10ヶ月が経とうとしていた、ある日――

保健室に、妊婦ヒスイの姿があった。※頑張ってセーラー服。
「もう1週間くらいトパーズに会ってない気がするんだけど」
「何か知らない?」と。
保健医エンジェライトに、大きなお腹で迫る。
1ヶ月ほど前から、ヒスイは、トパーズの双子の妹のところ・・・つまり、娘に預けられているのだという。
そこには、優秀なハウスキーパーがいて、生活に何一つ不自由はないが・・・ヒスイの機嫌は悪い。
「ヒスイさん、それは・・・っと」
(いけない・・・主任に口止めされてるんだった)
慌てて黙るエンジェライト。するとヒスイが言った。
「もしかして・・・マタニティブルーなのかな・・・」
「ヒスイさん・・・じゃなくて、主任が?」
「うん」
「・・・・・・」(普通は妊婦さんの方がなるものなんだけど)
逆転の発想に、思わず笑ってしまう。
「大丈夫、主任は・・・」
エンジェライトが、うっかり口を滑らせかけたところで。


「・・・来たか」


ヒスイの気配を察したトパーズが、保健室に顔を出した。
「あ!トパーズ!見つけたっ!!」
トパーズは、突進してくるヒスイをそのまま保健室のベッドに連れ込み、カーテンを閉め。
「脱げ」一言そう命令した。
「あ・・・うん」
ヒスイは全裸になると、ベッドの上で仰向けになった。
トパーズはネクタイを緩めながら、同じベッドに乗り上げ。
開かせた両脚の間に入り、膨らんだお腹に舌を這わせ始めた。
「あッ・・・ん・・・」
ヒスイの体が淫らに反応するのを、楽しむように、ゆっくりと。
丸く張った皮膚に、淫靡な濡れ筋を残して、臍へと至る。
ちゅっ。ちゅっ。何度か戯れのキスをしたあと、本気のキス。
「あ・・・トパぁ〜・・・」
そこが甘く痺れてゆく・・・
「っ・・・ふぁ・・・」
手の甲を額に乗せるヒスイ。赤くなった顔を隠そうとしているのだ。
けれども陰唇は、ねっとりと捲れ。
欲情した内側をトパーズに見せつけていた。


「快感が、欲しいか?」


魅惑的な響きを持つその声に、こくり、ヒスイが頷く。
「だったら、これでもしゃぶってろ」
「ひぁ・・・っ・・・あ!!」
舌で膣口を破かれた瞬間、そこから愛液が大量に溢れ出した。
「あッ・・・んんッ!!」
流れに逆らいながら、膣内に入り込んでくる。
下腹の裏側にある襞に沿って動き・・・そこに舌先が絡まった。
「く・・・ふ・・・」
唇を噛んで、快感に浸るヒスイ。
カーテンの向こうに、エンジェライトがいるので、できるだけ声を殺そうとしたのだが。
「・・・あ!あぁッ!!」
膣肉を舌で叩かれると、重い腰をガクガクさせながら、嬌声をあげた。
「あッ・・・い・・・あッあッ・・・トパぁ〜・・・」
「・・・・・・」
舌を抜き、口元を拭うトパーズ。
ヒスイの体を起こし、ベッドの端に座らせる。
一方、自分は膝立ちになり。ジッパーを下ろして、勃起ペニスを出した。
「わかってるな?もう中には入れるな」
そう言って、ペニスを膣口に宛がうと、ヒスイはそれを握り、引き寄せ。
濡れた窪みを激しく擦り始めた。
「あ・・・あぁぁぁ!!!!」
与えられた亀頭で、膣口を捻じり回し。クリトリスを高々と押し上げ。
「あうッ!!あ!!!」
愛らしい唇の間から、舌と涎を一緒に垂らして感じている。
「そうだ、それでいい」と、トパーズ。
前戯のあとは、自分でするように躾けた。
ヒスイも初めは嫌がっていたが、妊娠中のセックスがいつも通りにいかないことはわかっていたので、次第に受け入れ。今では・・・


「あッ・・・あんッ・・・!!」


くちゅくちゅ、膣口を亀頭に擦りつけながら。
ちゅっちゅ、ちゅっちゅ、と穂先を吸って。そこが開くのを待っている。
「あ・・・!!」
亀頭がざわつき、ヒスイの膣口を震わせる。そして・・・
「あ・・・ふぁぁぁぁ・・・!!!」
ヒスイは、股間にたっぷりと精液を浴びて、達した。
「はぁはぁ・・・ん・・・んっ?」
トパーズはペニスをスーツに戻し、カーテンを開けた。
「え・・・ちょっ・・・」(もう行っちゃうの!?)
咄嗟にトパーズのシャツを掴むヒスイ。
「・・・離せ。忙しい」
「忙しいのはわかってるけど・・・前よりひどい」
「お前には関係ない」
突き放したトパーズの物言いに。
「関係ないわけない!!」
ヒスイが怒鳴る。


「好きなひとに放ったらかしにされたら、寂しいに決まってるでしぉょっ!!」


「快感が欲しいだけじゃないんだからぁっ!!」
天井を仰ぎ、ぽろぽろ、涙を流す。
「トパーズのばかぁ〜・・・」
そこで、見兼ねたエンジェライトが仲裁に入った。
「主任が、ヒスイさんの体を大事にしてるのはわかります。でも、心にダメージ与えてちゃ、しょうがないでしょう」
「・・・・・・」
「ヒスイさん、主任はね・・・育児休暇を取るために、準備してたんだ」
「育児・・・休暇???」
まばたきをして聞き返すヒスイ。
それに答えたのは、トパーズだった。
「お前に、まともな子育てができるとは思えない」
「う・・・」
そう言われてしまうと、返す言葉がない。
ヒスイは納得し、大人しくなった。一件落着だ。
「セックスでしか泣かない女だと思ってたぞ」と、ヒスイの泣き顔を見て笑うトパーズ。
顎を持ち上げ、目元の涙を舐めてから。唇を重ねる・・・
「トパ・・・ん・・・」


1週間ぶりのキスは、少ししょっぱくて・・・煙草の味がしなかった。




ヒスイが無事出産して1年半が過ぎた頃・・・

トパーズにより、保健室の一画に造られた、異空間育児ルームでは。
保育士の資格を持つエンジェライトが、赤ん坊の面倒をみていた。一応、ヒスイもいる。
トパーズは仕事の合間に、ヒスイと子供の様子を見に足を運び。
万事、うまくいっているように思えた。しかし、この日・・・


「パ?」


・・・と、赤ん坊が、言葉に近い声を発した。
この場合、パ=パパで間違いないが。
トパーズとエンジェライトを見て、口を噤む。
どちらが“パパ”なのか、わからないのだ。
「・・・・・・」
これにはトパーズも父親としてのプライドが傷ついたようだ。
ゴゴゴ・・・※暗雲立ち込める効果音。
「あの・・・主任・・・?」
ただでは済まない雰囲気・・・だがそこで、予鈴が鳴り。
「・・・・・・」
トパーズは何も言わず、次の授業に向かった。


・・・頑張れ!パパ!




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