今回のテーマは、ロマンチック。


その定義に悩みつつ、コハクはヒスイを連れ、アロマグッズ専門店を訪れていた。
特注のアロマキャンドルを受け取りにきたのだ。
パルマローザやチャンパカ・・・花から抽出された、フローラル系の香りがするものである。
「お兄ちゃん、次はどこ行くの?」と、ヒスイ。
「お花屋さんかな」コハクが笑顔で答える。
部屋に薔薇を飾り、更なる雰囲気作り。
――と、ここまでは良いのだが。
「・・・・・・」
(いまひとつ決め手に欠けるというか・・・もっとこう・・・ヒスイがうっとりするような・・・)

ちょうどその時だった。

「あ、セレ」
ヒスイが前方を見上げる。
「おや、デートかね」と、セレ。
小さな友人、ヒスイの頭を撫でるべく、手を伸ばす・・・が。
当然、コハクが割り込む。
「・・・・・・」
本来なら、牽制の視線をセレに向けるところだが。
「!!」(そうだ!これだ!)
足りなかったパーツがぴったりと嵌り。※脳内で※
「さあ、行こうか、ヒスイ」
ヒスイの腰に手を回し、引き寄せる。
コハクは「ご協力感謝します」と、セレに挨拶し、そそくさとその場を去った。



エクソシスト正員寮――夫婦の寝室。

頻繁に模様替えを行っているそこは、現在、バロック調宮殿風になっていた。
屋敷に比べれば手狭ではあるが、その分、イメージを詰め込みやすい。
ベッドには、ちょっとした天蓋も設置されており。
時は夕暮れ。窓から差し込む光が徐々に薄くなり、ムードは満点だ。
コハクは、ベッドボードにアロマキャンドルを置き、明りを灯した。
「わ・・・いい匂い・・・」
ベッドに腰掛け、心地良い香りを吸い込むヒスイ。
一方で・・・
「お兄ちゃん?何やってるの?」
ドレッサーの鏡の前に立っているコハクに声を掛けた。
「うん、こんな感じでいいかな」と。振り向くコハク・・・
「!!え・・・おにいちゃ・・・それ・・・」
金の髪を掻き上げ固めた、オールバック姿で。
「っ・・・!!」(なんで、おにいちゃんがセレみたいになってるのよ・・・っ!!)
コハク曰く、設定年齢を引き上げてみたとのこと。
より大人の男の演出に、動揺するヒスイ。
「おいで」
高級感のある手摺り付きの椅子に腰掛け、コハクはヒスイを呼んだ。
「っ〜・・・」
ヒスイは赤い顔で俯きながらも、正面からコハクの膝に乗った。
「どうかな?この髪型」
「っ!!いつものほうが・・・い・・・」
照れてそう口にするヒスイに。
「じゃあ、くしゃくしゃする?」と、コハク。
「そうしたら、“いつもの僕”だよ」
ヒスイの両手を掴み、自分の髪に触れるよう促す・・・が。
わかっているのだ。ヒスイがそうしないことを。
「べつに・・・いいよ・・・このままで。せっかく・・・セットしたんだし・・・」
目は合わせないものの、案の定、ヒスイはそう言って。
くすり、コハクが笑う。
ヒスイの両手を掴んだまま、唇を寄せ。
「じゃあ――」


「このまま、キス、するよ?」


「っ・・・!!」
息のかかる距離。NOと言えない距離。そして――
「ん・・・」
唇が、重なった。



「んぅ・・・」(おにいちゃ・・・)
アロマキャンドルの華やかな香りと、ヘアワックスの清々しい香りが、ヒスイの鼻腔を擽る中。
流れ込んでくるコハクの唾液。追って入ってきた舌が、それらを掻き混ぜるようにして動く。
「はぁ・・・」(すき・・・)
次第にヒスイも舌を使い始め、溶け合う唇の間、懸命にコハクと絡め合った。
コハクはヒスイの腰に両腕を回し。
ヒスイはコハクの首に両腕を回し。
日が暮れるまで、気の遠くなるような甘いキスを続けた。


「んっ・・・ふ・・・」
ヒスイはすっかりキスに酔って。
「んぁ・・・」
コハクが唇を離すと、その舌を追うように、舌を伸ばした。
「もっとキスしたかった?ごめんね」
少し困ったように笑うコハク。
我に返り、真っ赤になっているヒスイの額に、ちゅっ。キスをして。
セットアップになっている、ストライプ柄のブラウスとスカートを、座ったまま器用に脱がせた。
それからヒスイを抱き上げ、ベッドへと運ぶコハク。
ヒスイを寝かせたところで、上からふたたび口づけた。
「ん・・・んぅ・・・」(くらくら・・・する・・・)
たちまちキス熱が再燃し、沸騰する血潮。
ヒスイの素肌に玉の汗が浮く。
「はぁはぁ・・・ん・・・」(おにぃちゃ・・・)
世界に、もうそれしかないような愛おしさで、与えられた唇を貪るヒスイ。
そんな中、ブラが外され。
「ふぁ・・・」
ぬちゃ・・・鈍い水音をさせながら、コハクの唇が離れた。


「あんッ!!」
乳首を摘まれ、そこに凝縮する快感。
「んんッ!!」
ぞわぞわと甘痒いものが乳肌に這ってきたところを、優しく舐められ。
「あ・・・あん・・・」
ヒスイの口から嬌声が漏れる。
「はぁはぁ・・・ん・・・」
コハクの舌は熱く淫らで。
もう片方の乳首も、転がされているうちにねっとりと張り付いていた。


しばらくして、コハクは可愛がっていた乳首から舌を退き。そのまま唇を滑らせた。
ヒスイの臍の窪みを舌先で擽ってから。
するすると、ショーツを脱がせる。
「キス、そんなに気持ち良かった?」
そう言って、ヒスイの割れ目をクチュクチュと撫で上げ。
「ひぁ・・・おにぃ・・・っ!!」
「すごく濡れてる」
その言葉と共に、膣へと挿入される二本の指。
っぷ・・・ぬぷぬぷぬぷ・・・
「んぁッ!!ああ・・・ッ!!あ!!」
膣襞を押し上げるようにして擦り、更に愛液を搾り出す。
ぬちゅちゅちゅ・・・ぬちゅっ!ぬちゅっ!ちゅっ!くちゅっ!
「あッ!!ん・・・ッ!!あッあッ・・・は・・・」
指を咥えた膣口が、継続して愛液を垂れ流すようになるまで続き。
それから、指を揃え、グリュグリュと捻じり、ヒスイの膣穴を拡げ始めた。
「あッ・・・んぁッ!!あ・・・はぁ・・・」
肉と肉が引き剥がされ。その隙間を縫って、奥まで送り込まれる快感に。
「あッ!あぁッ!あ!!」
ビクッ!ビククッ!ビクン・・・ッ!!
ヒスイは幾度となく、細い腰を震わせていた。


「はぁっ・・・はぁっ・・・」
体を横にし、肩で息をするヒスイ。
コハクは服を脱ぎ、ヒスイの片脚を抱えると、ヒクついている膣口に亀頭を潜らせ。
ゆっくりと、残り部分を納めた。
ずぷずぷずぷ・・・挿入音が膣内に響き渡り。
「あッ・・・ああぁッ・・・」
ヒスイの表情が蕩けた。
「あッあッあッ・・・んッ!!」
膣穴を往復しながら、より逞しくなるペニス。
「ふあ・・・ぁ・・・あぁ・・・ん」(お○ん○ん・・・おっき・・・)
膣肉が肉傘に沿って、流れ、うねり。
下腹に甘美な痺れが生じる。
コハクの口戯によって、伸びきった乳首はぷらんと垂れ下がり、ぴくぴくしていた。
「あッ・・・ふぁッ!!」
コハクが腰を振る度、膣肉が吸い付き。
「んぁ・・・は・・・」(あそこ・・・じんじん・・・する)
自らをも溶かすような、濃厚な愛液を分泌する。
「はっ・・・はっ・・・おにい・・・ちゃ・・・あッ!!」
そこでコハクが腰の使い方を変えた。
一旦ピストンを止め、膣にペニスを入れたまま、円を描く。
ぐぶぐぶと柔軟に鳴る膣口。
「んん・・・ッ!!あ!!」(これ・・・い・・・)
愛液と襞が、コハクの肉棒に巻き取られてゆく・・・
男女の繋がりがより増した気がした。
「あ・・・あん・・・おにいちゃ・・・おにいちゃぁ・・・」
ひとときの陶酔を経て。


「気持ちいいのは、これからだよ。ヒスイ」


次の瞬間。コハクはヒスイを仰向けにし、ペニスを深々と突き刺した。
「―――!!」
その圧倒的拡張感に骨盤を軋ませながらも。
「はぁぁ・・・ッ」
ヒスイの瞳が甘く揺らめく。
「あッあッあッ・・・ああんッ!あッあッ!」
ふたたびペニスの律動が始まった。
コハクの腰を受け止めながら、反り返ったクリトリスには、愛が宿り。舞い上がる。
「あッ・・・あぁー・・・」
奥を突かれる度、頭の中が幸せな快楽で溢れ。その引力で、上へ上へ上がってゆく瞳。
下まぶた側にできた余白を埋めるように、悦びの涙が浮いた。


「ヒスイの、捲れて僕にくっついてる」


可憐な花びらにも喩えられる、小陰唇の薄肉。
擦られるうちに肥大し、コハクの幹にへばりついていた。
アロマキャンドルは燃え尽き、月明かりのみが差し込む中。
「嬉しいんだよね、これ」
そう言って、コハクがゆっくりとペニスを動かす。
「ふぁ・・・おにぃ・・・ちゃぁ・・・」
ヒスイのそこが、軟体動物のように筋道を残し、暗闇でぬらりと幹が光る様は、淫靡としか言いようがない。
それが、ぬぢゅッ!ぐじゅッ!と、いやらしい音をたてながら、自分の胎内へ出入りを繰り返しているのだ。
ヒスイはうっとりと自身の股の間を見ていたが・・・
徐々に、抽送のスピードが上がってくると、コハクの腰振りに合わせ、腰を振り始めた。
「あッ!あッ!おにい・・・あうッ!!あうぅんッ!!」
「すっかり発情して・・・いい子だね」
腰を振りながら昂ってゆくヒスイに、麗しい紳士の顔を近付けるコハク。
上向くヒスイの顎を舐め。耳朶を食んで、愛を囁く。
「好きだよ」
それから、ヒスイの奥――子宮を情熱的に突き上げ始めた。
「――あぁぁ!!!!」
子宮に孕む快感。
ペニスで穿たれ、その穂先で濡らされる度、爆発的な早さで成長し。
「ひッ・・・いッ・・・あ・・・!!」
間もなく、絶頂として、産み落とされた。


「あぁぁぁぁ!!!!」


両脚を大きく拡げ、達するヒスイ。
「あ・・・・・・ぁ・・・・・・」
硬直ののち、全身が弛緩する。
「よしよし」(今日は一緒にイクつもりだったんだけど、ちょっと遅れちゃったな)
動けなくなっているヒスイの唇を啄みながら。
開いた子宮口に向け、コハクはたっぷりと精を放った。





キッチンにて。

「う〜ん」と、コハク。
アロマキャンドルは早々に燃え尽き。
セットした髪は、乱れた末に、ほとんど元に戻っている。
「・・・・・・」(意味あったのかな)
こればかりは、ヒスイに聞いてみないとわからない。
「・・・・・・」(ロマンチックなプレイを目指してた訳だけど・・・そんな雰囲気でもなかったような・・・)
ヒスイのための、トロピカルアイスティーを用意しながら、軽く首を傾げるコハク。
完成品を手に寝室を覗き込むと。
ヒスイは目を覚ましていて。ベッドの上、大きく伸びをしていた。
「ヒスイ」
「ん?何?お兄ちゃん」
「今日、ロマンチックに過ごせた?」
「ロマンチック?何それ?」と、ヒスイが笑う。
それから、膝を抱え、コハクの方を見ながら言った。



「何でもいいよ。幸せだから」



「・・・って、お兄ちゃん?何、笑ってるの?」
「いや、ヒスイの言う通りだな、と、思って」
声をあげて笑いながら、コハクが身を寄せる。
「はい、これ。喉乾いたでしょ」
「わ!美味しそう!」
トロピカルアイスティーを手渡すと、ヒスイは満面の笑み。そして――





――笑ったままの唇で、二人は幸せなキスを交わした。









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