「・・・・・・」(それにしても・・・)
引き続き、コハク。
ヒスイの羽根が一回り小さくなっているのが、気になる。
あれだけ注ぎ込んだ精液が、消費されるような・・・性的な何かがあったのだ。
じっとコハクが見ていると。ヒスイはセレへの攻撃を止め。
「お兄ちゃん、あのね、実は・・・」
自分から、監獄内での出来事を話し出した。
喉が渇いてしまったこと。
血液キャンディをなくしてしまったこと。
「・・・で、途中から記憶がなくなっちゃって。まーくんが助けてくれたの」
「そう」と、コハク。続けてマーキュリーに礼を述べる。
「ありがとう」
「いえ」
マーキュリーはいつもと変わらぬ、優等生の笑顔で応え。
「ベッド、使ってください。僕は少し外の様子を見てきます」
「建物からは、出ないようにね」
「はい」



監獄には、ヒスイと、手錠で繋がれた男が2人残った。
「・・・・・・」
(リヴァイアサンを呼び込むのは、どっちの“嫉妬”やら)
やれやれ、と。コハクは、嘲笑混じりの溜息。そのあと。
「もう遅いし、寝ようか」と、ヒスイに話しかけた。
ところが。「全然眠くない」との答え。
ヒスイが眠れない・・・とは、大事だ。本人も首を傾げている。
いつもなら、とっくに熟睡している時間だというのに。
(睡眠不足は、美容にも健康にも良くない。さて、どうするか・・・って、決まってるけど)
ヒスイを寝かしつけるには、セックスが一番なのだ。とはいえ。
鎖の先にはセレがいる。
「・・・・・・」(こればかりは仕方ないか。ヒスイに慣れてもらうしか・・・)
「ヒスイ」コハクはヒスイの肩を抱き寄せ、耳元でこう囁いた。



「イキ疲れて眠るまで、してあげる――」



「ん・・・」
コハクの艶声に、一度は頷いたヒスイだったが。
「・・・んっ?」
隣にいるセレの顔を見た途端、渋り始めた。
「セレもいるし・・・それは無理・・・ん・・・」
すかさずキスでヒスイの唇を塞ぐコハク。
その先を、言わせないつもりなのだ。
キスの合間にセレを呼び。
「室内の明かり、食べちゃってもらえます?それから・・・」
ベッド脇で待機するよう伝え、ヒスイと3人で移動した。
・・・さすがに手際がいい。


ベッドの上には、コハクとヒスイ。
暗闇の中、ヒスイの羽根が淡く光を放つだけだが、男女の睦事にはそれで充分だった。
「大丈夫だよ。じきに何も考えられなくなるから」
そう言って、ヒスイを仰向けに寝かせ、脚の付け根に顔を埋めるコハク。
「ひぁ・・・おにぃ・・・」
・・・と、そこでヒスイが言葉を呑み込む。
近くにいるはずのセレに、聞かれてしまうことを気にしているのだ。
「んっ・・・!」
両手でコハクの金髪を掴み、唇を噛む・・・が。
「んふぅ・・・ッ!!」
コハクと何度かキスを交わした陰唇は、もう開いていた。
「っ・・・ふッ!!」(あ・・・おにぃちゃ・・・!!)
舌先で、ぷちゅぷちゅと膣口をつついたあと、クリトリスをひと舐め。
「――!!」
それだけで、包皮が剥け、にゅるんと実が飛び出す。
「ふぁ・・・ッ・・・あ!!」
思わず声が出そうになり、慌てて口を押さえるヒスイ。
けれども。快感には抗えず。
反り返ったクリトリスを、無意識に、コハクの舌へと擦りつけていた。
唾液越しの、微かにざらつく感触が、気持ちいい。
「はぁはぁ・・・はぁ・・・ん・・・」
ベッドの上、浮き沈みを繰り返すヒスイの腰。
極力声を殺してはいるが、感じているときの息遣いばかりはどうにもならない。
「ふっ・・・う・・・!!おにぃ・・・ちゃ・・・」
ちゅぽんッ!クリトリスがいやらしく伸びきるまで吸って、コハクの唇が離れる。
それから。ペニスの大きな尖りで、小さな尖りを、ぐちゃぐちゃと弄り始めた。
恥丘の上で、亀頭とじゃれ合うように肉粒が跳ね回る。
「んぃ・・・っ!!」
ヒスイの食いしばった口の端から、快感の証ともいえる涎が垂れた。


次にコハクは、ヒスイのシャツのボタンを外し、胸元をはだけさせ。
「――あ」
片手で難なくブラジャーを退かした。
「んっ!!!!」
そろりと這わされた手のひらが、ヒスイの乳房を包み。
「っ〜・・・!!!」
揉んで昂らせ。先を撫でて。そこに快楽を擦り込んでくる。
「はぁっ!はぁっ!」
興奮したヒスイの呼吸が、より荒くなる・・・一方で。
ねちゃッ、ねちゃッ、と、鳴り続けているクリトリス。
男の蜜で濡らされ、官能的なマッサージを受けていた。
「は・・・・はぁ・・・ん!!」
気持ちはいいが・・・堪らなく、そこが熱い。
女のあらゆる部分を疼かせる淫熱だ。
「ん〜!!!!!」
眉を顰め、ヒスイが髪を振り乱す。
朱に染まった頬。涙が浮かぶ目尻は深紅で。
切迫しているのは、誰の目にも明らかだった。
コハクは、困ったように笑って。


「もう、我慢できないでしょ?」


ちゅっ。ヒスイの額にキスを落としてから。
右手をヒスイの口元まで持ってゆき、強引に、指で開かせた。
「ちゃんと、声、出して」
すると・・・


「あ・・・あぁぁッ!!!」


堰を切ったように、大声をあげ、喘ぎ出すヒスイ。
「あッ・・・あぁ〜・・・」
眉間の皺がふっと緩んで、あとは崩れるばかり。
「あッあッ!あッ・・・あ!!おにいちゃ・・・!!あぁぁぁ!!!」
コハクの下で、弓なりになり。そのまま達してしまった。


「無理するからだよ」
・・・と、苦笑いのコハクが唇にキスをする。
「ん・・・ふぁ・・・おにい・・・ちゃ・・・」
膣口が、ちゅぱちゅぱ、無邪気に音をたてて、おねだりしていた。
「好きだよ、ヒスイ」
「わたしも・・・あ・・・」
絶頂を迎えた膣への挿入――


「あぁッ・・・!!」
膣肉が膣肉を慰め、捏ね合っている中に。
ぐちゅぐちゅぐちゅ・・・ペニスが進行してきた。
「ひッ・・・あ!!!」
膣内で大きく開いたコハクの肉傘。
肉襞から愛液まで、絡み付くものすべてを引っ張ってゆく。
ぐちゅぅぅぅ・・・膣道を奥まで捻じられ。
「ひッ・・・んぐッ!!!」
ヒスイの臍から下が持ち上がる。


「あッ・・・あぁぁぁんッ!!!おにぃちゃ・・・あ・・・」
「あッ・・・あッんッ!!あッあッ・・・あッあッあ・・・」


本格的な抽送が始まると。
ヒスイは腰を揺らし、差し込み口を上向きにしたり下向きにしたりしながら、積極的にペニスを受け入れていた。
「あッ・・・い・・・んんッ!!!」
ヌチュヌチュ!ヌチュヌチュ!滑らかに鳴る膣。
襞が含んだ空気が割れ、時折、ブチュッ!と違う音が混じる。
「あッんッ!!」(さっきから・・・おと・・・すごい・・・)
暗闇にひどく響く。
それは、聞かれてはいけない音・・・なのに。
ヒスイは、快感に溺れた虚ろな目で。
(だめ・・・も・・・おにいちゃん・・・きもちよすぎて・・・)



・・・なにもかんがえられない。







‖目次へ‖‖前へ‖‖次へ‖