「――ヒスイっ!!」


そこにコハクが駆け付けた。
ローションの泥濘から、素早くヒスイを抱き上げる。
「大丈夫?怪我はない?」
「ん、平気。でもなんで・・・」
そこは男同士、黙って頷き合って。
この勝負をヒスイに悟られる訳にはいかないのだ。
「とにかく、お風呂で流そうね」
コハクはそう言って、ヒスイをバスルームへと連れていった――


ヒスイをバスタブの縁に座らせ、その唇に口づけるコハク。
「んっ・・・おにぃ・・・」
頬に添えられた手。
目を閉じ、ほんの少し唇を弛めると、コハクの舌が淫靡な音をたてて入ってきた。
「んっ・・・ふっ・・・」
口内が舐め溶かされ、舌に舌が巻きつく。
「んぁ・・・」
混ざり合った唾液が溜まる中、巧みに捩じ上げられ。
ヒスイはうっとりとした表情で、全身を震わせた。


「は・・・」(おにい・・・ちゃ・・・)
唾液の糸と共に、唇の間から抜かれる舌・・・ヒスイはそれを熱っぽい目で見送った。
コハクは濡れた唇で、ちゅっ。ヒスイの額にキスをして言った。
「ね、ヒスイ、このままえっちしようか」


セックス用に常備しているマットを敷き、ヒスイをそこへ横たわらせ。
「おにぃ・・・ちゃ?」
「・・・・・・」(“絶対領域”の先、か)
息子アイボリーを思い浮かべ、笑いを堪えながら。
ヒスイのスカートを捲り、渦中のショーツを脱がせる。
両手でヒスイの太腿を掴み開き、そのまま割れ目へと顔を埋めた。
「んッ・・・んん・・・ッ!!おにぃ・・・」
頬を紅潮させ、ヒスイが反応する。
舌の表面がヒクつく膣口に張り付いていた。
コハクは、ねっとりとそこを舐めたあと、舌先で拡げ。舌の根元までゆっくりとヒスイの膣内へ差し込んだ。
「あッ・・・うぅんッ!!あッ!!」(おにいちゃんの・・・した・・・はいって・・・)
膣に宿った、何とも心地良い感触。
舌を咥えたヒスイの膣口が、キュウキュウ締まる。
それを合図に、コハクが舌を使い出した。
「んんッ!!ふッ・・・!!ふぁ・・・ぁ・・・あぁッ!!」
グチュグチュグチュ・・・膣襞が奥の方まで波打つほど激しく動かされ。
「あッ・・・あぁッ!!おにぃちゃ・・・!!ッ!!」
泡立った愛液が、コハクの口元に流れていくのがわかった。器用に啜られていることも。
「あッ・・・あッ・・・」
コハクの髪を両手で掴み、腰を揺するヒスイ。
気持ちいい――が、同時に恥ずかしくもあり。
「お○ん○ん、お○ん○んでして・・・おにいちゃ・・・」


優しく微笑むコハクが、勃起ペニスに手をかける。そして――
愛液をこぼし続ける膣口に先端をあてがい、腰を進めた。
「あ・・・おにい・・・」
膣肉を掻き分け、伸び上がってくるペニス。
「あ・・・あ・・・あ・・・」
間もなく、いつもの場所へと収まり。互いの熱で、互いの性器を溶かし合う。
「あ・・・はぁ・・・ん・・・」
溶けては、感じて。感じては、溶けて。
じわじわと広がる快感・・・
「はぁはぁ・・・あ・・・おにぃ・・・ちゃ・・・」
ヒスイは息を乱しながら、コハクのシャツを引っ張った。これは、催促だ。


「くすっ、どうしたの?今日はずいぶん急かすね」


コハクはヒスイの頬を撫で、目元と唇に何度かキスをしてから、ペニスの抽送を始めた。
「っあッ!!あ!!い・・・ああ・・・ッ!!」
前戯ですでに熟し、体積を増した膣襞が、律動するペニスに絡まる。
「あぅッ!!あ!!あぅぅん・・・ッ!!」
それを圧倒的質量ですり潰され、快感と共に淫らな汁が弾け飛んだ。
「んくッ・・・あ・・・!!」
ヒスイは悦び、目にいっぱい涙を溜めて。

「あ゛ッあ゛ッあ゛ッ!!」
目を細め、舌を出し、喘いだ。

「あぁ・・・んッ・・・は・・・」
目を瞑り、膣内で溢れる官能を堪能し。

「あぁぁぁ・・・ッ!!」
涙を流しながら、仰け反った。

濡れた子宮口がチュルチュルと亀頭に吸い付いているところを更に押し撫でられ。
「――!!!!!」
子宮に直接電気が流されたような感覚に陥る。
亀頭で入口を大きく拡げられても、気持ち良く痺れていてよくわからない。
そこに放たれる、精液。たちまち子宮が膨れあがり。
「あ・・・あ・・・」
宙を見たヒスイの瞳が高速の震えを起こした。
真っ白な光の空間へと意識が誘われる。
「――――
そんなヒスイに、コハクは甘く囁いた。


「イッたままでいいから、これだけは聞いて。ヒスイ、好きだよ。愛してる」





その後、リビングに戻ってきたヒスイは――

くま耳パーカーとフレアスカート、ちゃんとニーハイソックスも履いていた。
コハクのコーディネートであることは明白で。
“絶対領域”は健在だ。
(・・・っても、どーすりゃいいんだよ)
お手上げとばかりに、頭を抱えるアイボリーの前を、ヒスイが通過。
その時、ふと、ある言葉がアイボリーの口から出た。


「ヒスイ、パンツ見して」


「パンツ?」
ヒスイは振り返り、少々首を傾げたが・・・
「うん、いいよ」と、自らの手でスカートを捲った。
「!!」(マジかよ・・・)
喜びもあるが、驚きの方が大きいアイボリー。
「え?」(ヒスイ!?何やっちゃってるの!?)
おやつの準備ができたことを知らせにきたコハクも驚きだ。


「・・・・・・」(勝った気がしねぇ・・・)←アイボリー。
「・・・・・・」(あとで、しっかり躾け直さないと・・・)←コハク。




それぞれの想いを胸に。




ヒスイのパンツを巡るお話は、これで、おしまい。







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