引き続き、昼休み。
「驚くことばっかりだよ」と、カーネリアンは豪快に笑って言った。
「その割にはずいぶん機嫌が良さそうね」
隣にはヒスイ。生徒に紛れて行動できるよう制服を着ているが、中学生にしか見えない。
「そりゃそうだよ」
カーネリアンはいつまでも幼いままのヒスイが可愛くてしょうがなく、コンビ結成を大いに喜んでいた。
二人は今、廊下を歩いている。
「そういえば、カーネリアンってスピネルと仲いいの?」
「スピネル?何だい、急に」
「この間、そんな感じだったから」
「遊びに連れてってくれって言うからさ、何回か一緒に出かけたけど?」
「・・・・・・」(全然知らなかったわ)
それが何か?と尋ねられ、ヒスイはストレートに。
「スピネルのこと、どう思ってる?」
「そりゃ可愛いさね、あんたとオニキスの息子なんだからさ」
「え?そういう理由で仲良くしてるの?」
「他に何があるってんだい?」
「・・・・・・」
勿論それは悪いことではないが、特別に意識されていないのも確かで。
ヒスイが先の言葉に詰まる・・・と。
「ところでさ」今度はカーネリアンが言った。
「トパーズとは仲良くやってるかい?」
「トパーズ?」
何故そこでトパーズの名が出るのか不思議に思いながらヒスイが答える。
「うん、まあ普通に」
「そうかい」カーネリアンは笑顔でヒスイの頭を撫で。
「しっかり構ってやるんだよ?」
「?うん」
女同志の微妙なやりとり、そして二人は職員室前で立ち止まった。
教師と生徒はここでお別れだ。
「昼メシはどうすんだい?良かったらアタシと一緒に・・・」
「ううん、お兄ちゃんと屋上で待ち合わせしてるの!お弁当持ってきてくれるって!」
相変わらずのコハク病ぶりに苦笑するカーネリアンと別れ、ヒスイは屋上へ向かった。
そこではコハクが待っていて。
「お兄ちゃんっ!」「ヒスイ」
まずは、抱き合う。
「うまくできた?」
「うんっ!」
頭を撫でられながら、コハクの胸にたっぷりと顔を埋めるヒスイ。
「あれ?お兄ちゃん、何でス・・・」
「さあ、お昼にしようね、ヒスイ」
ヒスイの口から出た疑問を遮り、ランチタイムへ突入。
コハクがランチボックスを見せると、ヒスイは目を輝かせ。
受け取ると、夢中になって食べ出した。
デザートのクリームプリンまで全部たいらげた後、スプーンを咥えたまま、ヒスイは再び尋ねた。
「お兄ちゃん、何でスーツ着てるの?」
「ちょっと出掛けるだけだよ」
きゅぽっ・・・ヒスイの口からスプーンを抜き取り、唇にキス。
最初は軽く触れただけだったが、二度目、三度目と回数を重ねるごとに濃厚なものになり・・・えっちの気配。
「はずかしいよ、こんなとこじゃ・・・」
スカートの中をまさぐられ、ヒスイが顔を赤くする。
それよりも、質問にちゃんと答えて欲しい。
「おにいちゃん、どこ・・・いくの?」
しかし返事はなく、代わりにコハクの指先がヒスイの割れ目に沿って動いた。
「あッ・・・」
「よしよし・・・」
激しいキスをしながら、コハクはヒスイの秘肉を摘むようにして揉み。
「ん〜・・・んッ、はぁ、はぁ」
布越しにコハクの手の温かさを感じて、じわり・・・素直に愛液を分泌するヒスイ。
「はぁ・・・ッ」
コハクのネクタイを引っ張り、恥ずかしそうに俯く。
「くす・・・可愛いね、ヒスイ」
コハクは、しっとりとした布地の上からヒスイの陰裂をゆっくりと撫で上げ。
「入れたくなっちゃうなぁ・・・」
「やっ・・・!!おにい・・・ちゃんっ!!」
行き先を教えてくれなきゃえっちしない!と、ヒスイは抵抗。
すると、コハクは笑って。
「“ア”のつくところ」
「“ア”?もしかして・・・アン・・・」
じたばた、コハクの腕の中でもがくヒスイが解答を口にしかけた時だった。
「あんッ!!」いきなり脚を掴まれ。
素早くチャックを下ろしたコハクに、パンツの脇から無理矢理ペニスを押し込まれた。
「あく・・・ッ!!」
根元まで挿入された瞬間にぷつんと思考が途絶えた。
スイッチが切り替わり、意識するのは膣肉を拡げるコハクのペニスのみ。
「あっ・・・おにぃっ・・・!!」
「軽く一回イッとこうね〜・・・」
天然の潤滑液を上手に使って、巨根を往復させるコハク。
「うッ!うぅッ!!あッ!!」
強引な摩擦と突き上げが、ひたすら気持ち良く。
「あッ、あッ、おにいちゃぁ・・・」
ヒスイは、コハクのペニスに服従し、両脚を大きく開いて快感を貪った。
「あッ!!あ、あ、あぁ・・・ッ!!あ・・・」
そのまま絶頂へと導かれてゆく・・・
「あ・・・」
ぱたっ・・・コハクの腕を掴んでいたヒスイの右手が地面に落ちた。
下腹部の痺れと共に、全身から力が抜ける。
無理強いされた時ほど、イクのが早いヒスイ。
「ん・・・はぁ・・・」
子宮に精液を噴きつけられながら、ぼんやり空を眺める。
(えっと・・・何だっけ・・・)
都合の悪いことはいつもこれで誤魔化されてしまうのだ。
凝縮されたセックス。
結合に使われた穴のまわりがじんじんと熱く、ヒスイはしばらく何も考えられなかった。
「ヒスイ、大丈夫?」
ペニスを抜いた後も呆けているヒスイをコハクが上から覗き込み、汗ばんだ額と頬を撫でた。
「ヒスイ?」
「・・・あ!思い出したっ!!」
やっとエッチモードから通常モードに戻り、飛び起きるヒスイ。
スーツ姿のコハクを問い詰めようと口を開いたが・・・
「ヒスイ、時間だよ?」
「えっ!?」告げられた時刻に慌てる。
教壇の下に隠れるため、授業開始15分前までに教室へ行かないといけない。
現在20分前・・・若干の余裕はあるが、もたもたしてはいられなかった。
「ゆっくりできなくてごめんね、はい、これ」
「?なに?」
「えっちのアフターケア」と。
コハクから受け取ったポーチには替えのパンツと・・・
「透明薬?」
航海で手に入れた、思い出深いアイテムだ。
説明書もちゃんと付いている。
「何かの役に立つかもしれないよ」
ちゅっ。コハクはヒスイの唇にお別れのキスを残し。
屋上から飛び立った。
「またあとでね、ヒスイ」
「あっ!!お兄ちゃんっ!!もぉぉっ!!」
結局、スーツの理由も行き先も聞きそびれてしまった。
「“ア”のつくところって・・・なんだかすごく嫌な予感・・・」
学園裏門前。
「すいません、お待たせして」
コハクが舞い降りた先には同じくスーツを着たオニキスが立っていた。
「それじゃ、決着をつけにいきますか」
「いや、しばらくは内部の様子を探る。どんな会社か知らずに働いている社員も多い。巻き込む訳にはいかんだろう」
オニキスは、組織の悪だけを取り除けばいいと主張し。
「何言ってるんですか。このままだとヒスイが狙われる。そう時間をかけてはいられない」
コハクは、手段選ばず迅速に片付けると主張する。
二人の意見が食い違うのは恒例だ。
「あなたはあれやこれやと秤にかけすぎだ」と、続けてコハク。
「お前は何事もやりすぎだ」と、オニキスが言い返す。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
黙って睨み合う二人・・・これもまたいつものことであり。
「これだけは言っておきます」コハクが先に口を開いた。
「僕が守るべきものはひとつ。世界にヒスイより尊いものはない」
その頃、尊いヒスイは・・・
授業開始まであと10分。
急いでトイレに入り、パンツを替えた、が。
「あれっ?」
出ると、方向がよくわからない。
ヒスイは・・・方向音痴なのだ。
(右だっけ?左だっけ?)
キョロキョロしているうちに予鈴が鳴り・・・
教室を見つけられないまま、校内をうろついているうちに、本鈴。
授業が・・・始まってしまった。
生徒達は教科や授業内容によって教室を移動する。
午後の授業はまさしくその移動教室。
口頭で場所は聞いたものの、校内は広く、同じような景色ばかりが続くので、ヒスイはすっかり迷ってしまい・・・何とか辿り着いた時には、授業開始から15分が過ぎていた。
(もう間に合わない・・・どうしよ・・・あ!!)
そこでコハクのアフターケア、ポーチの中味を思い出す。
(透明薬!!このためだったの!!)
これで透明になれば、誰にも見つからずに教壇下までいける。ただ・・・
消えるのは肉体だけで、衣服はそのまま残ってしまうのだ。
(ピアスと指輪は手に握ればいいとして・・・)
「・・・脱ぐしかないわね」
教室近くのトイレにて。
説明書に従い、透明薬を一口飲み込み。
制服と穿いたばかりのパンツを脱ぎ、ヒスイは完全に姿を消した。
ちょうどその時だった。
突然、ヒスイ使用中の個室の扉が開いた。
鍵をかけるのを忘れていたのだ。
「!!」
ヒスイは咄嗟に壁に張り付き、息を殺した。
入ってきたのは、勝気そうな顔立ちの生徒だ。
癖のある亜麻色の髪をポニーテールにしている。
我慢しきれず授業を抜け出してきたのか、せかせかとした動きで。
(あれ?この子会ったことある・・・スピネルのところに遊びに来てた・・・)
国境の街、ペンデロークの家。
偶然ヒスイも居合わせたため、スピネルに紹介されたのだ。
(ジルコン・・・そうそう、ジルって呼ばれてたっけ)
名前を思い出したまでは良かったが、何とそこで。
(え!?)
ジルが便座を上げた。そして、お目見えしたのは・・・
(えぇぇーっ!?アレが・・・アレが付いてる!!?)
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