複雑な面持ちでヒスイを見つめるオニキス。
ヒスイが酒を口にした理由は明らかだ。しかし。
(オレが欲した言葉ひとつで、ここまで追い詰めてしまったか)
・・・などと、思い悩んでいるどころではなかった。
「オニキスぅ〜」
側位で体を斜めに起こしたヒスイ。
両脚をクロスさせ、脚の付け根に窪みを作り、そこへワインを注ぎ込む。
続けて・・・


「飲んで」


オニキスに対し、いきなりそう要求した。
「早くしないと、みんなこぼれちゃうよ」と、窪みにワインを注ぎ足す。
「・・・・・・」
見た目こそ幼いが、仕草は妖艶で。
ヒスイが人間ではないことを改めて思い知らされる光景だった。
「・・・・・・」
同じベッドの上、オニキスは肉の器に口を寄せ、ワインを啜った。
「美味しい?」と、ヒスイがまた微笑む。
「・・・・・・」
愛しい女の陰部に注がれたワイン。
倒錯的とはいえ、そそられないといえば嘘になる。


ひとしきり飲み干したあと、窪みの奥へ舌を伸ばすオニキス。
そこに息づくヒスイのクリトリスを掘り出し、口の中へ入れた。
肉芽には、ワインの味が染み込んで。独特の風味があった。
オニキスが、それらを唇で揉み絞る・・・と。
「あんっ・・・」
ヒスイは酔ったまま、感じて。益々、頬を上気させた。
「あ・・・あ・・・」
とくん、とくん、淡く脈動するクリトリス。
オニキスはそこに吸引を兼ねた口づけを繰り返した。
「んっ!!いい・・・ん!!はぁはぁ・・・」
クリトリスの刺激的快感。オニキスの唇が触れる度、ヒスイの腰が揺れる。


次第に、組んでいた脚が緩み、舌の更なる侵入を許した。
ワインは、ヒスイの割れ目にまで流れ込んでいて。
それを追うように、オニキスが舌を這わせる・・・
「はぁ・・・あ・・・オニ・・・」
「・・・・・・」
膣口からは、ヒスイの愛液。
けれどもそれは、ワインと混ざり合い。
(これはこれで美味い、が・・・)
“ヒスイ”の純度は落ちていた。
(・・・ならば)

ぷちゅッ・・・

“ヒスイ”の味を求め、舌先で膣口を拡げた瞬間。
「あふぁ・・・あん」
ヒスイが歓喜の声を上げた。そして。

ドボドボドボ・・・

オニキスの頭にワインが降ってくる。
ヒスイが握っていた瓶が、傾いたのだ。
「・・・・・・」
まさか初夜に、頭からワインを被る羽目になるとは。
濡れた前髪を掻き上げ、溜息・・・かと思いきや。可笑しくなってきた。
一方ヒスイは。
「オニキスぅ〜・・・またきもちい〜のして?ひっく!」
瞼を半分落とした酔い顔で、しゃっくりまで併発していた。
「まったくお前というやつは・・・」



どこまでも、愛おしい。



オニキスは苦笑いで、ヒスイから瓶を取り上げ、寝台に置いた。
片手でヒスイの細い手首を掴み、キスをしながら、押し倒す。
「???」
仰向けになったヒスイは少々驚いた様子だったが。
「あ・・・わいん・・・ひっく!」
オニキスの下、うつ伏せに体勢を変え、寝台に手を伸ばした。
「もう飲むな」
軽く諌める声とともに、オニキスの手がヒスイの尻肉を包んだ。
そのまま軽く持ち上げ、割れ目に顔を埋める。
「!?ひぁ・・・あ!!」
ぐちゅぐちゅ・・・迷いなく膣内に入り込む舌。
その先端が処女膜を掠め、震わせる。
オニキスは、もうじき散るであろうそこをじっくりと舐め始めた。
「あっ!んん・・・っ!!」
クリトリスの時とはまた違った快感だった。
酔いが回っているせいもあり、何をされているかヒスイにはよくわからなかったが。
膣内で動く舌先から、愛情が伝わってきて、涙が出た。
「っ・・・!!」


喪失の許しを請うような、切実な愛撫。


愛されれば、愛されるほど、感じずにはいられない。


「あ・・・あ・・・」
火照った全身がビクビクと痙攣する。
オニキスの舌を膣に入れたまま、ヒスイは絶頂を迎えていた――






‖目次へ‖‖前編へ‖‖後編へ‖