「うん?」(ミセス・パンプキン?)
紛れもなくそれは、魔界カボチャだが。
本人は気にも留めず。予行練習のつもりらしい。
(でももう“おにいちゃ・・・”て、言っちゃってるし。バレバレなんだけど)
決めポーズを模索しているところを見ると、笑い出しそうだ。
(ああ・・・可愛いなぁ・・・)
可愛くて、可愛くて、ちょっとだけイジメたくなってしまう。
こうしてコハクが心を疼かせているところに。


「トリック・オア・トリート!!」


・・・との叫び。『お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!』の意だ。
「くすっ、それじゃあ、お菓子をあげようね」
応じたコハクは、目をつぶるようヒスイに言って。
キャンディの包みを開く音。そして・・・
「ひぁ・・・っ!!おにいちゃ・・・なに!?」
コハクの手が正面からショーツに滑り込んできた。
まだ閉じている陰唇の間、迷わず膣穴を見つけ出し、埋め込まれるキャンディ。
無論、ただのキャンディではない。トパーズが発明し、その後、実用化された血液キャンディである。
ちなみにこれは、コハクの血液で作り置きしておいたものだ。
「あッ!!ッ〜!!!!」
途端にヒスイが床に崩れた。
「ふ・・・あぁッ!!」
溶け出す血液に、膣は啼いて悦んで。あちこちが引き攣れる。
「あ・・・これ・・・だめ・・・んんッ!!」
クロッチ部分をずらし、自ら指を入れるヒスイ。
仕込まれたキャンディを必死に取り出そうとするが、吸い付きのいい膣肉と、粘り気のある愛液が邪魔をする。
「あ・・・ぁ・・・」
コハクはヒスイの肩を抱き、エロティックに奮闘する姿を見ていたが。
「カボチャを外してあげるから、ちょっと待っててね」と、一旦ヒスイから離れた。
魔界カボチャについての研究は、昔に比べるとはるかに進んでいて。
誤って被ってしまった場合の特効薬があるのだ。
赤い屋根の屋敷でも常備している。
「隣の部屋から、薬箱を取ってくるだけだからね」と。
コハクは、ヒスイの橙色の表皮を撫で、言い聞かせた。



「はぁはぁ・・・」

ヒスイの意志とは裏腹に、膣は返す気がないようで、キャンディをどこかに隠してしまった。
もしかしたら、全部溶けてしまったのかもしれない。
「は・・・ぁ・・・」(おにいちゃ・・・)
快感が欲しい・・・それは、吸血後のものより強烈で。頭がクラッとした。
内側がぷくぷくと膨れ上がり、いやらしく呼び声をあげる。しかし。
薬箱を探すのに手間取っているのか、コハクはまだ戻って来ない。
そんな中、偶然にもGスポットを見つけてしまう。
(!!だめ・・・さわっちゃ・・・)
そう思うのに。指が動かない。
「や・・・!!!」
ひとりで潮を吹くなんて、恥ずかしいにも程がある。
けれど、こうでもしなければ気が狂ってしまいそうだった。
恐る恐るGスポットを擦ると・・・
「あッ――」
一瞬にして尿道口が緩み。
そこから透明な液体が、弧を描いて出てゆくのを見てしまった。
「ああ・・・」
羞恥心が思考を停止させる。
後はもう、わけがわからなくなって。


「ヒスイ?」


コハクの声にも無反応。
床には、何度も潮を吹いた形跡があった。
(わ・・・たし・・・なにしようと・・・・してたん・・・だっけ・・・)
コハクにショーツを脱がされても、快感に憑りつかれた指は止まらず。
「あ・・・は・・・」
脚を広げ、見世物さながらに、高く潮を飛ばす。
「んふぁ・・・ぁ・・・」
普段のヒスイからは想像もできない性行動。
意識も相当混濁しているようだった。
「僕だよ、ヒスイ」
薬を使って、カボチャの被り物を外すとすぐ、コハクはヒスイと唇を重ね。
その口内に舌を送り込んだ。
くちゅくちゅ・・・気付けのため、わざと暴れさせる。すると。
「お・・・にぃ・・・ちゃ?」
ヒスイの瞳にコハクの姿が映った。Gスポット弄りも止んでいる。
「ごめんね、ヒスイ」
血液キャンディにある程度の媚薬効果は期待していたものの。度が過ぎた、と、反省。
「後は僕に任せて」
コハクは、ヒスイの手首を掴み、ゆっくりと膣から指を抜いた。
それから、ヒスイの腰を両手で引き寄せ、ペニス挿入 ――

ずッ・・・ずずずず・・・ず・・・ぷんッ!!

「ああッ!!」
膣襞がペニスを同じ方向へ動くのが嬉しかった。
その官能に・・・心底痺れる。
自慰で荒らしてしまった粘膜に、陰毛が触れるとチクチクして痛いが、今はそれすらも気持ちいい。
「はぁはぁ・・・あ!!!おにいちゃ!!!」
汚れているヒスイの指や手のひらを丁寧に舐めながら、濃厚なピストンをするコハク。
「あ・・・ひ・・・うぅんッ!!」
ペニスの括れによって、濡れた肉の重なりがシャッフルされ。
「ひ・・・ぁ・・・んくッ!!」
軽い痙攣を起こす中、膣奥を激しく突き上げられる。
「あうッ!!あッあ・・・あぁぁッ!!あ、あん・・・ああぁん!!!!」
えび反りになって喘ぐヒスイ。
子宮がへこむほど、ポルチオ性感を貪って。
こうしてずっと子宮を揺らされていたいとさえ、思ってしまう。
「は・・・ぁ・・・おにいちゃ・・・」
(これは・・・血液キャンディのせい・・・だよね)
ガードの堅い子宮口が、とても柔らかくなっていた。
(もしかしたら・・・)
絶頂液を吐き出す小さな輪を、張った亀頭で押してみる。
「辛かったら言ってね」
「!?あ・・・ひ・・・ぁ・・・!!!!」
ほんの少しの圧力で、子宮口がドーナツ型に開き、先の空間に亀頭がすっぽり入った。
「!!ひッ・・・ひぃいんッ・・・」
ヒスイが悲鳴をあげる。けれどもそれは、限りなく甘いものだった。
「これ以上は入れないよ」と、コハク。


もっと感じて欲しいから。


失神させてしまわないよう、気を遣う。
この状況を受け入れてくれるまで。子宮出しが許されるまで。
ちゅっ。ちゅっ。ヒスイの唇をご馳走になりながら待っていたが。
子宮口を長時間開きっ放しにしておくのもどうかと思い。
「・・・だめかな?これは」
キスの合間に聞いてみた。
もし嫌がったら、無理強いはしないつもりでいたのだが。
「だめ・・・じゃない・・・よ」と、ヒスイが答え。
膣が、竿を絞った。OKの合図だ。
ありがとう、ヒスイの頬にキスをして。
コハクは、自身の欲望を解き放った。
びゅぅぅッ!!尿道が唸りをあげる。

びゅッ!びゅッ!びゅるるるッ!!

子宮の天井を叩いては、跳ね返る精液。
「んはぁッ!!お・・・おにぃ・・・ちゃ・・・」
(いっぱい・・・いっぱい・・・でてる・・・よぅ・・・)
重みが増す度に、愛されていることを実感する。
「は・・・ふぅ・・・」
射精音がいつもより鮮明にヒスイの骨盤に響いていた。

子宮内を隙間なく埋め尽くされ、ついに快感メーターが振り切れる。
「はぁ・・・ッ・・・あ!!!」
ヒスイの愛らしい黒目が上下左右せわしなく動く。
その頃にはもうすっかり、種付けされる雌の顔になり。
ペニスを抜かれてもなお、ヒスイの子宮は幻覚に酔い痴れていた ――





「かなり奥まで開いたから、少し休んだ方がいいよ」
ひと通りアフターケアを済ませたコハクが、そう告げるも。
「へーき」と、ヒスイが起き上がる。
まだ少し足元がおぼつかないが、ふたたびカボチャを手に取って。
「・・・・・・」(また被っちゃうんだ、それ・・・)
今はもう、ただのカボチャだが。
「あーくんとまーくんを驚かせに行くの!」
ヒスイが、揺るぎない決意を語る。
(ああ、そういうことね)
コハクは笑いを堪えながら、ミセス・パンプキンの口元にキスをした。
「それじゃあ、僕も後から行くから」
「ん!!」





30分後・・・

「・・・ん?」と、コハク。
困った様子の幼稚園教諭らしき女性と、我が子らが向き合っていた。
「もういいじゃんか!ヒスイのこと、いじめんな!」
アイボリーが食ってかかり。
「ごめんなさい、うちのお母さんが・・・」
マーキュリーが頭を下げている。そして。
ヒスイ扮する、ミセス・パンプキン。手には、沢山のお菓子を持っていた。
合流したコハクが「どうしたの?」と、尋ねると。
「なんか、この格好で、トリック・オア・トリート!って叫んだら、幼稚園の子がお菓子くれたの」
「みんなビビって泣いてたけどな!」アイボリーが笑う。一方で。
「あれでは恐喝です。お母さん」マーキュリーが5歳児とは思えない発言をする。
「えっ!?そうなの!?」驚くヒスイ。
ミセス・パンプキンとして幼稚園に乗り込んだはいいが、息子達にあっさり正体を見破られたうえ、よその子を阿鼻叫喚させる結果となったのだ。
保護者として、あるまじき失態である。
「ご迷惑をおかけしました」改めて、コハクが幼稚園側に謝罪する。
「どうしよう・・・おにいちゃん・・・」
園児から巻き上げたお菓子を手に、ヒスイは茫然としていた。
「大丈夫だよ」
優しく微笑んで、ヒスイの被り物を取るコハク。
(なんとなく、そんな気がしたんだよね)
まさにそれこそが、コハクの遅れた理由でもある。
「お菓子、たくさん用意してきたから」
手焼きのクッキーやチョコレート、マシュマロなどを小袋に詰め、繋げて作った首飾り。
子供が喜ぶこと間違いない。
「追いかければ間に合うよ。今からこれを配りにいこう」

「!!うんっ!!」

「俺も手伝う!」

「僕も!」

家族4名、夕暮れの空の下、お菓子を持って走り出す ――


「ねえ、お兄ちゃん」


「ん?」
「私、何て言って渡せばいいかな?やっぱり“ごめんね”?」
ヒスイは、子供と接するのがいまだに苦手だ。
新しいお菓子をプレゼントするにしても、どう振る舞えばいいかわからない。
「くすっ、こう言えばいいんだよ」
コハクから教わった言葉は。



“Happy Halloween!!”





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