王家所有の公園・・・そこに、オニキスとヒスイの姿があった。
平日は一般市民に開放しているが、本日は休園日。貸し切りだ。
季節は春――
青い空の下、新婚らしく、睦まじく、手を繋いで歩く。
「あ!見て!オニキス!ボートがあるよ!」
乗ろう!と、ヒスイが腕を引っ張る。
公園の中心には池があり、ボート乗り場が併設されていた。
白塗りのボートに乗り込み、早速花見に興じる。
池べりには、立派なしだれ桜。
二人きりで見る桜は、幻想的な美しさで。言葉を失うが。
ふと、ヒスイが口を開いた。
「ねぇ、オニキスは桜の花びらのジンクス知ってる?」
「何だそれは」
「降ってくる桜の花びらをね、3枚集めたら両想いになれるんだって!」
ただしそれは、地面につく前のものに限られる、と、付け加える。
「両想い・・・だと?」
「うん」
「何を今更・・・」
「いいでしょっ!それが女心ってものなのっ!」
「そうか、女心か」
何とも微笑ましく、愛らしく、思わず笑ってしまう。
「私、やってみるっ!オニキスはそこで見てて!」
花びらを3枚集めると宣言し、風に運ばれてくる花びらに手を伸ばす。
・・・が、足場が悪いこともあって、なかなか掴めない。
「はぁはぁ・・・」
(やっと2枚・・・)
その時、オニキスと目が合う。
「あ!」
ヒスイは腰を下ろし、オニキスの顔を覗き込んだ。
「最後の1枚、見つけた」と、オニキスの黒髪に付いていた花びらを取る。
「これで3枚になったよ」
ヒスイは満足気にそう言って。あどけなくオニキスに笑いかけた。
「・・・キスをしても?」
「うん、いいよ」
オニキスと唇を重ね、舌を受け入れるヒスイ。
「ん・・・ぁ」
口内を舌先で愛撫される心地良さに、唾液を飲み込むことすら忘れて。
口の端から零す・・・
オニキスは親指でそれを拭いながら、しばらくキスを続けていたが、いつしか唇から離れ。
ヒスイの首筋から鎖骨へとキスを落とした。
オニキスの両手が、王妃専用ドレスの肩紐をずらし、白い乳房が露わになる。
「んっ・・・」
そこを大きな手で覆われ、ヒスイが背中を反らせた。
「あ・・・んんっ・・・」
揉まれながら、オニキスの口元に向けて、乳首を尖らせてゆく・・・
優しく吸ってくれることをカラダは知っているのだ。
「あっ・・・!!」
オニキスがそっと口へ含み、舌で丁寧に愛しはじめた。
「あ・・・はぁはぁ・・・ね、オニ・・・キス・・・」と、そこでヒスイがひとこと。
「する・・・の?」
「・・・・・・」
気付けば、引き返せないところまできていた。
ジンクスを成就させようと懸命になっているヒスイの姿が可愛くて。
キスをしたくなった――それだけのはずなのに。
(なぜこうなった・・・)
ヒスイが絡むとあっさり道を踏み外す。
自問自答するが・・・答えはもうわかっている。
愛しているから。
(・・・か)
溜息と共に、微笑みを浮かべ。
「・・・お前はいいのか?」
「うん、いいよ」
ボートの上、ヒスイの体を仰向けに倒し、下着に触れると、そこはもう温かく湿っていた。
「も・・・へいきだよ?」
下から見上げたヒスイが言って。
両脚の間に、オニキスのスペースをつくった。が。
「無理をするな、少しほぐす」
ヒスイの頭を撫で、銀色の前髪ごしにキスをするオニキス。
ヒスイの両脚からショーツを抜き取り、それから間もなく・・・
「無理なんてしてな・・・あ・・・っ!!やめ・・・」
つぷつぷつぷ・・・二本の指で膣を捕らえる。
「あ・・・オニ・・・」
襞が痛いほど絡まっているのに。動き出すと気持ちが良くて。
「あっ・・・は・・・はぁはぁ・・・」
始めは嫌がっていたヒスイも、粘膜を撫でられているうちに大人しくなった。
「ん・・・はぁ・・・」
中指と薬指で膣口を少しずつ少しずつ拡げられ。
その度に愛液がとろりと垂れた。
それからどれほど時間が経ったのか・・・
「も・・・へいきだって・・・いってる・・・のにぃ」
なかなか指を抜こうとしないオニキスにヒスイが訴える。
膣内で延々と愛液を練られ、体はぴくぴくと小刻みに震えていた。
「あ・・・んんっ」
ヒスイが感じる度に、カタンカタン、ボートが揺れ。
池の水面に波紋が広がる――
「あっ・・・も・・・イッちゃうって・・・ばぁっ!!」
余裕なくヒスイが喘ぐ。
「構わん」と、オニキス。
「!!ひっ・・・あ!!」
二本の指に勢いをつけ、ペニスより先にヒスイの膣を奥まで開く、と。
「あぁぁ・・・っ!!」
絶頂の叫びと同時に、ぎゅぅぅぅっ!!
一度きつく締まって・・・力が抜けた。
「あ・・・ん・・・んんっ・・・ふぁっ・・・あ・・・」
しゃぶり尽くしたオニキスの指を、吐き出すように蠢く膣肉。
そのリズムに合わせて、オニキスも指を抜く。
ヒスイの内側はすっかり緩んで、ぷくぷくと快感の泡を噴いていた。
「ヒスイ――」
愛おしくてたまらないといった様子のオニキスがキスをする。
そしてついに、ペニスがヒスイの中へと送り込まれた。
「んっ・・・ふ!!!」
ヒスイにとってオニキスのペニスはいつだって大きい。けれど。
「あぁ・・・」
めいいっぱい拡げられ、骨盤が軋むのさえ快感で。
「あっんっ!!オニキス・・・っ!!」
呼ぶとすぐ、唇に唇が戻ってくる。
「ん・・・ふ・・・」
熱い息を吐きながら、夢中で挟み合う唇。
(あ・・・とろとろ・・・してる・・・)
唇だけでなく、ペニスを収めた膣も。
見事に同じ温度で溶け合って。最高の一体感が生まれていた。
「はふ・・・」
うっとり、ヒスイが目を細める。
「気持ちいいか?」
上気したヒスイの頬を撫で、オニキスが尋ねると。
「うん」と、ヒスイは素直に頷いた。
「沈める訳にはいかんからな」と、耳元で諭すオニキス。
なるべくボートが揺れないように配慮して、律動はとてもゆっくりなものだった。しかし。
「んく・・・っ!!」
膣肉と襞と、蕩けたものがすべてペニスに張り付いて。
ずッ・・・ずずッ・・・
「あっ・・・っあっ!!」
芯を引っこ抜かれそうな快感。
このまま持ってゆかれてなるものかと、逆に引き上げようとするが、それによって摩擦が生じ、更なる快感が加わる。
「!!ひっ・・・う!!」
堪らず、浮き上がる腰。
震える喉を反らせ、船底に頭を擦り付け、激しく身悶える。
「おい、ヒスイ、あまり暴れると――」
ドボーン!!
ボート、転覆。水中で、結合が解かれた。
「・・・結局沈んだじゃない」
「・・・・・・」
池が浅いことは二人とも知っていた。
慌てて立ち上がることもせず、次の瞬間、笑い合う。
「大丈夫か?」
「ん!」
「城に戻ってやり直すか」
「うんっ!」
笑顔でキスを交わす二人だったが・・・
「ああーっ!!ないっ!!」
集めた3枚の花びら。
セックスをしている間もずっと握っていたはずなのに。
ボートから落下した際に、なくしてしまったようだ。
ヒスイの手元には1枚も残っていなかった。
「そんなぁ〜・・・」
ヒスイは涙目だ。
「・・・・・・」
するとオニキスが、ヒスイの肩を掴み、唇を寄せた。
「え?オニキス?ひぁ・・・」
濡れたヒスイの肌を3度吸って。
「・・・これでどうだ?」
(あ・・・)
水面に映るヒスイの首元・・・桜の花びらを思わせるキスマークが3つ。
「うんっ!これでいい!」
返事をしたヒスイの表情が綻ぶ。
花びらより嬉しいのは、どうしてなんだろ?
(あ、そっか・・・これって・・・)
花びらより確かな、両想いのジンクス――
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