。
「!!だめっ!!」
ヒスイがベッドから飛び降り、猛然と突進してひったくった。
サッと両手で後ろに隠す。
「・・・何を隠した?」
「べ、べつに何も・・・」
「見せろ」
「やだっ!!」
小箱を巡り揉み合いになり・・・
「あっ!」
ヒスイの手から箱が落下。
蓋が外れ、床に歪な塊が数個転がった。
際どい黄土色だが、たぶんそれは・・・チョコレート。
ヒスイは膨れた顔で一個拾って。
「・・・どうせう○こみたいなのしか作れないもん」
それでも今年はうまくいった方だと思っていたのだが。
トパーズの部屋に入ってすぐ山になっているバレンタインチョコを見つけた。
その中でいくつか手作りのものを発見し、一気に自信喪失。
そして、出しそびれた。
「そっち食べればいいでしょ」
「・・・妬いてるのか?」
ニヤニヤと笑ってからかうトパーズ。
「妬いてない」
「妬いてる」
「妬いてないってば!!ちょっと!!何笑ってるのよっ!!へっ?」
トパーズはヒスイの手首を掴み、指先のチョコレートをパクリと食べた。
ヒスイは目をぱちくりさせてトパーズを見上げた。
「ち・・・」
噂に聞いていたヒスイのチョコレートは想像以上にマズく。
ビターの概念を超え、凶悪な苦味があった。
食感も何か変で。
ヒスイの手作りじゃなかったら、とっくに吐き出しているところだ。
「トパーズ?大丈夫?」
「・・・大丈夫じゃない」
“甘さが足りない”と言って、トパーズはヒスイの唇を求めた。
「ん・・・」
苦いチョコレート。その分、キスは甘く。
何度も、何度も、キスをして。
足りない甘さを補う。
ヒスイの心は・・・案外近くにあるのかもしれない。
そんな事を思う、一日遅れのチョコレート・タイム。
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