次女アクアが、無事(?)高校進学を果たした年の秋のこと。
「ただいまぁ〜」
里帰りを告げる声。
「おかえり〜・・・」
眠そうに出迎えるヒスイに、今日も、抱擁。
「ママ、可愛い〜」
豊満すぎる胸で、ヒスイの顔を挟み込み。
「パパはぁ〜?」
「裏庭で草むしりしてるよ」
「了解〜」と、アクア。それから。
「あとでぇ、お買物連れてったげるからぁ〜、ママはリビングでいい子にしててねぇ〜」
「うん、わかった」
ヒスイは素直に従い、欠伸をしながら、リビングへと戻っていった。
裏庭にて――
「パパぁ〜、ちょっと話あるんだけどぉ」
「いいよ。話してごらん」
「あのね〜・・・」
「うんうん」
父と娘の内緒話。
そして、数日後・・・
「・・・お兄ちゃん、これ、どういうこと?」と、ヒスイ。
アクアの通う高等学校の文化祭。
クラスの催しものは、定番のメイド喫茶・・・そこにコハクが参加している。
女装メイドとして。
いつもながらクオリティが高く、ずば抜けた美人※ほぼシトリン※だが、「アクアの父です」と、自ら挨拶をしていた。
「売り上げ一位目指してるからぁ〜、パパに協力お願いしちゃったぁ〜」
・・・と、コハクに代わり、アクアが答える。
絶世の美女メイドの噂はあっという間に広がり、すでに人だかりができ始めていた。
「・・・・・・」
むっつり黙るヒスイの周りにも、アクアのクラスメイトが群がる。
「超カワイー!」「美少女!!」「アクアの妹ちゃん?」
「っ!!」
アクアの後ろに隠れようとするも、つまみ出され。
「いちお〜、ママなの」と、紹介される。
続けてアクアはニヤリ・・・
「ママもぉ〜、協力してねぇ〜」
「・・・・・・」(なんでこうなるの?)
メイド服を着せられ。呼び込み看板を持たされ。廊下に立たされるヒスイ。
ちなみにメイドの服サイズはぴったりで、事前に用意されていたとしか思えない。
間もなくヒスイは、先程以上の人に囲まれた。
「人形?」「すごいキレー」「肌スベスベだしぃ」
「あれ?今、瞬きしなかった?」「生きてる?」「まさかぁ」
(生きてるわよ!!失礼ね!!)←心で叫ぶヒスイ。
「――ヒスイ、ヒスイ」
どれくらい時間が経ったのか・・・ヒスイにとっては気の遠くなるものだった。
瞬きを極力我慢し、結局人形のフリをしてやりすごしていたのだが、コハクの声で意識が呼び戻される。
「おにい・・・ちゃん?」
「お待たせ。ノルマ達成したから、もう上がっていいって」と、コハク。
美人メイド姿のまま、微笑む。それから、ヒスイを抱き上げ。
「じゃあ、行こうか」
「行くって、どこに???ちょっ・・・お兄ちゃん!?」
ヒスイの質問には答えず、コハクが走り出す。
メイドを攫うメイド・・・当然注目の的だが、あまりに現実離れした光景だったため、誰も追ってはこなかった。
辿り着いたのは、保健室。
「メイド服、すごく似合ってるよ」と、言いながら、コハクが鍵をかける。
「・・・・・・」←ヒスイ。
コハクがなぜ、保健室の鍵を持っているのか・・・なんとなくわかってきた。
「お兄ちゃん・・・もしかして・・・」
「ああ、この鍵?アクアから貰ったんだ」
コハクが、女装で、タダ働きする筈がない。
「・・・協力するって」
「うん、まあ、他ならぬ娘の頼みだし?」
ヒスイにメイド服を着せ、校内セックスをするところまで折り込み済み。
むしろこっちが目的だが、しらっとコハクはそう言って。一路ベッドへと向かった。
ヒスイを背中から抱っこする形で腰掛け、「お疲れ様」と、頬にキス。
ヒスイのエプロン紐を解き、パフスリーブの紺色ワンピースのファスナーを下ろす。
露わになった白い背中にコハクが口づけると。
「ひぁ・・・おにぃ・・・」
ヒスイは戸惑いの声を上げた。
軽く聞き流し、ブラジャーのホックを外すコハク。
カップの隙間に手を入れようとしたところで。
「だ・・・だめだよ・・・」と、ヒスイ。
「お兄ちゃんは今、女の人なんだから」
両手で胸を隠し、ささやかな抵抗を見せた。
「・・・ふぅん、そう」と、コハクが言って。
「あ・・・」
NGワードだということに気付くも、手遅れだった。
「じゃあ、そういうことにしようか」
「え?」
ベッドの上、コハクはヒスイを仰向けに寝かせ。
「あ・・・おにい・・・」
ヒスイに乗り掛かりつつ、キスで唇を塞いだ。
「ん・・・」
別々だった唇のラインがひとつになって。内側が繋がる。
口内に差し出された舌に舌を乗せると、舌による舌の愛撫が始まった。
「は・・・はぁ・・・」
裏筋をなぞられ、先端を摺合せ。
コハクの口内に連れていかれたり、喉の奥に押し込まれたり。
「ん・・・くふ・・・」
舌でするキスの官能的なことといったら。
もうそれだけで、頭の奥が蕩ける。
「は・・・ふ・・・」
熱を持ち、潤む瞳・・・
(シトリンと・・・キスしてる・・・みたい・・・)
背徳的な気分だが、味は確かにコハクのもので。気持ちがいい。
「はぁ・・・は・・・」
長い長いキスで、混ざり合った唾液が、ヒスイの口から溢れ、顎を伝い、首筋を流れてゆく・・・
それを追うように、コハクの唇が動いた。
ちゅっ。ちゅっ。
顎、首筋、鎖骨・・・それから乳房。
「あッ――」
片方の輪郭を指先でなぞりながら、もう片方の先端を口に含む。
「んッ・・・」
淫らに濡らされてゆく一方で、焦らされている側の乳首が、切なげにぴくぴくしている。
「くすっ、順番ね」と、笑ったコハクがそこへキス。
「あんッ・・・」
ヒスイが思わず嬌声を洩らす、そんな中。
っぷ・・・つぷつぷつぷ・・・!!指が二本膣に入ってきた。
「――あッ!んぁッ!!おにいちゃ・・・!!」
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