オニキスの口内へと入れられる歯ブラシ・・・
「・・・・・・」(妙な感じだな・・・)
急所を晒しているに等しい行為。本来、他人に触らせる場所ではない。
愛する者だから、ヒスイだから、許すのだ。
あまり器用ではないヒスイのブラシ使いは、たどたどしいものだったが・・・
牙に毛先が触れると、背中がゾクリ・・・オニキスも同じだった。
「――!?」
歯ブラシごと、ヒスイの手を引き抜くオニキス。
「・・・・・・」
「ね?気持ちいいでしょ?」と、ヒスイは得意顔で。
歯磨きを続行しようとしたが・・・
「オニキス?どうし――んッ・・・」
突然のキス。
腰に回された手で、引き寄せられて。
ヒスイの髪と頬の間にもう片方の手が滑り込んでいた。
逃す気のないキスだ。
「ん・・・ぅ・・・」
ヒスイが歯ブラシを手放すまで、唇を唇で塞ぎ、舌で舌を愛撫する。
そして・・・
「・・・“歯磨きプレイ”はここまでだ」
愛し合う二人にとって、“歯磨きプレイ”は前戯だった。
昂った感情を互いに持ち寄り、再び唇を重ねる――
「ん・・・ふ・・・」
まだ早朝だったこともあり、二人は軽装で。
オニキスはスラックスにYシャツのみ。
ヒスイに至っては、ガーリーなナイティのままだった。
それらを脱ぎ捨てるのは容易く。
「あ・・・」
ベッドの上、一糸纏わぬ姿で横たわるヒスイの体の隅々まで口づけるオニキス。
指先、手の甲、肘、二の腕・・・耳の後ろ、鎖骨、胸の谷間・・・
それから・・・
「んッ・・・」
全身キスの合間、ヒスイの乳首を嗜むように口にした。
「あ・・・はぁ・・・」
そこは、愛された分だけ美しく育ち。
「あッ・・・!!」
その分、多感になった。
オニキスの息の熱さや、舌の感触、濡らされ具合もすべて・・・気持ちいい。
「はぁっ・・・はぁっ・・・あ・・・」
額に手の甲を乗せ、半分顔を隠しながら、ヒスイが乳悦を享受し始めると。
「あ・・・オニ・・・キス?」
両脚をそっと拡げられ。
「あッ!!んんッ!!」
今度は恥骨に唇が被さる。すぐにクリトリスが捕まって。
「んぁ・・・ッ!!」
根元から吸い出された。
「――あ・・・ッ!!はッ・・・あ!オニ・・・っ!!」
乳首にもまだ快感が残っているというのに。クリトリスにも甘い衝撃が走り。
綺麗に色づき今にも咲きそうな肉芽を舌で揺らされ、膣奥まで快感が届く。
「あッあッ・・・っ〜!!!」
オニキスの端整な顔のすぐ傍で、コプンッ・・・膣口が音をたてて、濃い愛液を漏らした。
するとそこに舌を入れられ。
「!!んぅ・・・ッ!!あ!!」
ヒクついていた膣肉を宥めるように、優しく舐められる。が、当然それは逆効果で。
奥がうねって、切ない熱を生む。
「あぁ・・・ッ!!」(こうなるって・・・しってるくせに・・・っ!!)
オニキスは止めようとせず。
愛液が滴る舌を更に深くヒスイの中へ入れた。
「あッ!!うぅッ!!」
臍の下に見えるオニキスの黒髪を掴もうとしても、お腹に舌を詰められているせいか力が入らず、指先さえ思うように動かせない。
「はぁはぁ・・・んッ!!」
膣肉が蕩けて。流れ出しそうになって。
「んッ!」ビクンッ!「あッ!」ビクッ!
ヒスイは声を出しながら、体を震わせた。
「はぁはぁ・・・ん・・・オニ・・・キスぅ・・・」
「じらすの・・・しゅみなの?」
「・・・・・・」
涙目のヒスイにそう言われ、舌を退くオニキス・・・
「そういう訳ではないが・・・」と、否定するも、疑惑の眼差し。
それすらも愛おしく。オニキスは苦笑いで言った。
「ならば、お前の望むようにしよう」
「あ・・・」
前戯の仕上げとして、亀頭で秘裂をなぞり、甘い蜜を擦り込んで。
「ヒスイ・・・」
「ん・・・」
ヒスイの手を握り、キスをしながら挿入――
っぷッ・・・にちにちにち・・・
オニキスの肉傘が、愛液に濡れた膣肉を押し分ける・・・
「あッ!!んぁッ!!・・・あッぅ!!」
途中、悦いトコロに擦れたのか、ビクンッ!ヒスイは大きく反応し、背中を反らせた。
・・・くぷんッ・・・
「はぁ・・・あ・・・あぁ・・・ッ!!」
真っ赤になって恥じらうクリトリスを漆黒の茂みが覆い隠す。結合が果たされたのだ。
「あッ・・・ふぁッ・・・ん・・・」(こし・・・しびれ・・・る・・・)
膣が奥まで開ききると、下半身が快感に飲み込まれ、沈んでゆくようだった。
「あ・・・はぁはぁ・・・」
ベッドの上にある筈の、両脚の感覚がない。
「はぁっ!はぁっ!」
ヒスイの呼吸が激しくなるなか、オニキスが労わるようにゆっくりとペニスを動かし始めた。
「は・・・あぁ・・・んッ!!」
一度腰を引き、亀頭を浅瀬で待機させ、ある程度膣が閉じるのを待って、再度挿入する。
ぎゅぷぷぷぷ・・・
「あッ・・・あぁ・・・んッ!!また・・・おく・・・きて・・・あッ!!」
そのためヒスイは、膣を開かれる快感を何度も得ることができた。
「あッ・・・う・・・オニ・・・あッ・・・あ・・・」
挿入の度に、愛液の量も増えてゆく・・・が。
「んん・・・ッ!!」
愛液がペニスを絡め取る、のではなく。
ペニスが愛液を絡め取り、穴の中で自在に操っているようだった。
その頃には、緩やかなリズムを刻むようになっていて。
「あッあッ・・・うッ!!あッ!!」
柔らかな内側で、オニキスのペニスが滑る。
「あぅ・・・あ!!あんッ!!あッ・・・あッ・・・」
抽送による振動がクリトリスにも伝わり、そこに快感が宿ると。
「あッ・・・うぅんッ!!」
連鎖するように、膣もより感じて。
どうにもならないくらい、気持ちが良くなる。
「はぁっ・・・あ!!イッちゃ・・・!!オニ・・・キス・・・も・・・いっしょがいぃ〜・・・」
ヒスイが甘えた声を出す。
最近ヒスイは、同じタイミングでイキたがるのだ。
「ああ、そうだな」と、オニキス。
手と手、唇と唇、腰と腰・・・心と心。
重ねられるものはすべて重ね、二人は絶頂へと向かった。
「んッ!んッ!ふッ!ふッ・・・んッ!!あ!!あぁぁッ!!!」
ペニスを思いっきり奥まで吸い込んだ瞬間、ヒスイの膣が収縮し。
同時にオニキスが射精した。
「ヒスイ――」
「あ・・・オニ・・・キスぅっ!!」
Pillow talk・・・
「えっち・・・しちゃったね」
「・・・ああ」
「これでよかったのかな???」
「・・・わからん」
そんな会話をして・・・二人、抱き合って笑う。
「付き合ってくれて、ありがと!オニキス!」
「いや、これくらいは――容易い御用だ」
「ね!ね!アレってローズでしょ?」
忙しなく働くメイド長ローズの後をついて歩くヒスイ。
「アレって何ですか?」
「何って・・・オニキスに頼まれたんじゃないの?」
目安箱の件を小声で話す。
ヒスイは案外、オニキスのことをわかっているのだ。
「確かにそうですけど・・・私じゃないですよ?」と、ローズ。
嘘は言っていない。
材料の手配を済ませ、これから投函するところだった。
その内容は――女体盛り/詳細シナリオ付き
無論この場では口にしないが。
ヒスイの言う“アレ”については全く心当たりがなかった。
「え?そうなの???」(ローズじゃなかったら、誰なんだろ???)
※読者様から頂きました※
「ま、いっか!」(何も入ってないより、ずっといいもんね!)
こうして・・・
ヒスイが設置した目安箱は、王と王妃の夜のお題BOXとして、メイド達に愛用されることとなるのだった――
おしまい。
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