シトリンとヒスイ。二人に見られていることに気付かぬまま、タンジェはショーツを脱いだ。
どういう経緯でそうなったかはわからないが・・・どうやらこれからエッチのようだ。
しかしなぜかサルファーは木を挟んだ向こう側にいて。
タンジェ単身、木に寄り掛かり、自ら割れ目に指を忍ばせた。
間もなくして、タンジェの股間から濡れた音が聞こえ。
「ふ・・・くっ・・・」
声を殺し、穴に指を入れる・・・二本、それもかなり深く。
「は・・・」
入口から中まで自力で拡げ、そこが空気を含んでぱくぱくと鳴り出すまでほぐし、木の反対側で待つサルファーの元へと移動するタンジェ。
「サルファー、準備・・・できましたわ・・・」
再び木に身を寄せ、大胆にお尻を突き出し、割れ目を晒す。
それから、おいでおいでと尻尾を振って、サルファーを誘った。
「何だよ、昼間っから・・・」
サルファーの視線がタンジェの陰部に注がれる・・・
「・・・・・・」
濡れているのを見れば、悪い気はせず。
ズボンのチャックに手を掛けるサルファー。
「エロい女」
そう言ってタンジェの腰を掴み、いきなり勃起を押し込んだ。
「ふはッ・・・!あ・・・ッ!サルファ・・・ぁ・・・あッ!」
パンッ!パンッ!サルファーは一定のリズムで腰を打ちつけていたが・・・その動きは見る間に早くなり。
「あッ!!お待ちになって・・・ッ!!もう少し・・・ッ!」
タンジェがそう訴えるのも構わず。
ツプ・・・ッ!ペニスを抜き、体外射精。
タンジェの誘いから、時間にしてわずか数分のことだった。
「はぁ・・・」
タンジェは悩ましげな息を吐いた。
(わたくし、またイケませんでしたわ)
そもそも、イクという感覚がわからない。
擦られるのが気持ち良くなってきたところで、終わってしまうのだ。いつも。
しかもそれをサルファーには言えずにいた。
「ほら、行くぞ。モタモタすんなよ」
エッチの後もドライなサルファー・・・タンジェの悩みなど露知らずだ。
「何だ!アレは!!」憤慨するシトリン。
「男の風上にも置けんぞ!!あれではタンジェがイケん!早すぎる!!」
そう・・・不憫なことに、タンジェは絶頂を知らない体だった。
「母上?どうした?黙って」同意を求め、シトリンが視線をヒスイに向ける。
「あんなの・・・初めて見た・・・」と、これまでノーコメントだったヒスイが口を開いた。
「お兄ちゃんと全然違う・・・」
中に出して。後を拭いて。髪を撫でて。キスをして。
コハクがいつもそうするので、それが当たり前だと思っていたのだ。
「そうだろう!?」
シトリンにしてもそうだ。
コハクもジンも、アフターケアを重要視する男なのだ。
従って、ヒスイとシトリンはサルファーのプレイスタイルに納得がいかない。
実の息子、実の弟であっても、非難轟々だ。
「何なの、サルファー・・・」
眉を寄せ、ヒスイが呟く。
「これは何とかしてやらねば・・・」
両腕を組んで唸るシトリン。その時だった。
ゴウッ!!シュガーランドの南方から火の手が上がった。
火事は火事でも大火事だ。炎の勢いが半端ではない。業火の嵐である。
「あっち!お兄ちゃんがいる方かも!!」
・・・と、いうことは。
「兄上と闘り出したか!!」
恒例の親子喧嘩。それしか考えられない。
「我々も向かうぞ!!」「ん!」
目印は炎、方向がわからなくなっていた二人には好都合で。
シトリンは再びヒスイを担ぎ上げ、全速力で走った。
「「な・・・」」シトリン&ヒスイ、呆然。
二人が到着した時には、事態は終結していた。
とはいえ、シュガーランドの1/3は丸焦げだ。
そこには、コハク、トパーズ、オニキス、アクアに加え、ジストとメノウもいて。
「ヒスイっ!!っと・・・あ・・・」早速、動けなくなるジスト。
「もうさぁ、大変なのなんのって」と、言う割には楽しそうに話すメノウ。
「詳しい事情は知らないけどさ」
メノウとジストが合流した時は、口喧嘩をしていたという。
「そのうちコハクの奴が“今ならトパーズを殺せる気がする”とか言い出してさ。トパーズはトパーズでコハクを煽るようなコトばっか言うし」
「・・・・・・」「・・・・・・」
コハクとトパーズは、互いにそっぽを向いている。
仲裁に入ったらしいオニキスは疲れた顔をしていた。
「あ〜あ、焼き菓子ランドになっちゃったじゃん」
メノウが冗談半分にボヤくと。
コハクは一応、謝罪した。
「ははは、お騒がせしちゃってすみませんでした」
お菓子の国、シュガーランド。
カルセドニーとの接触を果たした今、園内にそれほど危険はないように思えた。
ここに8人が揃ったが、メノウはすぐに離脱し。
その後、去る者と残る者でグループを再編成し、解散となった。
アクアをジストに任せ、ようやく二人きりになったコハクとヒスイ。だが。
チラチラと、ヒスイは落ち着きなくコハクの顔色を窺った。
(どうしよう・・・)
トパーズと喧嘩になったということは、もしかしたら、お尻の穴のことで怒っているのかもしれないと思う。
(このあと、おしおきとかじゃ・・・)
「お・・・にいちゃん?」恐る恐るコハクを呼ぶ、と。
「ん?」
コハクは穏やかな表情で。とても大暴れした直後とは思えない。
きゅっ。思い切ってヒスイが手を握ると、コハクは優しく握り返し。
「デートしようか」と、言った。
「うんっ!」
コハクの笑顔にホッとするヒスイだったが・・・それは甘かった。
「デート・・・だよね?お兄ちゃん」
焼き菓子地帯からそう離れていない場所で。
パウダースノーがうっすら積もった地面に押し倒されたヒスイ。
「うん。コレ込みでね」と、コハク。
デートにエッチは当然含まれる。それが後か先かというだけで、どうやら今日は先らしい。
コハクは早速ヒスイの上に乗り、ちゅっ。ちゅっ。と首筋にキスを繰り返しながら、服の上から軽く胸を揉んだ。
「ん・・・ふぅ・・・」エッチ慣れしたヒスイの体はすぐその気になり。
ノーパンなので、濡れ具合は丸わかりだ・・・が。
「あ・・・おにいちゃ・・・そこ・・・や・・・」
コハクの指先が後穴をつつくと、ヒスイは声を震わせた。
「うん。わかってる」(嫌なのはわかってるけど・・・)
ヒスイの小さな穴はまだ、とても柔らかく湿っていて。
それがトパーズによるものだと思うと、かえって悔しい・・・つまり、嫉妬だ。
「・・・・・・」
アレは良くて、コレはダメ?
・・・と。感情に任せて、今ここで指を入れたら、鬼畜プレイまっしぐらだ。
「・・・・・・」
表面の皺を指の腹で撫で回しながら、葛藤するコハク。
「やっ・・・おにいちゃ・・・そっちじゃ・・・な・・・」
ヒスイは仰向けで両脚を開いたまま、懸命に訴えた。
「・・・・・・」
エッチの際の“お願い”はわざと聞き流すことも多いが、今日は・・・
「・・・うん。そうだね」
コハクは頷き、ヒスイの後穴から指を離した。
「欲しいのは、こっちだよね」と、愛液の漏れ出すもうひとつの穴に触れ、確認する。
「あは・・・んっ!!」
返事と喘ぎが混じったヒスイの声を聞いてから、コハクはジーンズの留め具を外し、勃起ペニスをヒスイに見せた。
「あ・・・」
愛と欲情の象徴を目にしたヒスイは頬を染めて悦び、受入口を一段と潤ませた。
そこに・・・ぴとっ。ペニス先端ではなく幹を密着させ。
「ひぁ・・・おにいちゃ・・・な・・・なに・・・あっ・・・ん!!」
にゅるんっ!割れ目に沿って滑らせる。
くにゅくにゅ、にゅるにゅる、濡れた性器同士をくっつけ、擦り合わせ。
「あ・・・は・・・あぁ・・・」
「どう?ヒスイ」
「すご・・・きもち・・・ぃ・・・」
股間にすり寄るペニスは、頬ずりに似て。
愛おしいものに触れたいという純粋な想いを感じて、心底幸せな気分になるのだ。
「はぁ・・・はぁ・・・ん・・・はぁ・・・」
コハクが腰にほんの少し力を込めると、先端が入り口を掠め。
「あん・・・っ!」
その先端で肉粒をツンツンされると、そこから快感が波紋のように広がっていった。
「ふぁ・・・ん・・・ぁ・・・」
いつにも増して甘えた声が出てしまう。このままイッてしまいそうだ。
「おにいちゃ・・・おにいちゃ・・・おにいちゃ・・・ぁ」
「ヒスイ・・・挿れていい?」
耳元でコハクが囁やいた。
「ん・・・」
拒む理由は何もない。ヒスイは膣口をヒクつかせながら、挿入を待った・・・が。
スイートタイムはここまでで。
「ひぁ・・・んっ!!」
これまで優しかったペニスが、膣内で突如凶暴化し、奥へ喰らいついたのだ。
たった一突きで、これ以上ないくらい深く入り込まれ、驚き喘ぐヒスイ。
「お・・・おにいちゃ・・・!!あ、あぁっ!!」
油断していただけに堪えがきかず。
ヒスイは、子宮口を何度か押し上げられただけで達してしまった。
「あ・・・はん・・・ぁ・・・!!」
「・・・・・・」
収縮する膣内でなお前進しようとするペニス。
このまま子宮口を抉じ開け、もっと奥へと行きたがっているようで。
「んぐっ・・・だめ・・・おにい・・・そんな・・・に・・・おくまで・・・はいんな・・・あっ、あっ」
コハクの肩を掴み、悶えるヒスイ。
「んはっ!!ひっ・・・うっ・・・おにぃ・・・」
「・・・・・・」
(行き止まり・・・か)
この先を、トパーズもジストも・・・子供達は皆知っている。
だけど僕にはどうしたって知ることができないんだ。
(・・・て、まずいな、コレは。考えちゃいけないことだ)
すぐにそう気付き、力を緩める。
「お・・・にいちゃん?」
「・・・ごめんね、ヒスイ」
「?」ヒスイは乱れた呼吸のまま、不思議そうな顔をして。
「いつものほうがいいよ、おにいちゃん」と、言った。
「・・・好きだよ。ヒスイ」
いつもの告白とキス。ヒスイは満足そうに笑って。
「うん!私もっ!」
そしてここ、モルダバイト城では。
「う〜む」唸る金色猫が一匹。
公務のため、早々にシュガーランドから引きあげてきたシトリンだ。
「シトリン、おかえり」
いてて・・・と、ベッドから上体を起こしたのは夫のジンカイトである。
決闘・・・というか、改造の反動で衰弱し、点滴中。そのうえ全身筋肉痛で、指一本動かすのも辛い。
そんな中、猫シトリンはジンのベッドに潜り込み。
「ジン、折り入って相談があるんだが・・・」
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