こちら、露天温泉。
「ひゃっほう!すげぇぜ!!」
鼻を摘み、温泉に飛び込むアイボリー。
「いきなりは心臓に悪いよ」
マーキュリーは軽く準備運動をしてから、湯に足を浸けた。
露天というだけあり、実に広々として。子供達にとっては温水プールのようなものだ。
ついついはしゃいで泳ぎ出す。
その傍らでは。
「おいで」
先に湯の中へ腰を沈め、ヒスイの手を引くコハク。
「ん・・・」
湯は褐色の半透明。俯けば、ペニスの屹立が見える。
股間の暗がりから長く伸びたそれを一目見ただけで、胸の奥が甘く疼き。
愛する男のペニスの価値を知っているからこそ、膣が緊張してドクンドクンと痛いくらいに脈を打つ。
「あ・・・」
向かい合っての水中座位。導かれるまま、膣口で跨って。
亀頭の腫れぼったい感触と、自身の粘膜の拡がりを意識した途端。
チリッ・・・と、膣奥に情欲の炎が灯り、吐く息までも熱くなる。
「はぁはぁ・・・ひぁ・・・はふんッ・・・!!」
ペニスに沿って膣が滑り落ち、恥骨が恥骨に着地した。
「あんっ・・・」
ペニスのすべてがヒスイの中に入ったのだ。
それがいかに硬く反り返っているかを、ダイレクトに感じ。
どうしようもなくエッチな気分になってくる。
「あ・・・おにいちゃ・・・」
ヒスイはすぐにコハクの首元に腕を回した。湯気で湿った金髪を、梳いて縋る。
「あ・・・はぁ・・・ん」
鼻から抜ける、官能の声。
膣の中に男のアンテナが立って、そこから快感の電波がビンビン発せられているのだ。
骨盤は勿論のこと、膝、踝、指の関節まで届き、痺れ。更に。
コハクの濡れた陰毛が、藻のように、クリトリスに絡まってきて。
「あ・・・ふぁ・・・あぁ・・・」
頬を摺り寄せ、喘がずにはいられないほど、気持ちがいい。
「おにいちゃ・・・ぁ・・・」
ヒスイは無意識に腰を揺らし、ピストンを誘った・・・が、そこで。
「ね、ヒスイ」
コハクが耳元で笑う。
「まずは・・・」
「一発KOしてくれる?」
「!!な・・・なんでしって・・・」
「さっきね、アクアが教えてくれたんだ」
“ママね〜、パパのこと一発KOしたいんだって〜”
「っ〜!!!!」
確かにそれが合宿の目的であるが、バラされたら恥ずかしいに決まっている。
「だから・・・ね?してみて?」
コハクは一切ペニスを動かさず、なぜか楽しそうだ。
「う・・・うぅぅん・・・」
コハクの肩に額をのせて、ぽたぽた、汗と涙を流しながら。懸命に力むヒスイ。
快感の電波を帯びた膣は、別の行為を望んで、なかなかいうことをきかなかった。
ぎちッ・・・ペニスを絞る音が、鳴ったような、鳴らないような。
正直あまり上手にできたとは思えないが、次の瞬間。
「・・・あッ!!おにいちゃ・・・!!!」
びゅびゅッ!!精液が子宮口を直撃し、驚きと共にヒスイも達する。
「ほら、成功だよ」
ご褒美の、優しい口づけ。
かなり大目に見てくれたことはわかっているが、追及している余裕はなかった。
「あ〜・・・!!!」
ぷるんッ!と、絶頂の第一波で膣肉が震え。
それから、ひくひくッ、ひくんッ、ひくんッ・・・余波が続く。
「このまま、もうちょっと付き合ってね」と、コハク。
両手でヒスイの腰を掴むと、自身も腰を浮かせ。
ぐぐぐ・・・ッ、ぐぐッ・・・、ヒスイの膣を限界まで開いてゆく・・・
「っひッ!!あ〜!!!」(まだ・・・おく、はいっ・・・)
ヒスイの声のボリュームが上がる。
するとコハクは人差し指を一本立てて。
「しーっ・・・あーくんとまーくんに聞こえちゃうよ?」
そんな意地悪を言い出した。
「あ・・・んッ・・・」
感じると、すぐにキス。口を開けて、コハクに舌を詰め込んで貰う。
声が出そうな時は、こうしてやり過ごすしかなかった。
ヒスイは、コハクの舌を一心不乱に吸いながら、激しさを増すピストンの快感に耐えた。
「ん・・・ふ・・・」
度重なるキスで生じた唾液がヒスイの顎を汚す度、コハクが指で拭い。それから。
巧みな腰技でペニスと膣の間に隙間を作り、そこに効能の湯を蓄えた。
感度が良くなるということをアクアから聞いていたのだ。
「ひっ・・・!!」
ピンと張り詰めたヒスイの両脚。その中心をコハクがペニスで突き上げる。
ずくちゅッ!ずくちゅッ!
男女の性器を練り込む音が、湯に溶けて消えてゆく。
「あッ――」
「裏スジが擦れてるの、わかる?」
効果を確かめるため、コハクがそう尋ねると。ヒスイは何度も頷いた。
「ひぁ・・・!!あぁ・・・!!」
内側からの刺激で、お腹の皮膚が引き攣れる。
いつ破れてもおかしくない程、コハクのペニスは驚異だった。
「よしよし、いい子だね〜・・・」
腰を撫でられ、尾てい骨までコハクの指先が這ってくると。
ぞくんッ!!背中側に快感が突き抜け、お尻の穴がヒクついてきた。
そこはかなり熱をもっていて。
今なら、指でもペニスでも、何でも飲み込んでしまいそうだ。
当然、コハクはそれを見抜き。
「くすっ・・・こっちもずいぶん柔らかくなってきたね」
指の腹でヒスイのアナル皺をくちゅくちゅと撫で回した。
「あ・・・ああ・・・」
いつもなら抵抗するところだが、この湯の中では抗えず。
もっと弄られたいとさえ思ってしまう。
「指、挿れようか」
「ん・・・」
ヒスイがYESの返事をすると。
早速コハクは、欲情したヒスイの蕾を開花させ、奥の粘膜に中指を埋め込んだ。
「!!!」
絶対的快感に声を奪われ、喘ぐことすらできないヒスイ。
「はぅ・・・ぅん・・・」
お尻の中を掻き回されながら、すっかりふやけてしまった子宮口を亀頭で高々と持ち上げられ。
「はッはッはッ・・・は・・・」
至福の過呼吸。もうじきブラックアウト・・・というところで。
(・・・?)
ふくらはぎに、ぬるんとしたものが巻き付いて、ヒスイの意識を引き戻した。
「!?お・・・おにいちゃ・・・!!」
「ヒスイ?」
「う・・・うな・・・うなぎが・・・」
「ん?うなぎ???」
「きゃぁぁぁっ!!!」
数十分後・・・
寺の裏手で煙があがり、何事かと男子4名※シトリン・アクア・ジン・コクヨウが駆け付ける。
「!!」
シトリンは、コハクが七輪で焼いているものを見て驚嘆した。
「そ・・・それは!!うなぎの蒲焼きではないか!?」
「ああ、このうなぎね。すごぉく目障りだったから」
あとは見ての通りだ。見事に捌かれている。
「丁度良かったよ」と、愛想良く笑うコハク。
「うなぎは精がつくって言うからね。わざわざ来てもらったことだし、これでも食べていって」
そう言って、うなぎの蒲焼きを皿に盛り付け、ジンとコクヨウに勧めた。
「はい、ジンくん」
「ありがとうございます」
「はい、こっちはコクヨウの分」
「・・・・・・」(クソ・・・差つけやがって)
ジンとは皿の形状が違う。コクヨウは犬と同じ扱いだ。
コハクの鬼畜な性分がダダ漏れしている。
「いいな〜、アクアも食べたぁい」
物欲しそうにアクアが皿を覗き込むが。
「テメェが精つけてどうすんだよ!!」
精力絶倫状態のアクアに襲われでもしたら、男として終わる気がする。
食われる前に食う!の精神で、コクヨウは蒲焼きを丸飲みにした。
ジンもまた、美味しそうに蒲焼きを口に運んでいる。
この光景にいたく感動するシトリン。
(よくぞ仕留めてくれた!!父もどきよ!!)
コハクに感謝せずにはいられない。
この日・・・シトリンの目にはコハクが“いい奴”に見えたという。
後日、PTA役員会にて。
「コハクサン、今日はおひとりデスカ〜?」
「うん、まあ」
コハクは軽く相槌を打ってから、PTAの仕事についてサファイアに話を聞いた。
「色々ありますヨ〜」
夏祭りやバザーの開催、学区内の清掃とパトロール、広報誌の作成、そのための取材、コハクが講師を務めた親向けの教室もそのひとつである。
「どうカしたんデスカ?」
「この間、息子から学んだことがあってね。ちょっと試してみようかな〜と」
ヒスイにもできそうなPTAの仕事を探しているのだという。
「役に立つとか立たないとか、そんなことは関係ない。ヒスイはヒスイらしく、いつも僕の傍にいてくれれば、それだけで充分なんだけど」
そこで苦笑いを挟んで、コハクは話を続けた。
「ヒスイはちょっと違うみたいで、何かをしたがってるから」
するとサファイアは、クフフ・・・と、目を細めて笑い。
「役に立ちタイと思うのモ、それを望まナイのモ、どちらモ愛情に付随する感情デス」
「うん、そうみたいだね」
コハクもまた、瞳を伏せ、静かに笑った。
「ア!ヒスイサンにピッタリなお仕事、ありますヨ〜?」
夏祭りの盆踊りで使う音頭のデモテープ作り。
「有志のPTAコーラス隊カラ選抜する予定でしたガ、ヒスイサン、とっても歌ガお上手ですカラ〜。お願いできマスカ〜?」
そして、某日。
録音スタジオ・・・といってもそこは、赤い屋根の屋敷だ。
デモテープの作成は、人前で歌うのが苦手なヒスイにもってこいの仕事だった。
両手でしっかりマイクを持って。コハクの前なら、ちゃんと歌える。
レコーディングは無事終了し。
「お兄ちゃん!」と、ヒスイ。
「私っ!役に立った?」
「うん、助かったよ。ありがとう」
コハクがそう伝えると、ヒスイは本当に嬉しそうに笑った。
あの晩の、双子の笑顔と重なる。
「・・・・・・」
(役に立って、嫌な気分になることはない、か)
これもまた、ヒスイの幸せのひとつとなるなら。
(自立されちゃ困るから、まあ、ほどほどに)
活躍の場をつくってあげられたらと思う。
そういう意味では、PTAの役員になって良かったのかもしれない。
(でもって僕は、これからも、ヒスイの役に立って、立って、立ちまくるけどね!!)
これこそが、コハクの愛情表現なのだ。
(好きだよ、ヒスイ)
今日は心の声で愛を告げ。
(だからどうか・・・)
どうか・・・
ヒスイも僕のこと――
ずっとずっと、好きでいてくれますように。
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