こちら、竜の体内。
「ヒスイですか!?」
オニキスとヒスイのやりとりに気付いたコハク。
「ヒスイぃ〜・・・」
極端に、オニキスに顔を寄せる。
「おい、近い・・・」(通信機か、オレは)
どんなに近付こうと、コハクの声は直接ヒスイには届かないというのに。
これより少し前・・・
竜の墓場に到着して間もなく、事件は起きた。
「・・・・・・」「・・・・・・」
コハクとオニキス、無言で顔を見合わせる。両者、顔色が優れない。
「ヒスイのお弁当、そんなに変なもの入ってませんでしたよねぇ」
若干、笑いが引き攣り気味のコハク。
「今までで一番マシだったと思うが・・・」と、オニキス。
しかし、アタリ具合は過去最高と言ってもいいくらいで。
猛烈な吐き気等々、とにかく体調が悪い。
「・・・少し休むか」オニキスがそう言った矢先。
「「!!」」
竜が現れたのだ。
墓場に生きた竜がいること自体がおかしいのだが、昼ヒスイの弁当を食べていなければこんなにあっさり捕獲されることはなかった。無論それを言い訳にはできないが。
「出ようと思えば出られないことはないんですけど」と、コハク。
いつもなら剣で腹を裂くぐらいのことはやってのけるのだが、今回はなぜか渋る。
「やめておけ、お前も知っているだろう。この竜は・・・」
傷つけるとすぐ仲間を呼ぶ、厄介な竜種だった。
「何十頭と集まるぞ」
しかもその大きさといったら、半端ではない。山ほどの巨躯なのだ。
「ですよね〜・・・」
(殺って殺れないことはないけど、いちいち相手にしてたらホントにデートに遅れる・・・っていうかもうとっくに時間過ぎてるんじゃ・・・)
コハクもオニキスも毒薬に負けるようなヤワな体ではないのだが、ヒスイの手料理だけは別で、回復にかなりの時間を要してしまった。
竜の口の中は完全なる闇で。時間の流れも把握しにくい。
(ああ・・・ヒスイ・・・)
「とにかく、胃まで落ちずに済んだのは不幸中の幸いだ」
次に竜が口を開けるまでこの場で待機すべき、と、オニキスが主張する。が、竜は眠りについているらしく、しばらく目を覚ます気配はない。そこでコハクが。
「肛門から出ます」
「待て、早まるな。お前自分が何を言っているのかわかっているのか」
オニキスは半ば呆れた顔でコハクの肩を掴んだ。
肛門からだと・・・確かに脱出はできるが、それなりのリスクを負うことになる。
「いいんですよ、僕は。ヒスイを愛するために生きてるんですから」
「そのために多少汚れたって・・・」
デートをすっぽかして、ヒスイに嫌われるよりは遙かにいい。
その後、しばらく口論を繰り広げ。
「・・・・・・」
渋々、オニキスも同行する覚悟を決め、食道を下っている途中で。
“オニキスっ!!聞こえる!?”
天の声。ヒスイだ。
そしてこちら、社長室。
「竜に食べられた?それは困ったことになりましたね」
ヒスイの声はカルセドニーの耳にも入り。
カルセドニーは携帯電話を取り出し、ある人物へ救援要請をした。
間もなく現れたのは・・・
「お父さん!トパーズ!」
「よっ!何、あいつら竜に食われたんだって?」
ヒスイ単身、竜の墓場に乗り込むつもりでいたのだが、心強い味方の登場だ。
社長カルセドニーの許可を得て、メノウ[総務部長]・トパーズ[技術顧問]・ヒスイ[秘書]の3人はコハク・オニキス[資材調達部新人]の救出に向かった。
「竜の墓場ってさ、ほとんど異界みたいなもんだから」と、メノウが語る。
「ほとんど異界?」ヒスイが聞き返した。
この世であってこの世でない場所。
世界の成り立ちを理解している者でないと辿りつけない区域だ。
そのために連れてきたのがトパーズで。
「こいつなら、パッと連れてってくれるだろうからさ」
「・・・・・・」
無論、タダ働きはしない。ヒスイの私物がまたひとつ横流しされたのだ。
「お父さん」そんなことは露知らず、メノウに話しかけるヒスイ。
「ん?」
「このまま戦争になるの?」
「なるよ」
「でもその理由っていうか、動機があまりにも・・・」
「お?カルセドニーと話したの?」
「うん、少し・・・」
するとメノウは。
「欲しいものが手に入んないって、結構悔しいもんだよな」
と、トパーズに話を振った。
「・・・・・・」
「えっ?トパ・・・?」
トパーズはヒスイを捕まえ、腕に抱き。
「確かに、煩わしい」
「だろ?」と、メノウが笑う。
トパーズの腕の中でヒスイは軽く首を傾げ。
「欲しいもの?それってカルセドニーにとっての魔力ってこと?」と言った。
「何かを羨ましく思う気持ちってフツーにあるじゃん?ないものねだりだってわかっててもさ」
「あ!わかる!」と、ヒスイ。
「お前に?」ヒスイの顎を掴んで、小馬鹿にするトパーズ。
「何が羨ましいんだ?言ってみろ」
ヒスイは真面目な顔で。
「大きなおっぱい」
「・・・・・・」トパーズはシラけ。
「あはは!」メノウは声をあげて笑った。
「余所から見たら大したことじゃなくても、本人にとっちゃ深刻な問題なんだろ」
「あ・・・そっか」ヒスイが呟く。
カルセドニーの話を聞いた時、馬鹿馬鹿しいと思ったが。
「そういうことなのね」
「悔しさを埋めるための行動って言えるかわかんないけどさ、ま、売られた喧嘩は買ってやってよ」
「うん、わかった」
モルダバイト側の人間として、ヒスイは頷いた。
それからメノウはいつもの軽いノリで。
「次の新月、グロッシュラーが総攻撃仕掛けるから」
ヒスイはいつもの暢気なノリで。
「うん、じゃあオニキスに言っとくね」
竜の墓場に到着し。
「よっと」メノウが肩に担いだのはバズーカー。
ドン、ドン、ドンと連続して竜の鼻の穴にコショウと同じ成分の弾を撃ち込む。
それはクシャミを誘発するためで、メノウの目論見通り・・・
ブァックション!!木々を軽く薙ぎ倒すほどの突風と一緒にコハクとオニキスが飛び出した。
「お兄ちゃん!」
「ヒスイ・・・っと」抱擁寸前で思い留まるコハク。
抱き合いたいのはやまやまだが、長いこと竜の口の中にいたため、唾液で全身ヌルヌル・・・オニキスもそうだ。
「よし、これで完了っと」
メノウは早々に魔法陣を使って竜の死骸を一体、グロッシュラーの倉庫に転送した。
それからヒスイに。
「俺さ、今夜は社宅に帰れそうにないから、外泊許すけど。明日もちゃんと会社来いよな」
「うんっ!!」
全員でひとまずグロッシュラーまで戻り、解散。
メノウはすぐにどこかへ行ってしまい、オニキスとトパーズはモルダバイトへ。
コハクとヒスイは会社近くのホテルで一泊することにした。ところが。
ホテルはホテルでも・・・ラブホテル。
風俗営業が盛んなグロッシュラーならではの、セックスをするための宿泊施設だ。
ホテルに入ると、室内の様子を示したパネルが壁一面に並んでいて、部屋によって内装や利用料金が微妙に違う。
室内パネルそれぞれにボタンがついていて、ボタンを押す=部屋を選んだことになり、受付でその部屋の鍵を受け取るというシステムだ。
「なっ・・・なにここ・・・」
狼狽するヒスイ。こんなホテルに泊まるのは初めてだ。
「へぇ・・・面白いね」
コハクに手を引かれ、ヒスイは緊張しつつ、チェックインした部屋に入った。
「ちょっと待っててね」
竜の唾液を洗い流すため、コハクは先にバスルームへ。
ヒスイはひとり、ホテルの部屋に残された。
薄暗い照明、大きなベッド。静かな音楽が流れていて、ムードはある、が。
(天井・・・鏡張りだし・・・)
ベッド脇の袖机にはコンドームが用意されていた。
「・・・・・・」(これはいらないよね)
ぽいっ、ゴミ箱に捨てる。ヒスイはコンドームが嫌いなのだ。
「?何コレ・・・」
ガラステーブルの上に置かれたパンフレットを開くと、ローションやらバイブやら・・・販売中のアダルトグッズの紹介で。
「まさかお兄ちゃん、これ注文したりしないよね・・・」
この状況に、いよいよ落ち着かなくなり。
ヒスイはバスルームの前をウロウロ・・・すると内側から扉が開き、コハクが顔を出した。
「ヒスイ?」
「おにいちゃん・・・あの・・・」
コハクは濡れた髪を掻き上げヒスイを見ると、少し困ったように笑って、「一緒に入ろうか」と誘った。
「うんっ!」
ヒスイは大急ぎで服を脱ぎ、バスルームへ飛び込んだ。
手早くシャワーで済ませるつもりだったので、バスタブにはお湯が入っておらず、慌てて蛇口を捻るコハク。
バスルームに招き入れたらもうヒスイに夢中で。自分のことは二の次だ。
「ゆうべはごめんね、ヒスイ」
後ろからヒスイの両肩を掴んで、うなじから、耳、頬へと、ひたすら謝罪のキスを捧げる。
「ず、ずっと待ってたんだからっ・・・」
プイと顔を背ける仕草を見せるヒスイだが、その表情は怒ってはおらず、むしろ照れている。
「ごめんね・・・ごめん・・・」
ぎゅっ、一度強く抱きしめてから。
コハクは腕をほどき、片方の手でヒスイの乳房をまさぐり、もう片方の手で内ももを撫でた。
「あっ・・・」
陰部に近い場所なので、ヒスイは敏感に反応し。
上半身の快感と下半身の期待感で、すぐさま愛液を滴らせた。
「あのあと・・・ちゃんとココ洗った?」と、コハク。
あのあと、とは薄荷舐めのことを言っている。
それを口実にコハクはヒスイのクリトリスを剥き出し。
「あ・・・っ・・・んんっ・・・!!」
その膨らみ具合を指の腹で確かめながら、ペニス挿入のタイミングを窺った。
「んっ・・・ふぁん・・・っ!!」
クリトリスはセックス時以外用途がない、性感を得るためだけの器官で。
そこを弄られると、生理的に膣の中に刺激が欲しくなるのだ。
「お・・・にいちゃぁ〜・・・」
“早く挿れて”とは、恥ずかしくて言えないので、膣口をこれでもかと濡らして催促するヒスイ。
(今日はまたずいぶんと欲しがるなぁ・・・嬉しいけど)
お湯が溜まるまではタイルの上で愛し合う。
まずは正常位で挿入・・・だ。
「んっ・・・!!」
「ヒスイの中、今日もすごいよ」
思わずそう言ってしまうほど、ヒスイの膣内は愛液で満ちていて。
とてもペニスを動かしやすい。
「あっ・・・はぁ・・・おにぃ・・・」
ぐしゅぐしゅ、濡れた膣ヒダとペニスが擦れ。
「あっあんっ・・・!」性交の悦びに浸るヒスイ。
ずちゅずちゅ、軽快に出入りを繰り返しながら、コハクは少しずつヒスイの奥を突く回数を増やしていった。
子宮口にコハクの亀頭が触れる度・・・
「あん・・・」ヒスイの口から一際甘えた声が漏れる。
「あん・・・・・・あんっ・・・あん・・・あ、あん、あんっ、あぁんっ!!」
「ヒスイ、ココ触られるの好き?」
子宮口に亀頭を密着させ、グリグリ、ゴリゴリ、かなり強めに愛撫しながら尋ねる。
もちろん、こうされるのが好きだと知っている上での所業だ。
「ひっ・・・あんっ・・・!!」
子宮を押し上げられた作用で、ビクンビクン、ヒスイの両脚が跳ね上がる。
「好き?コレ」コハクがもう一度聞くと。
こく・・・ヒスイは恍惚とした顔で頷いた。
「じゃあ・・・自分で脚を拡げて、しっかり押さえて」
「そうしたらもっと奥を擦ってあげる」
「う・・・ん・・・おにいちゃ・・・」
ヒスイは左右それぞれ膝の裏に手を入れて、開脚を固定した。
淫らな格好だ。ペニスを咥えた膣口がよく見える。
「よしよし、いい子だね・・・そのまま、手を離しちゃだめだよ?」
「んん・・・っ!!んっ・・・んっ!!んぁぁ・・・あぁ・・・おにいちゃ・・・」
膣奥を情熱的に捏ねられ、メロメロになるヒスイ。
「は・・・はぁ・・・ふぅ・・・ん」
コハクのペニスに感じ入り、喘ぎさえ忘れ。
「ふは・・・・・・ぁん」
奥底からじわじわと痺れてくる・・・が。そこでコハクが腰を引いた。
「あっ・・・やだっ・・・」
ヒスイは膣からペニスが抜かれるのを嫌がったが。
「またすぐ挿れてあげるから・・・ね」と、コハクがキスであやした。
ちょうどバスタブにお湯が溜まったのだ。従って。
「あ・・・ん・・・ぅ」
今度は湯船の中で、ヒスイの膣口を引き寄せ、正面から挿入・・・
「はっ・・・あっ・・・!!なかに・・・おゆ・・・はいっ・・・」
にゅるにゅるとコハクのペニスが動く度、膣内に熱いお湯が入ってきて。
気持ちがいいといえばそうなのかもしれないが、いつもと違う挿入感に戸惑う。
「んぅっ・・うっ・・・んっ・・・ぅ・・・」
ヒスイはコハクの肩にしがみつき、バスタブの中でじっくりとペニスの抜き差しを受けた。
「あっ・・・あっ・・・は・・・」
5分、10分とそれは続いたが、水の抵抗があるので、摩擦力は弱く。
慣れると次第に物足りなくなって。
「う・・・おにいちゃぁ・・・」
ヒスイはコハクに泣き付いた。するとまたペニスを抜かれ。
「あっ・・・やぁ・・・」益々涙目になるヒスイ。
「ね・・・ヒスイ、早くイキたい?それとももう少し擦ろうか?」
ヒスイの頬を撫で、コハクが言った。
それによって、腰の使い方が違うのだ。
ヒスイの好きなようにするから、と、手の甲にキスをして答えを待つが。
「どっ・・・ちでも・・・」
ヒスイの判断力は低下していて。そう言うのが精一杯だった。
早く膣内にペニスを戻して欲しいだけなのだ。
「そう、じゃあ・・・」
バスタブの縁につかまって、三度目は後背位。
ヒスイの下腹を支え、ヒクつく膣口にペニスを挿し込むコハク。
「は・・・ぁ・・・」
ペニスを根元まで埋め、完全に結合を果たすと、ヒスイの喉と背中が大きく反って。
もう離すまいと膣口が締まる。
(ああ・・・可愛い・・・)
上からその様子を眺めて、コハクもメロメロになる。
「いつイッてもいいからね〜・・・」と、ヒスイを甘やかし。
コハクは激しく腰を振り始めた。
「あっ!ああっ・・・!!」
じゅぷじゅぷじゅぷ、後方で湿った摩擦音がする。
刺激を受ける膣内から愛液が溢れ出し、次から次とヒスイの内ももを伝って。
「あっ・・・あぁ・・・」
自分はこんなにも濡れているのかと、恥ずかしく思いながらも興奮する。
(も・・・中毒みたい・・・)
こうしてコハクのペニスに擦られないと、一日が終わった気がしない。
(わたし・・・ほんとにもう・・・)
コハクなしではいられない体になっていることを思い知らされる・・・が。
「ふっ・・・く!!おにぃ・・・っ!!」
そこで突然、意識が飛んだ。
「ヒスイ!?」
崩れ落ちるヒスイの体・・・快感で失神、とは少し違う。
・・・原因は、睡眠不足とのぼせだった。
コハクの手でベッドに運ばれたヒスイ。
天井の鏡にはすっかりのぼせた姿が映っていた。
まさに茹でダコ状態・・・全身真っ赤だ。
「ごめんね、無理させちゃったね」
寝不足なのはわかっていたのに。そのうえお風呂でのぼせるまで愛してしまった。
セックスに夢中になりすぎてしまったことを反省しつつ、ヒスイにバスローブを着せ。
パタパタと例のパンフレットをうちわ代わりにしてヒスイを扇ぐ。
ヒスイの容態はだいぶ落ち着いたが・・・
「・・・・・・」
(さすがにこれは自分でヌかないとまずいかな)
散々擦ったので、コハクのペニスもパンパンになり、結構な射精感に見舞われていた。
とはいえ、これ以上ヒスイに無理はさせられない・・・コハクが手淫行為に及ぼうとしたその時。
「お・・・にいちゃ・・・」
意識を取り戻したヒスイがうっすら瞳を開け、コハクを見た。
「いいよ・・・ここ・・・つかって」
ヒスイがゆっくりと脚を開く。バスローブが捲れ、愛おしい穴が見えた。
「今日はもういいから、ね?」
さすがにコハクも遠慮し、脚を閉じるよう言うが。
「わたしが・・・ほしいの。おねがい・・・おにいちゃん」
「ヒスイ・・・」
ペニスはもう限界。ヒスイは脚を開いて待っている。
疲れきっているヒスイにあまり刺激を与えないよう、コハクはペニスの先端だけヒスイの中に入れ、射精した。
「ありがとう・・・ヒスイ」
すると、お礼を言うのはこっちの方と、のぼせた顔でヒスイが笑って。
「ありがと。おにいちゃん」
同じ頃、モルダバイト城では。
ヒスイからオニキス、オニキスからシトリンへと戦いの日が伝えられ、本格的に城内が忙しなくなる中・・・
「最近ヤってねーから溜まってきた」
そう嘆くのはグロッシュラー第5王子ジルコン。
「なー・・・ケツの穴貸せよ」と、絡む相手はフェンネルだ。
「・・・・・・」
いつも以上にしつこく言い寄ってくるうえ、ジルからは酒の匂いがする。
フェンネルは嫌悪に満ちた目でジルを見て。
「私に構わないでください」
「いいだろー、ヤらせろよ。お前だって相手いないんだし。慰め合おうぜ。男同士なら避妊しなくてい・・・」
パンッ!!
ジルが言い終えないうちに、フェンネルが頬を叩いた。
「貴方・・・最低です」
一言そう言って、走り去る。
「あー、そーかよ」
残されたジルは唾を吐き。
「ホントにオレ、どうかしてんぜ」
男口説いてどうすんだよ。
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