「・・・・・・」
以下数行、コハク視点。
(オニキスに先越されちゃったみたいだな)
妻が他の男の服を羽織っていれば、当然いい気はしないが・・・
(仕方ないか、今回は同行できなかった僕に落ち度がある訳だし・・・)
ヒスイが無事なら、良しとする。
「ごめんね、遅くなって」
コハクは天使の微笑みで腕を広げ。
「おいで」
試験官の死角にヒスイを呼び込んだ。
「おにーちゃぁぁぁん!」
ヒスイは真っ白な牙を輝かせ、コハクに駆け寄った。
ヒスイにとってコハクは、最愛の・・・兄であり夫であり。食糧でも、ある。
ひと仕事終えた後、グビッ!と一杯〜みたいなもので。
カプッ!と、いきたかったのだ。ところが。
ひょいと躱され。背中から抱きしめられる。
(あ、あれっ???)
「ソレはちょっと待ってね。先に――させて?」
「え?ひぁ・・・」
ヒスイが着ている服を剥ぎ。その素肌に、笑う唇を重ねるコハク。
(あーくんとまーくんは、オニキスに任せておいた方がいい。かわいそうだけど、戦線復帰できないように・・・)
することはひとつ。ラブラブセックスだ。
(持て余したエネルギーは、全部コッチで消化しちゃおうね、ヒスイ)
後ろから前へと腕を伸ばし、何度かヒスイの下腹を撫でた後、指先でクリトリスを持ち上げる・・・
「ひゃあんッ!」
ヒスイは初々しくひと声鳴いて、お尻を振り上げた。
普段は気にもかけないが、セックスの時になると存在感を発揮するクリトリス。
「あんッ・・・あ・・・おにぃ・・・はッはッ・・・あ・・・」
飛び出た肉粒の上、コハクの指がやんわりと横滑りする。
極めた指捌きで360℃転がされ、度々膣に甘い疼痛が走った。
「あ・・・ふぁ・・・や・・・ん・・・んんッ!!」
それにより、括約筋が綻び、あらゆるものを溢してしまいそうになる。
ヒスイは唇を噛み、顔を赤らめた。
「ヒスイ・・・」(お尻フリフリ、可愛いなぁ・・・)
クリトリス快感に結局抗えず。感じるままにお尻を揺らしていた。
「はぁはぁ・・・あ・・・おにい・・・」
尻肉を覆う皮膚が、コハクの衣服と擦れ、ヒリヒリする。
「よしよし、いっぱい出てきたね〜・・・」
ヒスイの膣口からは、愛液が長い雫となって垂れ落ち。
また、太腿の内側に無数の透明な筋を描いていた。
「中はもう、ビショビショかな――挿れていい?」
囁きが先か。頷きが先か。
「お・・・にいちゃ・・・」
スタンバイしている勃起ペニスに、ヒスイがお尻を向ける。
「ん・・・ふ・・・」
コハクの亀頭で、いとも簡単に開いてしまう膣。
「・・・んんッ!!!」
ヒスイは、官能で編みあげた愛液のネットで、男根をしっかり受け止めた、が。
「!!ひや・・・ッ!!あ!!!」
膣内で動き始めると、ブチブチと切れ。
動けば動くほど、グチャグチャに絡まってゆく・・・
「あ、ああ・・・おにいちゃぁ〜・・・」
「夕べのが、まだ残ってるかな」と、探るように膣襞を掻くコハク。
そして・・・ブチュッ!膣奥への到達を知らせる密着音がすると。
「ああ・・・ッ!!!」
そこに在る子宮口が、クチュゥ、亀頭に吸い付いた。
「ん・・・んくッ!!あ・・・」
鈴口から、とろとろと漏れているカウパー液。
その中に微量に含まれる精子が、早くも子宮に入ってきているように感じる。
「あ・・・んぅ〜・・・」
亀頭が窪みから遠のくと、切ない声が出てしまう。
次の到来を待ちきれず、愛液が追って流れ出た。
「・・・ね、ヒスイ」
コハクは背後から顔を近付け、ヒスイの髪を嗅いだ。
自分と同じシャンプーの香り・・・それが、心を擽る。
後背位の愛し方のひとつである。
「やっぱりソコが好き?」
目尻を下げて、優しく微笑む・・・ソコを開発したのは他でもないコハクだ。
「だったら、こうしようか」
ヒスイの両手首を掴み、後ろに引きながら。
割れ目に向けて、力いっぱい腰を叩き込むコハク。
「!!あぁッ!!んひッ!!!あ、あぁぁぁ〜・・・」
亀頭が輪の中心に突き刺さり、その衝撃で、ぶにょッ!子宮が歪む。
激しい耳鳴りと共に、そこから絶頂汁が滲み出て・・・
「う・・・ぁ・・・おにぃ・・・ちゃ・・・きもちぃ・・・よぅ・・・」
入口から奥まで、膣全体が狂ったように蠕動している。
「そう、良かった」
(メロメロになってくれなきゃ困るんだ)
何をしにきたのか、忘れるほどに。
「あぁ・・・んッ・・・あッ・・・ああ・・・!!!」
完全に骨抜きにされ、達するヒスイ。
意識が飛び飛びになり、コハクの射精が始まったことさえ、わからない。
膣が熱い――ただそう思うだけだった。
壁を背に座り、しばしの休息。
「ヒスイ」
「んぁ・・・」
キスをしながら、コハクに息を吹き込まれ。
酸欠状態から回復すると、ヒスイの意識はだいぶ安定してきた。
「・・・・・・」
いつの間にか膣から抜かれていたペニスを、ぼんやり眺め。
(なんかすごく・・・おいしそう・・・)
勃起したままの姿に、ヒスイは喉を鳴らした。
それは、血液が集まっている証拠でもあり。
女としては勿論のこと、吸血鬼としても強く惹かれる。
最初に口にし損ねたせいで、余計にそう感じるのだ。
体勢を変えると、腫れあがった陰唇の間から、ぼたぼた・・・コハクの精液が湯気を立てて落ちたが、ヒスイは構わず。
「んっ?ヒスイ?」
ペニスを握って、側面を舐める・・・浮き出た血管を特に念入りに。
察したコハクが「食べてもいいよ」と、快く食糧として差し出す。しかし。
大事な場所だとわかっているので、ヒスイは首を横に振った。愛すればこその、我慢だ。
「おにいちゃ・・・」
頬ずりすると、脈動。
(あ・・・くる・・・)
精液の匂い・・・射精の気配。
ヒスイはペニスを両手で包み、膨らみ始めた亀頭の前で目をつぶった、が。
「・・・あれ?」(こない???)
頭を撫でられ、上を向くと、コハクは苦笑いで言った。
「大丈夫だよ。顔にかけたりしないから」
自身の指でペニスの根元を強く握っている。そうすることで、射精を止めたのだ。
「脚、開いて」
「ん・・・」
コハクは、空いている方の手で、ヒスイの前髪を掻き分け、額にキスをした。
耳元で真摯に愛を告げてから、正常位でペニスを挿入し。
亀頭が膣の中ほどまできたところで、指を離した。途端――
「!!ひゃふぁ・・・っ・・・!!!」
クラッカーが弾けたかのような、盛大な放出。
そのまま延々と吐精が続く。
「あ・・・うぅぅぅ!!!ふぁッ!!!」
渾身の射精を受け、体のあちこちが強弱をつけて震え出すヒスイ。
ブルッ・・・ブルブル・・・ビクン!ビクン!
ピクッ・・・ピクピク・・・ヒクンッ・・・ビクビクッ!!
「あ・・・あ・・・」
舌の根までも疼き、物欲しそうに、唇の間を彷徨う。
コハクが舌を差し入れると、ヒスイはすぐさま舌を絡みつかせ。
「ん・・・ふ・・・はぁはぁ・・・」
痙攣の止まらない膣で、ペニスを扱き、何度も何度も射精を誘った。
吸血タイムの後、もう一度、性器を交え。
ついに足腰が立たなくなったヒスイを、コハクが抱っこして歩く。
ミノタウロスの居場所は知っている。裏ルートを使えばすぐだ。
(とりあえず、オニキスに挨拶しておかないとね)
先回りして、双子から一旦オニキスを引き離すことを計画する。
こうして・・・
「どうもお世話になりました」
ドラゴン姿のオニキスに頭を下げる。
「どうかしましたか?」
ドラゴンの顔色を窺うのは至難の業だが、コハクはさらっとそう言って。
腕の中でウトウトしていたヒスイをキスで起こし、オニキスを見て笑った。
「・・・いや」と、オニキス。
“ブラッド・ダイナマイト”の不発事件・・・わざわざヒスイの耳に入れたくない、というのもあり。
(口にするのは早計か)そう、思い止まる。
アイボリー本人でさえ、「的外したかもしんねぇ」で、丸く収めているのだ。
(ならば・・・)
オニキスは気持ちを切り替え、言った。
「丁度いいところに来た」
「はい?」
「・・・交代だ」
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