「あ・・・うん」
たちまち、ヒスイの頬が赤く染まる。
大好きなコハクの指なら、喜んで、だ。
(おにい・・・ちゃん・・・)
唇を開き、迎え入れようとした、その時。
「ああ、でも・・・」と、コハクが指を離した。


「僕も何かご馳走しなくちゃね」


そう言いながら、上着を脱ぎ、ベルトに手をかける。
「コレしかないんだけど、いいかな?」
チャックを下ろしながら、綺麗な顔で笑うが、腹筋と重なるように勃起しているペニスはとても卑猥な感じがした。
先走り液により、亀頭はつやつやと光り、なんとも蠱惑的で・・・堪らなく女性器を疼かせる。
「ん・・・」
熱っぽい表情で、ヒスイが頷く。
コハクは右手で軽くペニスを扱き、液の量を増やすと、それをたっぷり指に塗りつけ、ヒスイの口元に運んだ。
(あ・・・おにいちゃんのあじ・・・する・・・)
夢中で舐め取り、物欲しそうに、ちゅうちゅう・・・すると。
「ヒスイ、あ〜ん」
もう一度与えられ、ぢゅるっ・・・強く吸い上げた、次の瞬間。
「!?」
腰の奥で何かが弾けた。
「んぁ・・・」
ヒスイが、恥ずかしげに眉を寄せる。
膣口が大量の愛液を吐露したのだ。中にずいぶん溜まっていたのか、流れが止まらない。
「あ・・・」(やだ・・・も・・・)
指を咥えただけなのに。濡れ過ぎだと自分でも思う。
パンツの薄い生地に染み込み・・・徐々に透けて・・・いやらしいといったらない。
「ん?濡れてきたかな?」
嗅ぎつけたコハクは体勢を変え、パンツ越しにヒスイの性器を舐め上げた。
「ひぁ・・・!!」
唾液が生地を更に濡らし。割れ目にべっとり張り付いて。
クリトリスまでもがくっきり浮き出る。
「あ・・・やぁ・・・おにぃっ・・・!!あッ・・・」
コハクの前髪を掴んで止めようとするが、そこを口に含まれると、全く抵抗できなくなってしまった。
尖った先端から力を吸い取られているようだ。
「あ・・・はぁ・・・あ・・・ん」
織目の間から滴る愛液が、コハクの唇を湿らせ、淫らに彩る――。


「そろそろ脱ごうか」と、コハク。
ヒスイの体から、服も下着もすべて取り払い。
「そうだ。先に聞いておくよ」
さっきヒスイが言いかけた話を、だ。
「このあと、どうなるかわからないでしょ?」
コハクは笑顔でさらっとそう告げた。
「っ・・・!!」
ヒスイは照れ臭そうにしていたが、むくりと起き上がり。
「あのね、明日は絶対寝坊したくないの」と、正直に話した。
「うん、わかった。何時に起こせばいいかな?」
「ん〜と・・・6時かな」
「6時ね、了解――」
話はそこで終わり。改めて、二人並んでベッドの端に腰掛けた。
肩を抱かれたヒスイは、コハクの体に寄りかかり、促されるまま脚を開いた。
露わになった股間に、二本の指が同時に迫る・・・
「あ・・・ッ!!」
それが膣に接続された瞬間から、快感が流れ込んでくる。
「あ・・・あぁ・・・ん・・・」
ヒスイの睫毛が震え、ぴくんと指先が反応する。
そうして、全身に行き渡るのを待ってから。
コハクは、ヒスイに仕込んだ指を使い始めた。


「は・・・ぁ・・・」(これ・・・すき・・・かも・・・)


Gスポットを這う指は、潮を噴かない程度に、ゆるゆる動き。
膣肉がコハクの指に懐いて、撫でられる度、ちゅッちゅッ・・・ちゅッちゅッ・・・、甘えた声で鳴く。
「ん・・・ふ・・・」
横からヒスイの顎を掴み、下唇を優しく噛んだり、舌を喉の奥まで伸ばしたりするコハク。
肩を抱いていた手はいつしか腰へと移り、しっかりヒスイの体を固定していた。
しばらくの間、ヒスイはそれに気付かず、コハクとキスを続けていたが。
「ん・・・」(あれ・・・?なんか・・・)
ぬちゅッ・・・ぬちゃぬちゃぬちゃ・・・、膣肉の鳴き声が色気を帯びてきたかと思うと、快感がぐんと濃厚になり。
「!?あ・・・ふぁ・・・ッ!!」
後方に逃げ場を無くした状態で、前方から指ピストン。
「あッあッあ・・・おにいちゃ・・・あ・・・あんッ!!!」
股間に衝撃が走り、どんどん膝が開いてゆく・・・
「あ・・・んッんッ・・・んぅ・・・」
コハクの手と手の間で、ヒスイは腰をビクつかせるばかり。そして・・・


「チェックメイト、だよ」


「・・・っあッ!!!」
コハクの指に、子宮口を捉えられていた。
一体いつの間に、こんなに深くまで入り込んだのか。
見下ろせば、手の甲まで膣に入りかけている。
「あ・・・あ・・・おにいちゃ・・・」
「怖がらないでね?」コハクが耳元で囁く。
「優しくするよ、ここはとても大切なところだから」
「!!ひッ!!!あ〜・・・!!!!」
子宮口を両脇から挟まれると、気持ち良すぎて泣けてくる。絶頂まっしぐらだ。
こんな快感を覚えてしまったら、コハクの指を見る度、欲情してしまう。
「んぁ・・・あ!!!!」
男なら、絶頂を先送りする術はあるが、女はそうもいかない。
気持ち良いものは、気持ち良いのだ。どうしたって、堪えきれない。
「っ・・・はぁッ!!!」
ヒスイは否応なく達し。コハクに支えられつつ、背中からベッドに沈んだ。
「はぁはぁ・・・おにい・・・ちゃん・・・」
官能の眩暈がする中、コハクの頬に触れ、ヒスイが懸命に訴える。


このまま終わりにしないで。もっともっと気持ち良くして――と。


「・・・うん、そうだね」
コハクはヒスイの手を握り、瞳を伏せて微笑んだ。
言葉にしなくても、ヒスイの望みはわかる。
「じゃあ・・・挿れるね」
「ん・・・ぁ・・・あぁッ!!!」
ヒスイの呼吸に合わせて、ゆっくりと入ってくる・・・
コハクのペニスも先走り液でヌルヌルになっていたので、格別の挿入感だった。
膣内で、即、溶け合う。
「あッ・・・おにいちゃ・・・あ・・・」
にゅくッ!にゅくッ!にゅぷッ!
二人とも濡れているからか、ペニスが膣を貫く音が、今夜はやたらと甘ったるく聞こえる。
「あ・・・あぁぁぁん・・・ッ!!」
粘つく愛液の糸がペニスによって引き出され、空気中に散乱し。
「あッあッあッ・・・」
ペニスがインサートされる度、浮き沈みするヒスイの腰。
段々とそれが激しくなり、尾てい骨が乱雑にシーツと擦れ合う。
「あんッ!あんッ!あぁぁぁんッ!!」
ヒスイは、いつ二度目の絶頂を迎えてもおかしくないところまできていた。
「あ・・・あッ・・・」
揺さぶられながら、揺らいでゆく意識。
「お・・・にいちゃ・・・いっしょ・・・が・・・」
最後の力を振り絞り、同時イキをねだる。
「いいよ」コハクは快く承諾し。
「好きな時にイッて。僕はいつでもイケるから」と、腰を振りながら笑った。
「!!ひあッ・・・!!イッちゃ・・・」
「うん――」
こうして、ヒスイの絶頂と共に精を放った・・・が


「んああぁぁ・・・ッ!!」


いつになく張り詰めた声を出すヒスイ。
「ヒスイ?」
「あぁぁぁぁ!!!!!」
子宮口が思った以上に過敏になっていて、射精圧に耐えられなかった・・・絶頂を、超えてしまったのだ。
「お・・・にぃちゃ・・・すき・・・」
ヒスイはそれだけ言い残して、意識を喪失した。
「くすっ・・・僕もだよ、ヒスイ」
聞こえていないのはわかっているが。
コハクは愛を告げ、ヒスイの手を取り口づけた。



PM10:50 ヒスイ、セックスにより失神。

同じ頃。

ジストは、夫婦の部屋の前にいた。少しだけ扉が開いている。今夜は“公開日”なのだ。
そのため見学に来たのだが、音声だけですっかり酔ってしまった。
(メチャクチャ気持ち良さそうだったな〜・・・ヒスイ)
酔い覚ましに、廊下の窓を開けて夜風に当たっていると・・・
「あ、兄ちゃん」
階段を上ってきたトパーズと目が合った。
「・・・・・・」
トパーズはさっさと通り過ぎようとしたが、そこでジストが引き止める。
「あっ!!兄ちゃん!!見たっ!?今、流れ星がさ・・・」
「流れ星?それがどうした」
「流れ星って言ったら、願い事だろ?」
すると、トパーズは鼻で笑い。「お前は何を願う?」と、尋ねた。
「そうだなぁ・・・やっぱ・・・」
ジストは、窓辺から星空を仰ぎ、言った。
「兄ちゃんと、オニキスのおっちゃんと・・・」


「ヒスイを愛する人達が、みんな幸せになれますように」


「・・・かな?」
「余計なお世話だ」
ジストにチョップをお見舞いし、一蹴するトパーズ。
「う・・・そうかもしんないけど・・・」
痛みに耐えながら、ジストは話を続けた。
「ヒスイはひとりしかいないから。奪い合うんじゃなくて、分け合えたらいいな、って」
「・・・できるもんなら、やってみろ」
パチン!指を鳴らして、星を落とす・・・神業。
「ホラ、流れ星だぞ?」と、去り際にジストを煽る。
「えっ!?わっ・・・!!」
ジストは流れ星を見上げ、祈りのポーズ。早口で願い事を唱えるが・・・


「いてっ・・・舌噛んだっ!!」




翌日 AM7:30 屋敷玄関にて。

試験を控えた双子を見送るため、ヒスイもちゃんとそこにいた。
アイボリーがドラゴンとの対面を希望すると、ヒスイは得意顔で応じ。
「ちょっと待っててね!」
すぐ傍の部屋に入り・・・数秒後。
よちよち歩きのチビドラゴンが出てきた。全長わずか145センチ。
鱗は輝かしい白銀だが、足も尻尾も短いため、見た目はなんとなくヒヨコっぽい。
(ああ・・・ヒスイ・・・)コハク、心の声。
事前に何度か尋ねてみたものの、大丈夫だから!と、ヒスイは口を割らなかった。
その様子があまりに自信満々だったので、今回は任せてみようかな〜という結論に至った訳だが・・・
(ベタなのやっちゃったなぁ・・・)
笑いを堪えるのに、ひと苦労である。



一方、アイボリーは。

「なんじゃこりゃぁぁぁ!!!」だ。
ヒスイは「きっとびっくりするよ!」と、言っていたが。
(マジでビックリするっての!!!)
相棒のマーキュリーに話を振らずにはいられない。
「なぁ!ありえねーだろ!?」
チビドラゴンを指差し、大声で言い放つ。
「こいつ、ドラゴンのくせに」



「ショルダーバッグ斜めがけしてるぜ!?」







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