赤い屋根の屋敷――現代。

こちらは、ヒスイ不在のまま、夜になっていた。


「お兄ちゃんっ!!」


メノウの部屋に戻ったヒスイ。当然、コハクはそこで待機していて。
「ヒスイ・・・っ!!」
いの一番に、抱きしめる。
お土産の果物が落ちるのも構わず。
「おにいちゃ・・・おにいちゃぁ〜・・・」
変わらないコハクの匂い、体温・・・愛しい気持ちでいっぱいになる。
抱擁が解かれるとすぐ、ヒスイは顔を上げ、目を閉じた。
頬を赤く染め。キスをねだる仕草。
「ヒスイ・・・」
何処へ行ったのか、調べはついていた。
昔の自分のところ・・・だからこそ心配で。
(気になることだらけだけど・・・)
ヒスイが“欲しがっている”のが、わかる。
(・・・話はあとでもいいか)
コハクは金色の睫毛を伏せ、ヒスイと唇を重ねた。
「ん・・・おにぃ・・・」



キスをしたらもう、止まらない――



「は・・・む・・・」
コハクの舌を頬張りながら、床の上で両脚を開くヒスイ。
その中心に向けられたコハクの手を掴み、頭を振る。
恥かしくて口にできないが、膣への愛撫は充分なのだ。
コハクも深追いしなかった。
その手でヒスイの頬を撫で、キスを続ける。
「は・・・ふ・・・」
溶け合った唇が、淫らな音をたてる。
ヒスイは潤んだ瞳でコハクを見つめ。
「お・・・にいちゃ・・・さわって・・・い?」
股間の膨らみに、恐る恐る指を伸ばした。
「くすっ、いいよ」
一旦キスを止め、コハクがTシャツを脱ぐ。
それからカーゴパンツを下ろし、勃起したペニスをヒスイに見せた。
「あ・・・」
ヒスイは慣れない手つきでそれに触れ。
「んぅ・・・ッ!!」
より鮮明になる挿入のイメージ。際限なく濡れてゆく膣。
ゾクゾクとした震えが起こる。
「あ・・・あ・・・」
「こんな風になるなんて、めずらしいね。どうしたの?」
蕩けたままになっているヒスイの唇に指を置き、コハクが尋ねる・・・が、答えを聞きたい訳ではなく。


「確かめさせて、ね」


こくり、ヒスイが頷く。
天界で何があったのか、言葉より体で伝える――その方が早いと思ったからだ。
ヒスイはコハクのペニスを握ったまま、自ら膣口を寄せた。
先端を陰唇の間に捻じ込み。
いつでも貫いてくださいと謂わんばかりに、擦り合わせる。
「はぁはぁ・・・おにいちゃ・・・」
「よしよし、いい子だね」
ヒスイにご褒美のキスをするコハク・・・そして。


「最高の夜にしてあげる」


甘い囁きのあと・・・ぐぐっ、膣口を押し破る。
「あッ!!あぁ・・・ッ!!」
ぶちゅり、と、亀頭が入った瞬間。快感の衝撃で、乳首が勃った。
より濃く色づき、シャツから透けて見える。
「あ・・・ひ・・・んん・・・ッ!!」
軽く達してしまうほど感じて、腰をよじるヒスイの上で、コハクはシャツのボタンを外した。
飛び出た乳首を指に挟み、少ない乳肉を上手に揉みあげる。
「ん・・・ふぁ・・・おにいちゃ・・・」
両脚をコハクの腰に絡めるヒスイ。だがそれは、すぐにほどけた。
「あ!!んはぁ・・・ッ!!」
代わりに大きく背中を反らせ。
コハクの指の間にある桜色の乳首をぐんと上向かせる。
「んぁ・・・ぁ・・・」(おく・・・が・・・ぬるぬる・・・して・・・)
子宮口にたっぷり男の蜜を塗り込まれ。
亀頭で、そこを撫で回されていた。
「お・・・おにいちゃ・・・だめ・・・それ・・・」
力がどんどん奪われてゆく・・・気持ち良過ぎるのだ。
「はぁはぁ・・・んッ!!」
尿道口を自力で締めることさえできなくなって。
(お・・・おしっこ・・・でちゃう・・・)
早く何とかしなければと思うのに。
コハクから離れるのがどうしても嫌で。
混乱している内に、ちょろちょろと流れ出してしまう。
「あ・・・ごめ・・・なさ・・・」
羞恥で泣き出す寸前。
「好きだよ」と、コハクのキス。
ヒスイが口にしたであろう天界の果物に、水分が多く含まれていることを考慮した上での確信犯だ。
コハクは、限りなく優しい笑顔で言った。


「このまま・・・全部僕にくれると嬉しい」


「ん・・・おにいちゃぁ〜・・・」
その言葉に安心してか、生理現象に身を委ねるヒスイ。
甘えは、ひとつの快楽であり。
こうしてまた、コハクへの依存心が強くなる。
「・・・・・・」(うん・・・可愛い・・・)
コハクは、ヒスイの膣にペニスを深く挿入したまま、出し切るのを待って。
自分を伝い、すべて滴り落ちるのを確認してから、ピストンを開始した。
「ひッ!!あ・・・おにいちゃ・・・!!」
コハクの表情は相変わらず優美で上品・・・だが、ペニスは違っていた。
ずぷッ!ずぷッ!ひと突きごとに、逞しい血管が張り巡ってゆく。
「あッあッ!あんッ!!あんんッ!!あぁぁッ!!!!」
(なんか・・・すご・・・い・・・)
ぐちゃぐちゃと、激しく揺さぶられる膣肉の中、硬くなって、太くなって。
これは、本物のペニスでしか味わえない快感。


「んくッ!!あ・・・おにい・・・ちゃ・・・」


ヒスイが絶頂を迎えると、膣が鳴り止んだ。
コハクがピストンを止めたのだ。
「お腹、空いたでしょ?」
「ん・・・」
ふたたび亀頭で膣奥を探り、しっかりと繋ぎ合わせて射精する。
「あ・・・あふ・・・」
ごぷん・・・ごぷん・・・
子宮口に直接注ぎ込まれる精液。
哺乳瓶でミルクを与えられているみたいだった。
「ふぁ・・・ぁ・・・」
子宮に放流される精子に興奮し、左右の卵管までも、至福の快感に酔う。
「は・・・ぁ・・・おにいちゃ・・・ん」



・・・after

「そろそろシャワー浴びようね」
そう言って、ヒスイを抱き上げるコハク。
「あれっ???」と、そこでヒスイが気付く。
机の上は、いつも以上に散らかっていて。
懐中時計がもうひとつ。作りかけではあるが、完成間近だ。
「お兄ちゃん・・・あれってもしかして・・・」
「うん、迎えに行こうと思って」と、コハクはにっこり。
どうやら同じものを作り、同じ現象を引き起こそうとしていたらしい。
「・・・限界だから?」
「そう、限界だから」
「ぷぷっ・・・あはは!!」(あっちのお兄ちゃんが言ったとおりだ)
声をあげて、ヒスイが笑う。
「ヒスイ?」
そのままコハクの首元に両腕を回し、ぎゅっと抱きついた。



「ただいま、私のお兄ちゃん」
「おかえり、僕のヒスイ」




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