こちら、人間界。

オニキスがもたらしたヒスイ情報は、当然、コハクの耳にも入ることになった。
トパーズ、アイボリー、オニキスの元に、コハクとセレが戻り。
男、5人。誰が下着を届けるかで、再びモメる・・・
「そんなの決まってる」と、コハク。



「ヒスイの予備下着を持っているのは、僕だけだ」



堂々と、そう言い切る。ある意味、尤もだ。
「だったらそれ、よこせ!」
コハクに食ってかかるアイボリー。
ヒスイの下着=“向こう側への切符”と、錯覚してしまっているようだ。
「ヒスイもだけどさ、まーも心配なんだよ。メンタルケアしてやんねぇと・・・なんか、ヤバイ予感すんだって!!」
訴える相手を父親から兄へと変え。
「なあ、双子のトパーズならわかんだろ!?この感じ・・・」
「知るか」
トパーズは煙草の煙を吹きかけ、アイボリーを追い払った。
・・・と、その時。
「竜だ!!」エクソシストのひとりが叫び。緊張が走る。
太陽の光を遮り、突如、上空に現れた竜は、アイボリーを狙い直下降してきた。
「!!!」
襟首を咥えられたかと思うと、一気に引き上げられ、アイボリーの足が砂地から離れる。
「うわぁっ・・・」


「って、おい!!誰か助けろよ!!」


唯一、オニキスだけが剣を抜いていた・・・が、トパーズが制止する。
「その竜は、指名手配のレム君だよ。気を付けていっておいで」
コハクは笑顔で手を振り。
「気を付けるも何も・・・誘拐されかけてんだけど!!俺!!」
叫んだところで、無駄だった・・・
「何事も経験だ。健闘を祈るよ」と、セレまで、快く送り出す始末。
極め付けは・・・
「うるさいのがいなくなって丁度いい」という、トパーズの発言。
「帰ったら覚えてろよぉぉ!!!クソ大人どもぉぉぉ!!!」


こうして、アイボリーは竜に連れられ、空の彼方へと消えていった・・・




「さて、話を戻しましょうか」
改めて、セレと向き合うコハク。
「と、言っても、話し合いで解決できるとは思えないので・・・」
横目でトパーズを見て。
「アレ、貸してくれない?」
すると、トパーズは鼻で笑い、あるものをコハクに投げ渡した。
「ありがとう」
受け取ったのは・・・手錠。神トパーズの所有物だけあって、特殊なものだ。
熾天使だろうと、悪魔喰いだろうと、簡単には外せない。
コハクはまず、自身の左手首にそれを嵌め。
もう一方を、セレの右手首に嵌めた。
「おや、どういうことかね?これは」と、セレ。
いきなり手錠をされても、取り乱す様子はない。
「要は、離れなければいい訳ですよね?」
コハクはにっこり微笑んでから、少々乱暴に、繋がったセレの腕を引っ張った。
「僕は、ヒスイのところへ行く。貴方がここに残るというのなら――」


「あとは、力比べだ 」





・・・そして、こちら。監獄では。

「ふ・・・んぅ・・・」
ヒスイの、甘い息遣いが聞こえる。
鉄格子の前で四つん這いになり。
並ぶ鉄棒の間から出されたペニスを口に含んでいた。
「はふ・・・おにいちゃ・・・」
片手でサオを握り、小さな舌で亀頭を舐め回す・・・淫らなその様を、ベッドの上から静観するマーキュリー。
「・・・・・・」(これは・・・夢だ・・・)
あまりに突然な光景・・・そうとしか考えられない。
「よしよし、いい子だね」
聞き慣れたコハクの声はするが、鉄格子の向こうは深淵で。
全くといっていいほど姿が見えなかった。
「もうすぐ、ヒスイのいやらしいお肉の中にコレを入れて・・・」


「ぐちゃぐちゃにしてあげる」


「ふぁ・・・ぃ・・・」
コハクの言葉責めに、感じて。
マーキュリーにお尻を向けたまま、ヒスイの陰唇が開いてゆく・・・
「・・・・・・」
(花には、蜜の在処を知らせる“蜜標”があるっていうけど・・・)
まさにそれだ。
捲れた肉ビラは、奥へいくほど色が濃くなっていて。マーキュリーの視線を誘う。
突き破れば、そこに溢れんばかりの蜜があるのだろう。
そう、思うと。
「っ・・・」
本能が抑えきれなくなり。
ヒスイの蜜を得るために、ペニスが硬く尖ってゆくのを止められない。
マーキュリーは眉を顰め、悩ましげに息を吐いた。
(夢なら・・・)


夢なら早く、覚めればいいのに。






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