「あッ・・・あんッ!あんッ!!あうんッ!!!」

ヒスイは、両手で鉄格子に掴まって立ち。
暗闇の中から伸びてきた手に、片脚を持ち上げられながら、ピストンを受けていた。
叩き出された膣蜜で、脚の付け根が濡れている。
「あッんッ!!おにいちゃ・・・!!」

ぐちゃちゃちゃちゃ・・・!!

ペニスが膣を拡げる音が、幾度となくマーキュリーの耳に届いた。
「・・・・・・」
ヒスイの後ろ姿しか見えないが。
突き込み口から、ぽたぽたと垂れていた蜜は、次第に粘り気を増し、長く糸を引くようになった。
「あうッ・・・!!は・・・」
ごぷり・・・時折、そこにひどく濁った塊が混じる。
「あ・・・ひ・・・ひぁ・・・」
早々に達し、上の方ばかり見ているヒスイ。
暗闇の中のコハクが、顎を引き寄せ、唇を重ねる。
「ん・・・むぅ・・・」
降参とばかりに、ヒスイの膣口がぶくぶくと泡を噴いても、ペニスの挿入は続き。
「あふぁ・・・ぁ・・・」
ヒスイは目も口も半開きにして、幸せそうに笑っていた。



「・・・・・・」(こんなことで・・・)
嫉妬する方がおかしのだと、わかっている。
しかしそれは、恋愛感情がある限り、付き纏うもので。
性的興奮さえも上回る。
気が付くと、ヒスイの背後に立っていた。
両腕を胴体に回し、鉄格子から引き離す・・・
「あッ・・・んん〜・・・」
ずるずると、ヒスイの膣からペニスが出てくる。
「・・・あんッ!んんッ!!」
コハクの肉傘が膣口裏に引っ掛かり。
その快感に喘ぎながらも、別れを嫌がるヒスイ。
「あ・・・あ・・・おにぃちゃ・・・ぁ・・・」
「・・・そんなに好きなんですか?」



「お父さんとするセックスが」



そう言って、無理矢理唇を奪った瞬間。
「――くしゅんっ!!」
ヒスイのくしゃみが、マーキュリーを現実に引き戻した。
「あ、ごめん。起こしちゃった?」と、鼻を啜るヒスイ。
夢の中の艶めかしさはどこへやら、だ。
「・・・・・・」(やっぱり夢か・・・)
鉄格子の向こうには、誰もいない。
本の中の監獄は、2人きりの空間のままだ。
珍しいことに、ヒスイの目は冴えていて。
マーキュリーだけが眠っていたようだ。


「・・・・・・」
しばらくの沈黙のあと、マーキュリーは不意にこう尋ねた。
「お母さんは・・・銀の男の習性を、知っていますか?」
「え?何、突然・・・へくしゅっ!!」
先日、トパーズから恋愛確率について聞かされたばかりだ。
「私は、それが絶対だとは思ってないよ。現にまーくんはセレと付きあっ・・・」
そこで、ヒスイの言葉が途切れる。
マーキュリーの手に、口を塞がれたのだ。
背中合わせから体勢を変え。背中から抱きしめられている。
ヒスイの話を聞く気はないようで、口から手を離す気配はない。
マーキュリーはヒスイの耳元に唇を寄せ。
「残念ですが・・・僕も、トパーズ兄さんやジスト兄さんと同じ“体質”みたいです。この意味、わかりますか?」
そう、囁くと。ヒスイの体が僅かに縮こまった。どうやら、理解しているようだ。
「あなたが悪いわけじゃない。ただ・・・一生童貞というのも嫌なので」



「一晩だけ、お相手願えますか?お母さん」



「え・・・?」
解放されたヒスイの口からは、それ以上何も出なかった。
マーキュリーは瞳を伏せて笑い。
「冗談ですよ」
「え?え?」(どこからどこまで???)
ヒスイは目をぱちくりさせながら。
「まーくんって、もしかして結構、意地悪???」
「相手によります」
笑顔のまま答えるマーキュリー。それから一言。
「怖い、ですか?」
「ふぇっ?何が???」



「あなたと同じ髪の色をした――息子が」



「そんなことあるわけ・・・」
ヒスイの話半ばで、マーキュリーは急に話題を変えた。
「体、冷えてますね。しばらくこのままでいましょうか」
「あ・・・うん・・・」
(あれ?なんか・・・私・・・震えてる???)
マーキュリーの腕の中。寒さで、とは、少し違う気がする。
しかしそこは、やっぱりヒスイで。
自分が追い詰められていることに、気付かない。
(体の芯が冷えたのね!きっと!パンツがあれば、こんな震えなんてすぐに止まるはず!!だけど・・・)



「・・・パンツ、まだかな」






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