「――うん、いいかな」


夫婦の寝室に漂う、アロマの香り。
エロティックな夜のムード作りにぴったりな、催淫効果のあるイランイランをメインに、いくつかの精油をブレンドし、オイルウォーマーで程良く拡散させている。
そう、今夜は“アロマでエッチ”なのだ。
「お兄ちゃん?もう入ってもいい?」
ヒスイが扉の隙間から顔を覗かせる。
コハクが笑顔で頷くと、たたた・・・小走りで抱き付いた。
エッチの時間なのだと、わかっているのだ。当然、期待もしている。
「・・・あれ?なんかいい匂・・・」
言葉半ばで引き寄せられる腰。
コハクが顎に手を添える。
「あ・・・おにい・・・」
深いキスをするためのフォームで、二人は唇を重ねた。
「ん・・・」
じっくりと時間をかけて、唾液を共に練り上げ。
「ん・・・くふ・・・」
ヒスイがそれを溢し始めたところで、コハクは一旦唇を離した。
ちゅっ。ちゅっ。濡れた顎を拭うキスをして。
ちゅっ。もう一度唇に。それから・・・
「ね、ヒスイ。してみせて」と、耳元で囁やいた。
「ん・・・」キスにのぼせたヒスイが頷く。
いつもなら、ひとりエッチの類は渋るのだが・・・アロマ効果なのか、ヒスイは素直に従った。


うさ耳付きふわもこパーカーとセットのショートパンツを脱ぎ。
迷うことなくブラジャーを外し、ショーツを下ろす。
裸でベッドに腰掛け。弄るところを見せるため、コハクへ向け両脚を拡げた。
「ん・・・おにいちゃ・・・」
睫毛を伏せ、しっとり濡れた股間のIラインを指先でなぞるヒスイ。
コハクの視線に後押しされ、すぐに愛液が膣口から垂れ落ちた。
時には長く、時には短く、錘付きの糸を引く。
「はぁっ・・・」(さっきから・・・なんか・・・)
ひどく官能的な香りが、カラダに浸透してくる。
「はっ・・・はっ・・・は・・・」
ヒスイは腰を突き出し、自らの指でグチュグチュと陰唇の形を崩していった。
「は・・・あん・・・おにいちゃ・・・あ・・・!!」
コハクを求めながら、クリトリスを剥き、膣に指を入れようとしたところで。
「そこまででいいよ」と、コハク。
「よっ、と」ヒスイの両脚を抱え、ベッドに乗せ。
上着を脱ぎながら、自分も後に続く。
「はぁはぁ・・・おにぃ・・・ちゃ・・・あッ!!」
コハクはヒスイの両脚を掴んで拡げ、捲れ出ている小ぶりの陰唇に口づけた。
「んッ――」
コハクの舌が、にゅるりと膣に滑り込む。
「あ・・・はぁ・・・あ!!」
ヒスイの中で、コハクが思いきり舌を伸ばすと、子宮が吸い寄せられるように下りてきた。
届くはずがないのに、舐められたがっている。
「あ・・・あぁー・・・」
熱く蕩ける快感が、愛液となって、膣肉の溝から湧き出す。
コハクの舌がそれを集めるように動いた。
ちゅく・・・くちゅ・・・色っぽく濡れたコハクの口から愛撫の音が漏れ、時々喉が鳴る。
「はぁっ!はぁっ!あ・・・ッ!!」
愛液を啜られ、恥ずかしい筈なのに。
気分が高揚し、瞳が甘く潤む。
いつものように抗いながら感じるのではなく、自ら進んで感じている。
「あ・・・あん・・・」
淫らであること。それが許される空気感なのだ。
「ん・・・おにい・・・」
ヒスイは、膣奥まで曝け出し、コハクの舌に身を委ねていたが。
「――っあッ!!」
絶頂の予兆とばかりに、膣に緊張が走った――その時、コハクが舌を抜いた。
「!?やっ・・・」
イキそびれたヒスイが表情を曇らせる。
コハクは苦笑いでペニスを出し、「おいで」と、ヒスイの手を引いた。
「ふぁ・・・おにい・・・」
このまま跨れば、ヒスイの苦手な騎乗位だ。が、今は構っている余裕はなく。
「あ!あ!あ!」
ぎゅぷぷぷぷぷ!!濡らされた膣が音をたててペニスを吸い込む。
「あ」
奥の子宮が亀頭に乗っかった瞬間。


「んぁぁぁぁッ!!!!」


達したヒスイのカラダが、コハクの上で大きく仰け反った。
「よしよし、いい子だね」
汗ばむヒスイの腰を支え、コハクが優しくあやす。
「はぁ・・・あ・・・」
ヒスイはビクンビクン震えながら。
「おにぃ・・・ちゃ・・・わ・・・たし・・・きょう・・・へん・・・」
「変じゃないよ。“そういう気分”になるアロマを焚いたんだ」
「あ・・・ろ・・・ま?」
「うん、だからもっとえっちになって――」


「快感を、愉しんで」


そう言ったコハクがヒスイの腰を掴み、前後に揺らした。
「あッんッ!おにいちゃ・・・!!」
絶頂直後の敏感な膣肉が、襞が、直立するペニスによって、にゅぐにゅぐと波打つ。
その波紋が、癖になる快感だった。
「あッ!あッ!これ、すご・・・きもち・・・い・・・」
コハクの腹筋あたりに両手をつき、ヒスイ自ら腰を振り出す。
ヌチヌチ・・・ヌチュヌチュヌチュ・・・
「はぁっ・・・はぁっ・・・あ・・・あ・・・」
(ねばねばしたの・・・お○ん○んにからまって・・・る・・・)
濡れ濡れの膣でペニスを滑らせ、ヒスイは快感を貪り。また、それを愉しんだ。
「あッ!んッ!んんッ!!」
(きもち・・・よくて・・・こし・・・とまらな・・・)
トロトロと生温かい愛液がコハクの茂みに流れ込む。
「ヒスイ、手を繋ごうか」
差し伸べられたコハクの手に手を重ね、握り合い。
「いくよ」
「!!っあんッ!!」
コハクの突き上げを受け、今度は縦に腰を振るヒスイ。
「おにいちゃ!!あッ!はぁッ!」
コハクに導かれるまま、腰を浮かせては沈め、盛んにペニスを出し入れした。
「あんッ!あぁ・・・んッ!!」
亀頭の真上で跳ねる子宮。内側が幸せな快感で満たされてゆく・・・
「ふぁ・・・あ・・・」
ヒスイは甘ったるい喘ぎを漏した。
「くすっ、ヒスイは――」


「ここでするとトんじゃうんだよね」


優しく微笑んだコハクが、下から子宮口を開きにかかる。
「!!ん゛ぁッ!!おにいちゃ・・・!!」
眩暈がするほど強烈な快感。身を捩り、ヒスイが訴える。
「イクっ!イッちゃうっ!!」
「じゃあ、僕も」と、コハクが精を放った。
「あ!あぁぁぁ!!!!!」
射精の勢いに、瞳が攫われる。景色がぐるんと回った気がした。
「あッ・・・ひ・・ぁ・・・あぁッ!!!!」
天を仰ぎ、ヒスイが絶頂を迎える。
かなり悦いものだったらしく。
「あ・・・ふあぁぁ!!」
ヒスイは、大量のイキ潮をコハクの下腹に撒き散らした。


「はー・・・はー・・・」
涎を垂らしながら、上に伏しているヒスイの頭を撫で、そこに「よくできました」のキスを落とすコハク。
「体勢変えるね」
萎えることなく、ヒスイの中にみっちり詰まっているペニスを抜かずに、騎乗位から正常位へ。
「ん・・・あ・・・おにい・・・?」
「好きだよ、ヒスイ」
愛を告げ、ヒスイの唇を塞ぐ。
そのあと、軽めのキスを続けながら、両手でヒスイの乳房を覆った。
「あ・・・あん・・・」(おっぱい・・・きもちい・・・)
乳肉の中にいつの間にか宿していた淫熱が、揉まれることによって、先端の乳首から排出されてゆく。
「あ・・・ん・・・」
ピクピク、朱色の乳首を震わせ、感じ入るヒスイ。
一方で、コハクの腰がゆっくりと動き出し、ペニスの抽送が再開された。
「あッ・・・はぁッ!!んッ・・・んんッ!!」
連続で絶頂した膣は、きゅんきゅん、縮み上り。
競り合う肉襞で、径はだいぶ狭まっていたが。
それ故にペニスが食い込んで、少しの動きでも深い性感を生んだ。
「あッ!!あぁ・・・ッ!!」
ぶちゅちゅちゅちゅ!!ちゅちゅっ!!ちゅちゅちゅちゅ!!
ペニスに擦れる膣粘膜が高らかに鳴り。弾けまくる、快感。
ピストンのスピードも上がってきていた。
「あッ!あッ!あうッ!!あうぅぅ・・・んッ!!」
ズチュ!ズチュ!ズチュ!ズブッ!ズブッ!ズブン・・・ッ!!
「あッあッあッあッあ・・・!!」
ペニスと膣の交わりは一段と激しくなり、力強い打ち付けに耐えかねたヒスイのカラダが臍あたりから折れ曲がる。
拡げた両脚が裏返り、腰がぐんと上向きになると、ペニスが真っ直ぐ落とし込まれるようになり。同時に膣口から愛液が飛沫いた。
「んあぁ・・・!!!!」
股が裂けそうな刺激と共に、陰唇がべちゃりと潰れる。
それが何とも気持ちいい。
「んぁ!!あはッ!ひッ!はひッ!!あひッ!!」
ヒスイは、逆さに突かれる腹の底から、快楽まみれの声を出し続けていた。


「はっ・・・あ!!あぁ・・・ッ!!」
ヌプヌプヌプ・・・ヌポッ!ヌポッ!
愛しいペニスが膣を通り、子宮口を押し開け、頭を覗かせる。
「あんッ!あんッ!あはんッ!!」
ヒスイがそれに慣れた頃、コハクは自身の先端を深く押し込んだ。
ヌチュゥゥゥゥ・・・
「!!あ゛ッ・・・う゛ぁッ!!」(おく・・・はいって・・・くるっ!!)
今日一番の快感。
視界にハートがチラつき、ふっと耳が遠くなった。
コハクの口が動くのを見たが、声は聞こえない。
そして・・・


「――――ッ!!!!!」


ヒスイの子宮に精子の大群が流れ込んだ。
「あ゛ッ・・・!あ゛ッ・・・!」
卵子を探し、泳ぎ回る。それが大きな渦となり。子宮内をくまなく愛撫する。
「あ・・・ひ・・・」
コハクが射精をしている間、ヒスイは続けて何度も昇り詰め、やがて意識を失った。





「・・・ん」
ヒスイが目を覚ました時にはもう、部屋は換気されていて。
あの官能的な香りはしなかった。
代わりに、オレンジのような匂いがする。
コハクが、柑橘系の精油を使ったマッサージオイルを作っているのだ。
「ちょっと待っててね。もうすぐできるから」と、コハク。
「ん・・・」
ヒスイはうつ伏せに転がり、枕に顔を埋めた。
「ふぁ・・・」←欠伸。
いつもと同じ心地良い疲労感に眠気を誘われながら。
本日の、おさらい。
(えっちは・・・)





気持ちいいもの。





愉しいもの。





お兄ちゃんと・・・





大好きなヒトと、するもの。










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