「おーい、コハクー」


アイボリーが指でつつくも、コハクは動かない。
本体が意識を失ったことにより、分身は消えていた。
「・・・俺、そんなに強く殴ってねーよな」
だんだんと不安になる。
ヒスイを使い、コハクの体力を削る作戦は、予想以上の成果を上げたが・・・正直、あとが怖い。
そんな中、あはは!メノウが笑う。
「コハクをここまで追い詰めるなんて、たいしたモンじゃん!」
・・・と、そこで。
「父ちゃん!?じいちゃんも、あーも、何してんのっ!?」
裏庭の騒動にやっと気付いたジストが、二階の窓から飛び降りた。
「丁度いいや。コハクのこと、任せてもいい?」と、メノウ。
「いつもの貧血だから、血液増やす魔法、かけてやって」
わかった!と、ジストは頷き。
「じいちゃんは、これからどうすんの?」
するとメノウは苦笑いで。
「ヒスイ迎えに行ってくるよ。コハクの代わりに」




コスモクロア――学園理事長室。


「よっ!お楽しみのトコ、悪いな」
「・・・ジジイ」
トパーズは鬱陶しそうな視線をメノウに向けた。
ベッドに腰掛け、ヒスイの寝顔を独り占めしていたところだったのだ。
「・・・ん?」
天才魔導士メノウが、微かな異変に気付く。
「お前、神魔法使っただろ?」
「・・・・・・」
トパーズは答えない。
メノウは、まあいいけど、と、流し。
まともな返事が返ってこないのは承知の上で尋ねた。
「なんかあった?」
ジストと共に三階建ての家に住むメノウもまた、トパーズが帰宅しないことに疑問を抱いていた。
「・・・何もない」
予想通りの回答に、メノウは笑って。
「だろうな」と、相槌。それから、頭の後ろで両手を組み。
「ま・・・」


「何でもひとりで抱え込むなよ?」


「お前、そゆとこコハクに似てるから」
「・・・あいつと一緒にするな」
「ならいいけどさ」




赤い屋根の屋敷――夫婦の部屋。


バンッ!
メノウに起こされたヒスイが、大慌てで転がり込む。
「お兄ちゃん!!貧血で倒れたって・・・」
ジストの手当てを受けたものの、コハクはベッドで瞳を閉じたまま。
「相当ご馳走したみたいだよ、お前に。相変わらず馬鹿だよなぁ」
そう言ったメノウは肩を竦め、早々に部屋を去った。


「・・・ごめんね、お兄ちゃん」
そっとコハクの頬に触れる。
空白の4日間の大まかな経緯は、メノウから聞いた。
「よいしょ・・・っと」
ヒスイはベッドの上のコハクに馬乗りになり。
「いつもありがと」
感謝の気持ちを込めて、口づける。
「・・・・・・」(キス、しちゃった・・・)
自分からキスをすることなど滅多にないヒスイは急に恥かしくなり。
頬を赤く染め、両手で唇を押さえた。
「何やってるんだろ、私・・・」
ベッドから下りようとした、その時だった。
コハクに手首を掴まれ。
「!?お兄ちゃん!?起きてたの!?」
「くすっ、ヒスイ、もう一回してくれる?」
そう言って、コハクが上体を起こす。
「・・・ん」
ヒスイは照れながらも、笑っているコハクの唇にキスをした。
「・・・恥ずかしいから、もうやだよ?お兄ちゃん」
「うん」
今度はコハクから、ちゅっ。キス。
すると今度はヒスイが笑って。
ちゅっ。ちゅっ。二人は笑顔で甘いキスを続けた。
「・・・トパーズ、どうしてた?」
合間にコハクが尋ねる。
「忙しそうだったよ。つきっきりで新任教師の面倒みてるみたい」
「へぇ」
その流れで、新任教師の名前を言おうとしたヒスイだったが・・・言葉に詰まる。
(・・・あれ?)
どうしても、“彼”の名前が思い出せない。
(記憶力には自信あるんだけど・・・おかしいわね)
関連してトパーズが何か言っていたような気もするが、同じくそれも思い出せなかった。
(・・・ま、いっか)


「・・・ね、ヒスイ」コハクが呼んで。
「なに、お兄ちゃん」ヒスイが耳を寄せる。
「―――――」
「え?」ヒスイが更に頬を赤らめる。
それは、えっちのお誘い。しかも蜜吸い希望。
「ちょっとね、喉が渇いちゃったんだ、僕も」と、コハク。
淫魔の媚薬効果により、ヒスイはペニスばかりを欲しがって。
他の行為は嫌がった。したくても、できなかったのだ。
照れて俯いているヒスイのつむじに、ちゅっ。キスをして。
「いいかな?」顔を覗き込む。
「・・・これで元気になる?」と、上目遣いのヒスイ。
コハクは笑って言った。
「もちろん」



ギシッ・・・
ベッドの上、方向を変えるヒスイ。
自らシャツを脱ぎ、上体を伏した四つん這いでコハクにお尻を向ける。
間もなく、コハクの指が割れ目を拡げた。
「んッ・・・」
にちゃぁ・・・、鈍く膣口が鳴る。
4日間使い続けた穴からは、二人の愛の証ともいうべき匂いが立ちのぼった。
「あ・・・んんッ・・・!!」
そこに、コハクの中指と薬指が優しく挿し込まれる・・・
「!?ひぁ・・・あ!!うぅ・・・んッ!!」
子宮口を触りながら、二本の指をねじ回すコハク。
「んふぁ・・・ぁ・・・」
拡張され、潤む膣肉。くすぐるような愛撫に子宮が感じて、濡れる。
ぞくん、ぞくん、内部から震えが起き。その度に、ヒスイの瞳の中で、ハートの光が点滅した。
「お・・・おにい・・・ちゃ・・・!!そこ・・・だめ・・・あぁぁんッ!!」
お尻を振りながら、声も表情もグズグズに崩れていくヒスイ。
「はぁはぁ・・・あッ・・・」
イク寸前のところで、コハクが指を抜き。
「ふぁ・・・ぁ・・・ぁ・・・」
二本指サイズに拡がったままの膣口が、コプ・・・ッ・・・トロォ・・・、愛液という名の蜜を垂らした。
「くす・・・たくさん出てきた」
それじゃあ、ご馳走になるね、と。
コハクは金色の睫毛を伏せ、そこに口をつけた。


「あんッ・・・おにいちゃ・・・ひぁ・・・!!」







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