転送された先で、ヒスイは茫然と立ち尽くした。
薄暗い室内に設置された拘束具の数々・・・縄や鞭、蝋燭諸々、謎めいた小物も用意されている。
ここは明らかに――SMプレイを目的とした部屋だ。
しかも・・・
(トパーズが二人!?)
どちらも分身であることは、すぐにわかった。
オリジナルは仕事で忙しく、これだけの改装にかける時間はないのだ。
「「丁度いいところにきたな」」
トパーズの分身B・Cが声を揃える。
「「今、完成したところだ」」
にじり寄るトパーズB・Cに、後ずさりするヒスイ。
「完成って、なにが・・・」
「「見ればわかるだろう?SM部屋だ。お前専用の、な」」
「あの・・・えっと・・・」
(トパーズにこういう趣味があったのは知ってたけどっ!!)
いよいよ本格的だ。
緊縛や、ベーシックな大人のオモチャならともかく。
(完全に勉強不足だわ!!私がっ!!)
ヒスイにとって未知な部分も多いSMの世界・・・心の準備は勿論のこと、オリジナルの存在も気がかりで。
できれば今はしたくない。
しかし無情にも。
「!!ちょっと・・・なにす・・・」
分身トパーズB・Cに掴まり。Tシャツを脱がされ・・・
「あ」
首手枷で拘束されてしまった。
革製のベルトが首と手首に巻かれ、それぞれがそれぞれを繋ぐ鎖が伸びている。
簡単に言えば、首輪と手錠が合体したものだ。
ヒスイは、両手首を首に繋がれている状態となり。
上半身の自由を奪われてしまった。その姿はまるで奴隷だ。
それから更に。
「――!?痛ぁっ!!」
お尻を棒鞭で叩かれる。
実際のところ、さほど痛みはなかったが、そう錯覚してしまうのだ。
パシンッ!
「ひぁっ!!あ・・・」
続けて鞭を受け、戸惑うヒスイに。
「そのまま真っ直ぐ歩け」
容赦なくトパーズBが命じる。
「ひぁんっ!!」
お尻を叩かれながら、辿り着いた先には・・・三角木馬。
「な・・・」(なにこれぇぇ!!)
SMプレイ特有の責め具だ。
馬をモチーフとした滑らかな木製ではあるが、その胴体は三角柱。
人を乗せる場所が、端から端まで見事に尖っている。
角度はおおよそ60℃。ヒスイの小柄な体型と用途に合わせ、木馬の脚は通常のものよりかなり短く作られていた。
「そこに跨れ」と、トパーズB。
ヒスイが渋っていると、再び鞭を入れた。
「跨れ、と言っている。それとも、もっと尻を叩かれたいか?」
「っ〜!!跨ればいいんでしょ!!跨ればぁっ!!」
ヒスイは赤面涙目で、三角木馬に跨った。
ヒスイ専用の三角木馬は、高さがない分、長めに設計されている。
「ん・・・」
三角柱を跨ぎ、それから両膝で立つ・・・食い込み具合は自分で調節しなければならなかった。
「う・・・っ・・・んっ!」
首手枷をしているため、バランスを取るのも難しい。
「あっ――」
思った以上に割れ目が沈み、陰唇がニュルッと左右に捲れた。
「はぁはぁ・・・あ・・・っ!!」
鋭い刺激がヒスイの股間を突き抜け。
「あ・・・ふぁ・・・や・・・」(やだ・・・なんで・・・)
木馬の傾斜に沿って、愛液が流れる。膣が好む圧力が加わっているのだ。
その手の計算は理系トパーズの得意とするところである。
「ホラ、腰振れ」
「あんッ!」
パシッ!鞭でお尻を叩かれ、甘い声が出てしまう。
さっきまでは、違っていた筈なのに。ヒリヒリとした感覚が嫌じゃない。
「んッんッ・・・」
トパーズに指示された通り、ヒスイは三角木馬の上で腰を振った。
ヌチョヌチョ、股間から音を響かせ。
「あ・・・んん・・・」
皮肉にも、神に祈りを捧げるようなポーズで。
「あ・・・はぁ・・・トパ・・・」
「そろそろ、こっちへ来い」
そう言葉を発したのは、トパーズC。
ヒスイの向かい、木馬の頭部の方向に立っていた。
「ここまで来れたら、これをやる」と、自身の唇を指す。つまり、キスだ。
「うんっ!」
ヒスイは表情を明るくして。懸命に前進した。
「はぁはぁ・・・あぅ・・・ん」
陰唇は捲れたまま、木肌に擦れ。包皮が剥けたクリトリスは上向きに反っていた。
愛液の粘りが広がる割れ目を引き摺り、ヒスイはトパーズCの元へ到着した。
「きた・・・よ?トパーズ・・・」
「よし、そのまま腰振ってろ」
トパーズCがヒスイの顎に手をかける。
ヒスイは上を向き、嬉しそうに目を閉じた。
「トパ・・・ん・・・ふ・・・」
重なる唇・・・口の中いっぱいに詰め込まれる舌が――甘い。
「ふ・・・はぁ・・・」
脳髄も背筋も痺れて。体から力が抜けてゆく・・・
三角木馬の尖りが、より深くヒスイの割れ目に食い込んだが。
ヒスイは腰を振りながら、トパーズCとキスを続けた。
「んんッ・・・ん・・・」
自分が、“M”として、しっかり機能していることに気付いていない。
「ん・・・は・・・」
しばらくして、トパーズBが動いた。
ヒスイを三角木馬から下ろし、脱力気味なその体を背後から抱きしめた・・・かと思うと。
「ふぇっ?トパ・・・あッ!?」
背面座位で両脚を開かれるヒスイ。
濡れ拡がった肉ビラにトパーズCが唇を寄せる。
「あぁ・・・ッ!!」
ヂュッ・・・熟していたクリトリスを強く吸われ。
腰が抜けそうな快感に見舞われる。
「んんッ・・・あ・・・はぁ・・・あ・・・あんッ・・・!!」
ヒスイの嬌声で、地下室の空気が変わってゆく・・・
ひんやりとしたものから、生々しい熱気が籠もるものへと。
その時だった。
「ふぁっ・・・!?え!?」
視界が真っ暗になり、何も見えなくなった。
目隠し・・・SMプレイ用のアイマスクを着けられたのだ。
「え?え?あッ・・・んん・・・ッ!!!」
驚きもそこそこに、快感に喘ぐ。
トパーズCによるクリトリス愛撫は続いていた。
「あ・・・あん・・・」
舐めたり、転がされたりしているうちに、ヒスイの肉粒はトパーズの舌の上で溶けきっていた。
太腿には汗が浮き。愛される悦びで、度々腰が跳ねる。
もう一度強く吸われたら、達してしまうかもしれない。
それでもいいと思った。
ところがそこで・・・
「!!」
両乳首に痛みが走った。
「やっ・・・なに・・・これ・・・」
「ボディークリップだ」
その名の通り、体の突起を挟むためのものであり。しかも雫型の錘付きだった。
「あぅんッ!!」
勃った乳首が、その重さで下を向く。
じんじんと鈍い痛みがあったが、自分の目で確認することもできず。
ひどく淫らな姿を晒しているように思えて。
同時に、ある種の興奮を覚えた。
「んぅ・・・ッ!!あ・・・」
クリトリスから、トパーズCの唇が離れてゆく・・・
伸ばした舌で最後に少しだけ先端を擽って。
「あ・・・はぁ・・・んッ・・・」
感じたヒスイが息を洩らすのも束の間・・・そこにもクリップを装着させられた。
「んッ!!あ・・・う・・・」(いたいのに・・・なんで・・・きもちい・・・の?)
痛みが快感として、体の中に入ってくる。
その証拠とばかりに、愛液が溢れ出していた。
「はぁはぁ・・・ん・・・」(こんなの・・・おかし・・・)
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